トランプ政権は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告し、来年11月に離脱することになった。
野党・民主党は厳しく批判し、来年の大統領選挙で温暖化対策は今後、重要な争点になりそうだ。
この議論の突破口になるか注目されるのが、最近よく聞く、MMT=現代貨幣理論。
その名付けの親として知られる、オーストラリア・ニューカッスル大学のビル・ミッチェル教授が来日した。

講演会場は、(意外にも)超満員で、平日の昼間にもかかわらずおよそ350人が駆けつけた。
きっとまた、「自国通貨を発行できる国は、インフレにならないかぎり、いくらお金を使っても大丈夫」という、お決まりの主張だろうと思っていたら、教授の口から飛び出したのは「グリーンニューディール」。
良い意味で、裏切られた。
「グリーンニューディール」は、環境を表す「グリーン」と、世界恐慌の時代に、経済の活性化を図ろうとしたルーズベルト大統領の「ニューディール」政策をかけ合わせたことばで、地球温暖化対策や環境関連の事業に投資して、新たな雇用を生みだし、経済成長につなげようというもの。
アメリカでは、民主党の若き新星、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員が、2030年までにすべてのエネルギー需要をクリーンエネルギーで賄うなどと表明。
サンダース上院議員やウォ-レン上院議員など民主党の候補者がこぞって支持を表明している。
その一方で、トランプ政権が、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に通告したことは記憶に新しい。

ミッチェル教授は、アメリカを含め各国の政府は、このグリーンニューディールに、優先的に資金を投入すべきだと主張していて、そのために必要なお金は、MMTの理論を使えば心配ないという。
講演の当日、ミッチェル教授と個別に話をする機会を得た。