首都直下地震 被害想定 死者約2万3000人

国は、首都直下地震が起きると、最悪の場合、死者はおよそ2万3,000人、経済被害はおよそ95兆円に達すると想定。一方、建物を耐震化して火災対策を徹底すれば死者を10分の1に減らせる可能性があります。(記事の想定は首都圏の被害想定をまとめた「内閣府」発表のものです。都内の想定をまとめた「東京都」発表のものと異なります)
末尾にお住まいの地域が詳しく見られる『被害想定マップ』を掲載しています。
この情報は2013年12月に公表されました
目次
首都直下地震とは
「首都直下地震」は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70パーセントの確率で起きると予測している、マグニチュード7程度の大地震です。
再生時間 1:52
江戸時代から大正の関東大震災に至るまで、過去の地震の歴史記録などをもとに、将来発生すると予想されている地震です。
異なる震源の複数の地震が想定され、このうち首都中枢機能への影響が最も大きいと考えられるのが、都心南部の直下で起きるマグニチュード7.3の大地震です。

▽東京の江戸川区と江東区では震度7、
▽東京、千葉、埼玉、神奈川の4つの都県では、震度6強の激しい揺れが想定されています。

死者2万3,000人 経済被害95兆円
冬の夕方、風が強い最悪の場合は、全壊または焼失する建物は61万棟に上り、このうち火災で焼失するのはおよそ41万2,000棟とされています。

死者はおよそ2万3,000人にのぼり、その7割にあたるおよそ1万6,000人は火災が原因で死亡するとされています。
けが人は12万3,000人、救助が必要な人は5万8,000人、避難者数は720万人に達すると想定されています。
電気や上下水道などのライフラインや交通への影響が長期化し、都心の一般道は激しい交通渋滞が数週間継続するほか、鉄道も1週間から1か月程度運転ができない状態が続くおそれがあるとしています。
経済被害は、建物が壊れるなど直接的な被害は42兆円余り、企業の生産活動やサービスが低下する間接的な被害は48兆円近くで、そのほかも合わせて95兆円と国の年間予算に匹敵するとされています。
世界にも影響を及ぼす経済の混乱が、数年数十年と長期化すると、さらに経済被害は増加していくことになります。

対策で死者は10分の1に
一方で、想定では、建物を耐震化して、火災対策を徹底すれば死者は10分の1の2,300人に減らせると対策の効果も示されています。
首都の中枢機能については、政府機関を中心に耐震化や非常用電源などハード面の対策はとられているとしたものの、夜間や休日に地震が発生すると激しい交通渋滞などで通勤が困難になるため、要員を確保するなどの対策が必要だとしています。
首都直下地震 被害想定マップ
内閣府の被害想定(2013年公表)に記載されている首都直下地震の“被害想定マップ”を、見やすく加工したものです。お住まいの地域の想定が詳しく見られます。
(震源地は都心南部直下で、冬の夕方、風速8mの場合)
震度分布:首都圏一部エリアのみ表示(内閣府公表分)
全壊棟数:250m四方のエリア内で建物が倒壊する数
焼失棟数:250m四方のエリア内で建物が焼失する数
首都直下地震で必ずこの被害が起きるというわけではありません。震源地が別な位置であったり、発生時刻などが異なるケースでは、被害をうけるエリアや大きさも変化します。ここではみなさんに震災を「自分のこと」として捉えていただくために、想定される被害の一例にすぎませんが、都心の被害が大きくなるケースを選んで掲載しています。発生条件の違いによる被害の詳細は、内閣府の報告書「別添資料1」(NHKサイトを離れます)でご確認ください。
全国各地の自治体ハザードマップを確認するには
首都直下地震だけでなく、様々な災害に関する、全国の自治体が公開しているハザードマップを確認する方法はこちらから。
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