“さび、聖書、太陽” 選挙を占う“3つのベルト”とは

アメリカの大統領選挙の行方を占う上で重要となるのが、“ベルト”の動向だ。
代表的なのは次の3つ。

「ラスト=さび」「バイブル=聖書」「サン=太陽」

これらのことばで特徴づけられる“帯状の地域=ベルト”が、選挙とどう関わってくるのか。

目次

    トランプ大統領誕生の原動力「ラストベルト」

    まずは「ラストベルト」。

    2016年の選挙でトランプ大統領の勝利の原動力となった地域。
    五大湖周辺から東部の太平洋岸にのびる一帯を指す。

    かつて鉄鋼業をはじめとする重工業や製造業が栄え、多くの雇用を生んでいた地域だが、国際的な競争のなかで次第に衰退し、今では使われずにさびついた工場が立ち並んでいる。
    ここで働いていたのは白人の労働者が多く、「従来の政治エリートは少数派への配慮ばかりを語り、白人労働者の苦境は無視してきた」という不満から、2016年の選挙ではビジネス界の出身でアメリカの製造業の復活を叫ぶトランプ氏を熱狂的に支持した。

    保守派の牙城「バイブルベルト」

    続いては「バイブルベルト」。

    アメリカ南東部一帯の、聖書の教えを重視するキリスト教の保守派が多く住む地域で、中絶や同性婚に反対するなど保守的な価値観を大切にする人が多いとされている。
    なかでも国民の4分の1を占めるとされるキリスト教福音派は、イスラエルへの支援を信仰の柱としていて、トランプ大統領が、歴代の政権の中でも特にイスラエル寄りの政策を打ち出すのも、福音派の支持をとりつけるためとみられている。

    人口が増え続ける「サンベルト」

    「サンベルト」とは、おおよそ北緯37度よりも南の太陽の光が降り注ぐ温暖な地域一帯を指す。

    この地域の特徴は人口が急増していることだ。
    アメリカの人口は、暖かくて税金も安く、暮らしやすい土地を求めて、東から西へ、北から南へと移動する傾向にある。
    これに加え中南米などからの移民も増え続けている。

    大統領選挙では人口に応じて各州に選挙人が割り当てられる。
    この選挙人の数が最も多いのが西部カリフォルニア州、2番目は南部テキサス州、3番目は南部フロリダ州とすべてサンベルトにかかる地域で、両陣営とも勝敗のカギを握る州として重視している。

    地殻変動が起きるか

    この3つのベルトは次の大統領選挙でどう動くのか?

    「バイブルベルト」は、伝統的に共和党支持者が多いのが特徴だが、近年、「バイブルベルト」と「サンベルト」が重なる地域では、ヒスパニック系の住民が増え、移民政策に寛容な民主党への支持が広がっているとも言われている。
    さらに、「ラストベルト」では、トランプ大統領に期待した人々から、「恩恵を受けているのは大企業や富裕層だけで、白人労働者の生活改善は実現されていない」という失望の声も出始めている。

    これから本格化する選挙戦。
    候補者たちがどの州でどんなことばを発するのか。
    その意味や狙いが“ベルト”に注目することで見えてくるかもしれない。

    (国際部記者 佐藤真莉子)