NEW2017年11月24日

“改ざん”今度は三菱マテリアル なぜ不正が続くの?

また、ものづくりの現場で不正です。今度は大手金属メーカー、三菱マテリアルの2つの子会社が、ゴム製品と銅製品の強度などの検査データを改ざんしていました。神戸製鋼や日産自動車、SUBARUに続く不正。日本のものづくりの現場に何が起こっているの?

不正の内容は

今度は、何をしていたの?

不正があったのは三菱電線工業の和歌山県の工場と三菱伸銅の福島県の工場。ゴム製品や銅製品の一部が強度や寸法などの基準を満たしていないのに、満たしているかのように検査のデータを改ざんして、取引先に出荷していました。

それって神戸製鋼の不正と同じ、ですよね?

検査データの改ざん、ということでは、同じ不正ですね。

どこに使われている製品なの?安全なの?

三菱電線工業は「シール材」というゴム製品。配管などを密封して油や水、空気が漏れ出さないようにする製品で、航空機や自動車など幅広い分野で使われています。

おととし4月からことし9月までに出荷した製品のおよそ20%にあたる2億7000万個で不正があった可能性があります。出荷先は229社に上る可能性があるといいます。

三菱伸銅は、10月17日までの1年間に製造した銅製品で、主に自動車や電子機器の部品として使われ、出荷先は29社に上る可能性があるとしています。

会社側は出荷先へ不正を説明して安全性の検証を進めることにしています。これまでのところ安全性に問題があるケースは確認されていないと話しています。

不正が見つかったのは、ことし2月だったというじゃないですか!

三菱電線工業は、ことし2月に社内の調査で不正が発覚し、3月に経営陣に報告。それから不正があった製品を特定する作業などを進め、出荷を停止したのは、およそ8か月がたった10月23日でした。そして、親会社の三菱マテリアルに報告したのは10月25日になってからでした。

一方、三菱伸銅は10月16日、社内調査で不正が発覚。3日後の19日に親会社に報告。

三菱マテリアルは、子会社から報告を受けてから、およそ1か月たった11月23日、ようやく不正の事実を公表しました。

公表まで9か月

ニュース画像

それにしても…。公表までどうしてそんなに時間がかかったの?

記者会見した三菱マテリアルの竹内章社長は「不適合品を納入したお客様が判明し、お客様のご協力を得て安全確認を進める必要があると判断したためで、すべてが判明してから公表するのが適切だと判断した」と話しています。

2月にわかったあとも、改ざん製品が出荷されていたの?

そうなんです。三菱電線工業の村田博昭社長は「どの製品に入っているか特定しなければ、混乱を招くと判断した。特定するために複雑な解析をしなければならず、時間がかかってしまった」と説明しました。

「結果的に、不具合のある可能性のある製品が不正の発覚から10月までの出荷の中に入っているかもしれないということになり、顧客にご迷惑をおかけし、大変申し訳ない」と話しています。

“不良品”が混ざっている可能性があるなら、直ちに出荷をストップするのがビジネス上の最低限のルールだと思うのですが。現場に集まったメディアは納得したの?

当然、記者からは「それでは説明になっていない」という声が相次ぎました。ただ会社側は、弁護士を含む調査委員会で詳しい調査を進めるという説明を繰り返しました。

2時間15分に及んだ記者会見では、不正の具体的な原因や経緯は、ほとんど明らかにしませんでした。

検査データの改ざんは、日本を代表する鉄鋼メーカーの神戸製鋼で明らかになったばかり。それに続く、三菱マテリアルでの不正発覚。日本の素材メーカーの品質管理が改めて問われています。

日本のものづくり、品質が生命線だったはずなのに、どうしてこんなに不正が続くの?

記者会見に並んだ経営陣からは、真塾(しんし) な説明はなかったと言わざるを得ません。日本のものづくりの信頼を揺るがす事態を引き起こした、という危機感を感じさせる発言もありませんでした。
まず調査委員会の徹底した調査で、納得できる説明を求めたいと思います。