朝鮮半島周辺で再び米韓合同軍事訓練
主な出来事
- 8日 朝鮮労働党の中央委員会総会で、キム委員長の妹、キム・ヨジョン氏が党幹部の要職に抜擢される
- 16日 朝鮮半島周辺で米韓合同軍事訓練。米軍が空母や原潜など世界最強の軍事力を集結させる(~21日)
- 20日 米・CIA長官が、北朝鮮が数か月後にも米国本土に到達する核ミサイルを獲得する可能性を示唆
放射性物質 漏出する可能性
北朝鮮が核実験を繰り返してきた北東部の実験場について、韓国気象庁は、実験場がある山の下に空洞ができているという分析を明らかにしたうえで、新たに実験が行われれば、放射性物質が漏れ出す可能性があると指摘しました。
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北朝鮮北東部のハムギョン北道プンゲリにある核実験場は、険しい山々がつらなる山岳地帯にあり、9月までの過去6回の核実験はいずれもここで行われました。
この実験場について、30日、韓国の国会で、議員が「もう一度核実験が行われれば山が崩れて、おびただしい量の放射性物質が朝鮮半島周辺に拡散する可能性が指摘されている」として、政府の見解をただしました。
これに対して韓国気象庁の長官は、「衛星を使って得られた資料を分析したところ、実験場がある山の下に60メートルから100メートルの空洞ができていると見られる。もし、新たに核実験が行われれば、そうなる可能性がある」と述べ新たに核実験が行われた場合、放射性物質が漏れ出す可能性があるという見方を示しました。
また、放射性物質は、実験場周辺で陥没が起こることによっても漏れ出す可能性があり、風に乗って韓国の方向へ流れるおそれがあるとしています。
プンゲリの核実験場の近くでは9月行われた6回目の核実験のあと、自然の地震が相次ぎ、韓国気象庁は核実験によって周辺の断層が不安定になったことが影響していると見ています。
F35A 2機が嘉手納基地に
アメリカ軍の最新鋭のステルス戦闘機「F35A」の2機が30日午後2時半ごろ、沖縄県の嘉手納基地に着陸しました。アメリカ軍は、西部ユタ州の基地に配備されている空軍の「F35A」12機と要員300人を、来月から半年間、嘉手納基地に派遣すると発表していて、沖縄防衛局によりますと、30日に飛来したのは、このうちの2機と見られるということです。嘉手納基地に「F35A」の部隊が派遣されるのは初めてで、北朝鮮への軍事的なけん制を強める狙いがあると見られます。
「目標 完遂の段階」
北朝鮮の国営メディアは、加速させている核・ミサイル開発について「すでに最終完成のための目標達成がすべて成し遂げられた段階にある」と主張し、開発が進んだ可能性を示唆して、アメリカ・トランプ政権への対決姿勢を鮮明にしています。
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これは28日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が論評として伝えたもので、加速させている核・ミサイル開発について「核武力建設の偉業は、すでに最終完成のための目標達成がすべて成し遂げられた段階にある」と主張しました。
そのうえで「いまや残るは、わが国の気概をこれ見よがしに誇示することだけだ」として、さらなる軍事挑発も辞さない構えを示して、アメリカ・トランプ政権をけん制しました。
キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は先月15日、新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射に立ち会った際、「核武力の完成目標はほぼ終着点に至ったのだから、全力を尽くして完成を見届けるべきだ」と述べました。
また今月7日、党の中央委員会総会での演説では「核武力建設の歴史的な偉業を成し遂げる」と述べて、核・ミサイル開発をさらに加速させる方針を強調していました。
北朝鮮は「最終完成のための目標達成がすべて成し遂げられた」とこれまでよりも核・ミサイル開発が進んだ可能性を示唆する表現を使い、トランプ大統領が来月日本や韓国それに中国などを訪問するのを前に、アメリカへの対決姿勢を鮮明にしています。
「日本列島 海中に葬る」
北朝鮮は、アメリカのトランプ大統領の日本訪問を前に、安倍政権に対して「アメリカの手先となって軽率にふるまえば日本列島が丸ごと海中に葬り去られることを肝に銘じるべきだ」と威嚇し、北朝鮮への圧力強化に向けた日米両国の連携をけん制する狙いがあると見られます。
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これは、北朝鮮が朝鮮労働党傘下の団体「アジア太平洋平和委員会」の報道官談話として28日夜、発表したものです。
この中で先の衆議院選挙に言及し、安倍政権について「選挙期間中に『北の核脅威論』と『拉致問題の解決』を騒ぎ立てた。政治の危機に陥るたびにわが国に反対する騒動を起こし権力を持ちこたえるのは日本の常とう手段だ」と主張して、非難しました。
さらに来月、日本を訪問するトランプ大統領に安倍総理大臣が「さらなる圧力強化を要請するだろう」と批判したうえで、「アメリカの手先となって軽率にふるまえば日本列島が丸ごと海中に葬り去られることを肝に銘じるべきだ」と威嚇しました。
北朝鮮としては、トランプ大統領の日本訪問を前に北朝鮮への圧力強化に向けた日米両国の連携をけん制する狙いがあると見られます。
米爆撃機などの展開拡大へ
アメリカのマティス国防長官と韓国のソン・ヨンム(宋永武)国防相、両国の軍幹部が北朝鮮への対応を議論する安全保障協議がソウルで開かれ、北朝鮮の挑発行動を抑止するため、アメリカ軍の爆撃機などの展開の拡大を図り、引き続き連携を強化することを確認しました。
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アメリカと韓国の定例の安全保障協議は28日、ソウルの韓国国防省で開かれ、アメリカ側からマティス国防長官、ダンフォード統合参謀本部議長、韓国側からはソン・ヨンム国防相、チョン・ギョンドゥ(鄭景斗)合同参謀本部議長などが出席しました。
協議では北朝鮮への対応が議論され、両国は北朝鮮の非核化と挑発を止める外交的な努力を軍事力で支えていくとしたうえで、アメリカ軍の爆撃機や空母など戦略兵器の朝鮮半島周辺への展開の拡大を図っていくことを確認しました。
また北朝鮮の核・ミサイルの開発はアメリカと韓国だけでなく日本も含めた3か国の共通の脅威だとして、3か国間の情報共有と協力体制を推進していくことで合意したということです。
アメリカ軍は、北朝鮮情勢への対応に当たる第7艦隊の管轄海域に3隻の空母を展開させるなど活動を活発化させ、来月のトランプ大統領のアジア歴訪を前に外交・経済に加え軍事的な圧力も強める構えを見せています。
北の攻撃には圧倒的な軍事力で対応
アメリカのマティス国防長官は28日、ソウルで開かれた韓国との安全保障協議のあと共同の記者会見に臨みました。この中でマティス長官は、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展で事態の緊迫性が高まっているという認識を示しました。
そのうえで「北朝鮮は幻想を抱くべきではない。北朝鮮は米韓同盟の相手にはならず、もし今のままの道を進むなら、北朝鮮はみずからの安全を低下させていくことになる。アメリカは北朝鮮の核を認めない」と述べて、開発の即時停止と非核化に向けた交渉に応じるよう強く迫りました。
そして、外交による解決が好ましく、外交力を発揮するためにも軍事的な備えが必要だとしたうえで「アメリカと同盟国に対するいかなる攻撃も打ち破る」と述べ、北朝鮮の攻撃には圧倒的な軍事力で対応するとしてけん制しました。
またマティス長官は軍事的な選択肢について「外交努力を補強するとともに脅威を抑止するためのものであり、北朝鮮の脅威を現実的に可能なかぎり低下させる多くの選択肢がある」と述べました。
北朝鮮は非核化交渉を
アメリカのマティス国防長官が韓国を訪れて、南北の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)を視察し、北朝鮮の核・ミサイル開発を強く非難するとともに、「われわれの目標は戦争ではない」と述べて、北朝鮮に非核化に向けた交渉に応じるよう求めました。
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アメリカのマティス国防長官は27日、韓国に到着し、南北の軍事境界線にあるパンムンジョムを視察しました。
マティス長官は、韓国のソン・ヨンム(宋永武)国防相から現地の状況について説明を受けたあと演説し、「北朝鮮では、抑圧的な体制がほかの国々を破局に陥れると脅すために核兵器を追い求め、人々の自由と尊厳を否定し、束縛している」と厳しく非難しました。そのうえで、「われわれの目標は戦争ではなく、完全かつ検証可能で後戻りのできない朝鮮半島の非核化だ」と述べ、北朝鮮に非核化に向けた交渉に応じるよう求めました。
マティス長官は28日、韓国と定例の安全保障会議で今後の北朝鮮への対応を協議することにしていて、北朝鮮の核・ミサイル開発を食い止めるため、引き続き圧力を強めていくと見られます。
アメリカ軍は、空母3隻が北朝鮮情勢への対応にあたる第7艦隊の管轄海域に入ったほか、来月から最新鋭のステルス戦闘機F35を沖縄の嘉手納基地に展開させるなど活動を活発化させています。
「水爆実験」再び警告
アメリカCNNテレビは、先月、北朝鮮の外相が太平洋上での水爆実験に言及したことについて、北朝鮮外務省の幹部が「文字どおり受け取るべきだ」と話したと報じました。北朝鮮としては、トランプ大統領のアジア歴訪を前に、アメリカのメディアを通じてけん制する狙いがあると見られます。
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アメリカのCNNテレビは、25日、北朝鮮の首都ピョンヤンで撮影した外務省幹部のインタビューを伝えました。
北朝鮮のリ・ヨンホ外相は、先月、トランプ大統領の国連演説に反発したキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が声明で言及した「超強硬な対応措置」について、「おそらく水爆の実験を太平洋上で行うことになるのではないか」と述べました。
この発言について、この幹部はインタビューで「外相はわれわれの最高指導者の考えを熟知しており、発言を文字どおり受け取るべきだ」と話したと報じました。北朝鮮は、来月のトランプ大統領のアジア歴訪を前に、アメリカのメディアを通じて、軍事的な選択肢も排除しない姿勢を示すトランプ政権をけん制する狙いがあると見られます。
米軍 3隻目の空母も投入
アメリカ軍は、北朝鮮情勢への対応に当たっている第7艦隊の管轄海域に、空母「セオドア・ルーズベルト」に続いて「ニミッツ」が入ったと発表し、西太平洋からインド洋で活動する空母は、「ロナルド・レーガン」も含めて3隻となりました。今後、空母の動かし方によっては3隻を朝鮮半島周辺に展開させることも可能になると見られ、北朝鮮への圧力を強める狙いもありそうです。
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アメリカ軍は25日、空母「ニミッツ」と5隻のミサイル駆逐艦などからなる第11空母打撃群が、中東での任務を終えてインド洋周辺の第7艦隊の管轄海域に入ったと発表しました。
第7艦隊は、横須賀基地を拠点に西太平洋からインド洋を管轄していて、アメリカ軍は24日、空母「セオドア・ルーズベルト」が西太平洋の第7艦隊の管轄海域に入ったと発表したばかりでした。
北朝鮮情勢への対応に当たっている第7艦隊では、空母「ロナルド・レーガン」が現在、朝鮮半島周辺で活動していて、第7艦隊の管轄海域に3隻の空母が同時に展開していることになります。
第7艦隊は、空母「ニミッツ」の今後の活動について、「管轄海域を通じ作戦への支援に備えることになる」としていますが、具体的な計画については明らかにしていません。
アメリカ軍は、ことし6月、空母2隻を日本海に投入し、軍事演習を実施したことがありますが、今後、空母の動かし方によっては3隻を朝鮮半島周辺に展開させることも可能になると見られ、来月上旬のトランプ大統領によるアジア歴訪に向けて、北朝鮮への圧力を強める狙いもありそうです。
米空母 西太平洋に2隻
アメリカ軍は、朝鮮半島周辺で空母「ロナルド・レーガン」が活動するなか、第7艦隊が管轄する西太平洋の海域に空母「セオドア・ルーズベルト」が入ったと発表し、ことしの夏以来、西太平洋の海域で再び空母2隻の態勢となりました。
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アメリカ軍は24日、空母「セオドア・ルーズベルト」がミサイル駆逐艦など4隻とともに横須賀基地を拠点とする第7艦隊が管轄する西太平洋の海域に入ったと発表しました。
「セオドア・ルーズベルト」は今月はじめ、アメリカ西海岸のカリフォルニア州サンディエゴの母港を出港して太平洋をアジア方面に向けて航行していました。
第7艦隊は、太平洋の日付変更線の西側の西太平洋からインド洋に至る広大な海域を管轄していますが、朝鮮半島の周辺で現在、空母「ロナルド・レーガン」が活動していて、西太平洋の海域で空母2隻が展開することになります。
アメリカ軍はことし6月、日本海で空母2隻を展開させて異例ともいえる軍事演習を実施していますが、最近は「ロナルド・レーガン」1隻がこの海域での任務についていて、西太平洋で空母2隻の態勢になるのは、この夏以来です。
アメリカ軍は先月、B1爆撃機を北朝鮮東方沖の国際空域で飛行させたほか、今月、朝鮮半島の周辺に「ロナルド・レーガン」を開させて韓国軍との共同訓練を実施するなど、朝鮮に対する事的な圧力を強める構えを見せています。
米軍 F35を嘉手納基地に派遣
アメリカ太平洋空軍は最新鋭のステルス戦闘機、F35A、12機と要員およそ300人を来月から半年間、沖縄県の嘉手納基地に派遣すると発表し、北朝鮮に対する軍事的なけん制を強めてさらなる挑発行動を抑止する狙いもあると見られます。
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アメリカ太平洋空軍は23日、西部ユタ州の基地に配備されている空軍のF35A、12機と要員およそ300人を来月から半年間、沖縄県の嘉手納基地に派遣すると発表しました。
嘉手納基地には駐留するF15戦闘機の部隊に加え、これまでもF22戦闘機などが一時的に配備されたことがありますが、F35Aの部隊が派遣されるのはこれが初めてです。
トランプ政権は北朝鮮に対する外交、経済面での圧力を強化する中、今月、朝鮮半島の周辺海域にアメリカ軍の空母を展開して韓国軍と共同訓練を実施するなど軍事的な圧力も強めています。
今回の派遣について太平洋空軍のオショネシー司令官は「F35Aには現在の、そして新たな脅威に対し、地球規模で精密攻撃を加えられるかつてない能力がある」としていて、最新鋭の戦闘機の展開で北朝鮮への軍事的なけん制を強め、さらなる挑発行動を抑止する狙いもあると見られます。
動画解説)F35派遣の狙いは
(56秒)
日米韓 北のミサイル探知訓練
韓国国防省は、日本とアメリカ、それに韓国の3か国が北朝鮮による弾道ミサイルの発射を想定した訓練を24日から日韓の周辺の海域で始めたと発表し、繰り返される北朝鮮による弾道ミサイル発射への対応能力を強化していく姿勢を示しました。
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これは韓国国防省が24日に明らかにしたもので、訓練は24日と25日の2日間行われ、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したという想定で海上自衛隊と米韓両海軍のイージス艦が日韓の周辺の海域で仮想のミサイルを探知、追跡し、収集した情報を共有する手順などについて確認するということです。
訓練について、韓国軍合同参謀本部のノ・ジェチョン(魯在天)広報室長は「北のミサイルの脅威に備えるための訓練だ」と述べ、繰り返される北朝鮮による弾道ミサイル発射への対応能力を強化していく姿勢を示しました。
日米韓3か国によるこの訓練は去年6月から始まり、今回で5回目です。海上自衛隊によりますと、今回の訓練には護衛艦の「きりしま」と「みょうこう」の2隻が参加しています。
小野寺防衛大臣とアメリカのマティス国防長官、それに韓国のソン・ヨンム(宋永武)国防相は23日夜、訪問先のフィリピンで会談し、3か国が共同訓練の実施など防衛面の協力によって北朝鮮に圧力をかけ続けていくことを確認しています。
習主席に対北圧力の強化要求へ
アメリカのホワイトハウスの高官は23日、トランプ大統領のアジア歴訪について記者会見を開きました。このうち、来月8日からの中国訪問では習近平国家主席と会談し、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力を強化するよう求めると強調しました。
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また、中国訪問に先立つ来月5日からの日本訪問では、日米首脳会談などを行うほか、東京の横田基地でアメリカ軍兵士や自衛隊員を激励することを明らかにしました。そしてトランプ大統領が日米同盟は地域の平和と安全保障の礎だとして協力していく方針を確認するという見通しを示しました。
一方、トランプ大統領が日本の次に訪れる韓国で、南北を隔てる非武装地帯を視察するかどうかについては「安全面の懸念はない」としながらも別の基地を訪れる可能性が高いため時間的に難しいと述べました。
カーター元大統領 訪朝に意欲
1994年に電撃的に北朝鮮を訪問し、核危機の回避に尽力したアメリカのカーター元大統領は、最近の北朝鮮の核・ミサイル開発に懸念を示したうえで、トランプ政権が必要とするなら、事態打開のため、みずから北朝鮮を訪問する意向を示しました。
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カーター元大統領は、22日付けのアメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズに掲載されたインタビューで、北朝鮮について、「朝鮮半島や日本、それに、太平洋のアメリカ領やおそらくアメリカ本土さえも破壊できる核兵器を得たと思う」と述べ、最近の核・ミサイル開発に懸念を示しました。
そのうえで、ホワイトハウスのマクマスター大統領補佐官に「必要とするなら私は用意がある」と伝えたことを明らかにし、トランプ政権が必要とするなら、事態打開のため、みずから北朝鮮を訪問する意向を示しました。
これについて、ホワイトハウスの当局者はNHKの取材に対し、「ナンセンスだ」と述べ、カーター元大統領の北朝鮮訪問に否定的な考えを示しています。
カーター元大統領は、1994年に電撃的に北朝鮮を訪問し、いわゆる第1次核危機の回避に尽力したほか、北朝鮮に拘束されていたアメリカ人男性の解放などのため、2010年と2011年にも訪朝しています。
「核放棄迫る対話に応じない」
ロシアで開かれた国際会議に出席した北朝鮮外務省のアメリカ担当の幹部は、「われわれに最大限の圧力を加えて核の放棄を迫る対話に応じる必要性を感じない」と述べ、核放棄を前提としたアメリカのトランプ政権との話し合いには応じない考えを重ねて強調しました。
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ロシアのモスクワで、核兵器の不拡散をテーマにした国際会議に出席した、北朝鮮外務省のチェ・ソニ北米局長は、22日、滞在先のホテルで報道陣の取材に応じました。この中で、チェ局長は、北朝鮮の核問題をめぐる、日本やアメリカ、韓国などとの6か国協議について、「われわれの非核化を前提とする協議には応じないという立場を会議の場で明らかにした」と述べ、非核化を話し合う6か国協議は無効だとする考えを改めて示しました。
そのうえで、アメリカのトランプ政権に対し、「われわれに最大限の圧力を加えて、核の放棄を迫る対話に応じる必要性を感じない」と述べて、核放棄を前提とした話し合いには応じない考えを重ねて強調しました。
そして「アメリカと、力の均衡を実現することがわれわれの最終目標だ。アメリカによる軍事的な挑発が続く状況では、一層の核抑止力が必要だ」と主張し、核・ミサイル開発をさらに加速させる姿勢を改めて示しました。
「あらゆる準備できている」
アメリカのトランプ大統領は、22日放送されたFOXテレビのインタビューで、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮について「われわれはあらゆる準備ができている。われわれがどれだけ万全に準備ができているか知ったら、きっと驚くだろう」と述べ、軍事的な選択肢も排除しない姿勢を改めて示し、北朝鮮を強くけん制しました。
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また、北朝鮮の後ろ盾になっている中国について、中国の銀行が北朝鮮との取り引きを停止したことなど、制裁強化に向けた動きを評価しました。そのうえで「習近平国家主席は、北朝鮮に対して非常に重大な対応をとる力があると信じている」と述べ、来月8日からの中国訪問を通じて北朝鮮に対するさらなる圧力に向けた連携の強化に期待を示しました。
米空母 引き続き半島周辺に
朝鮮半島周辺の海域で20日まで韓国軍との共同訓練に参加していたアメリカ軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」が、21日、南部プサン(釜山)の海軍基地に入港しました。アメリカ軍は、空母などを朝鮮半島周辺に引き続き展開させて、北朝鮮の新たな軍事挑発への警戒や監視を続けることにしています。
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アメリカ軍の原子力空母で神奈川県の横須賀基地を母港とする「ロナルド・レーガン」は、21日正午ごろ、韓国南部プサンの海軍基地に入港しました。「ロナルド・レーガン」は、20日までの5日間、朝鮮半島周辺の海域で、北朝鮮の潜水艦やミサイルへの対応を想定して、韓国海軍のイージス駆逐艦などと共同訓練を行っていました。
21日はおよそ70機を搭載する空母の巨大な甲板が報道陣に公開され、FA18攻撃戦闘機やE2D早期警戒機などが並ぶ中、兵士たちが機体の整備にあたっていました。
空母の入港にあたり、在韓アメリカ海軍のブラッド・クーパー司令官は記者会見し、「朝鮮半島の安定と北朝鮮の挑発の抑制のために、アメリカはいつでも支援する準備ができている」と述べて、北朝鮮をけん制しました。
北朝鮮は、米韓が行った共同訓練に強く反発しており、アメリカ軍は「ロナルド・レーガン」などを朝鮮半島周辺に展開させて、北朝鮮の新たな軍事挑発への警戒や監視を続けることにしています。
ソウルを低空飛行 北をけん制
韓国ソウル近郊にある空軍基地で行われた航空ショーで、アメリカ軍は、B1爆撃機が会場上空を低空飛行する様子を一般に公開し、核やミサイル開発を加速させる北朝鮮をけん制する狙いがあるものと見られます。
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この航空ショーは2年に1度、韓国のソウル近郊にある空軍基地で開かれていて、22日までの期間中、アメリカ軍の最新鋭のステルス戦闘機「F35」などが展示されています。
21日は、グアムの空軍基地から派遣されたB1爆撃機が、韓国空軍の戦闘機とともに会場上空を低空で飛行する様子が一般に公開されました。
B1爆撃機はアメリカ軍の航空機の中では最も多くの通常兵器を搭載でき、今月10日には日本海の上空などで、自衛隊や韓国軍とそれぞれ夜間の飛行訓練を実施しています。また、先月には北朝鮮の東方沖の国際空域で飛行し、北朝鮮は強く反発しました。
アメリカ軍は、航空ショーでB1爆撃機の飛行の様子を一般に公開することで、核やミサイル開発を加速させる北朝鮮をけん制する狙いがあるものと見られます。
空軍基地には韓国空軍が来年から導入する大型の無人偵察機グローバルホークも展示されていて、およそ1万8000メートルの上空から行う情報収集で、北朝鮮に対する監視はさらに強化されることになっています。
北朝鮮高官 核開発を正当化
日本やアメリカ、それに北朝鮮の外交関係者などが出席する国際会議で、北朝鮮外務省の高官は「わが国の核兵器は、アメリカから主権を守るための闘争の結果だ」として、みずからの核開発を正当化するとともに、核兵器の放棄をめぐる交渉には応じられないという立場を強調しました。
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ロシアの首都モスクワで開かれている核不拡散をテーマにした国際会議には、外務省の金杉アジア大洋州局長や、アメリカのシャーマン元国務次官、それに、北朝鮮外務省でアメリカを担当するチェ・ソニ北米局長などが出席しています。
会議2日目の20日、チェ局長が北東アジアの安全保障について演説し、「朝鮮半島はアメリカの敵視政策のせいで一触即発の状態だ」と述べて、トランプ政権が緊張を高めていると厳しく非難しました。そのうえで、「わが国の核兵器は、アメリカによる核の脅しから主権を守るため、国民が血のにじむ闘争を行った結果だ」と述べ、みずからの核開発を正当化するとともに、核兵器の放棄をめぐる交渉には応じられないという立場を強調しました。
この国際会議は21日まで開かれ、北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させる中、日米両国が北朝鮮側と個別に接触するのかどうかが注目されていますが、これまでのところ、いずれの国の関係者も本格的に接触する予定はないとしています。
訓練終了 軍事挑発への警戒継続
北朝鮮による軍事挑発に備えてアメリカ軍と韓国軍が、朝鮮半島周辺の海域で行っていた共同訓練が20日終了しました。米韓両軍は、今後も北朝鮮が軍事挑発に出る可能性があるとして、警戒と監視を続けることにしています。
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韓国軍によりますと、今月16日から朝鮮半島周辺の海域で、アメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」や、韓国海軍のイージス駆逐艦など艦艇およそ40隻が参加して行われていた共同訓練が20日午後、終了しました。
訓練は、北朝鮮による軍事挑発に対する米韓共同の作戦遂行能力の向上などを目的に行われ、北朝鮮の潜水艦やミサイルに対応したり、韓国に上陸しようとする特殊部隊を攻撃したりする訓練が行われました。
米韓両軍は、今後も北朝鮮が軍事挑発に出る可能性があるとして、警戒と監視を続けることにしています。
一方、韓国空軍は20日、来年から導入する大型の無人偵察機「グローバルホーク」を中心に、北朝鮮の動向を24時間体制で監視、分析する部隊をことし12月1日に新たに創設することを明らかにしました。
韓国国防省は朝鮮半島有事の際、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長など北朝鮮指導部に対する攻撃、いわゆる「斬首作戦」を担う部隊も年内に新たに創設する計画で、北朝鮮への圧力を強化していく姿勢を改めて示した形です。
米本土到達の核ミサイル
数か月後にも獲得か
アメリカのCIA=中央情報局のポンペイオ長官は、19日開かれたシンポジウムで、北朝鮮が核を搭載したICBM=大陸間弾道ミサイルを獲得する時期の見通しについて問われたのに対し、「近づいている。今、問われているのは最終段階でどう止めるかだ」と答えました。そのうえで、「過去数年間、我々は北朝鮮の核ミサイル計画の進展状況をかなり把握してきたが、数か月後には、もはや、それほど重要ではなくなる」と述べ、北朝鮮が数か月後にもアメリカ本土に到達する核ミサイルを獲得する可能性を示唆しました。
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また、ポンペイオ長官は、国連の安全保障理事会で、中国が北朝鮮への制裁に賛成したことなどに一定の評価をしたうえで、「北朝鮮のような脅威を減らすために、中国が世界的に重要なプレーヤーとして行動することを期待している」と述べ、北朝鮮に対して圧力を強めるため中国のさらなる行動を促しました。
大規模な砲撃訓練を準備か
北朝鮮による新たな軍事挑発が懸念される中、韓国の公共放送KBSは「北朝鮮が近く、大規模な砲撃訓練を行う準備しているものと見られる」と伝えました。それによりますと、数百余りのロケット砲が北朝鮮東部のウォンサン(元山)に移動している様子を米韓情報当局がつかんだということです。北朝鮮は、ことし4月にも、朝鮮人民軍創設85年に合わせて、ウォンサンで「軍創設以来、最大規模の砲撃訓練」を行っています(写真)。KBSは、アメリカが原子力空母などを朝鮮半島に派遣し圧力を強めている中、長距離弾道ミサイル発射のような超強硬な挑発は避けながらも屈服はしないという軍事的意志の表れだとしています。
「自衛的行動を断行」
北朝鮮は、アメリカ軍と韓国軍が原子力空母などを参加させて行っている海上での共同訓練について「われわれの自衛的行動が任意の時刻に断行されることになることを一瞬たりとも忘れてはならない」として反発を強めています。
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北朝鮮の国営メディアは19日未明、米韓の共同訓練に反対する団体の報道官の名義で声明を発表し「朝鮮半島情勢を最悪に激化させ、地域の平和と安定を破壊する危険千万な軍事的挑発だ」と主張して非難しました。そのうえでアメリカと韓国に対し「われわれの適切な自衛的行動が任意の時刻に断行されることになることを、一瞬たりとも忘れてはならない。超強力な対応措置が十分に用意されていることも知るべきだ」と威嚇しました。
北朝鮮の国営メディアは共同訓練が始まった今月16日「朝鮮半島情勢は極度の緊張局面になる」と非難したほか、17日も「アメリカの制裁や圧迫にも、軍事的選択にも対処できる万端の準備が整っている」としており、米韓両国への反発を強めています。
米軍 空母を公開
アメリカ軍は、16日から朝鮮半島周辺の海域で韓国軍と共同訓練を行っている原子力空母「ロナルド・レーガン」を15日、韓国メディアに公開しました。「ロナルド・レーガン」は、戦闘攻撃機や早期警戒機など、およそ70機を搭載することができ、空母の甲板では、FA18戦闘攻撃機がごう音とともに発着を繰り返していたほか、艦内の格納庫では、整備士がエンジンの状態を確認していました。「ロナルド・レーガン」は20日まで、韓国海軍のイージス駆逐艦などと、北朝鮮の潜水艦やミサイルに対応したり、海上を封鎖したりするための訓練に参加する予定です。
中国共産党大会 挑発に警戒
北朝鮮はことしに入って中国が重視する行事のさなかに核実験やミサイル発射を強行していることから、18日に北京で開幕する中国共産党大会に合わせて新たな軍事挑発を行うのではないかという見方が出ており、各国が警戒を強めています。
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核・ミサイル開発を巡って中国とぎくしゃくした関係が続いている北朝鮮は、ことし3月、中国が向こう1年間の重要政策を話し合うために開いた全人代=全国人民代表大会の2日目に、中距離弾道ミサイルの「スカッドER」と見られる4発を同時に発射したほか、5月には、中国が提唱する巨大な経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際会議の初日に、新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」1発を初めて発射しました。
さらに、先月には、中国南部で開かれた新興5か国で作るBRICSの首脳会議の初日に、北朝鮮は6回目の核実験を強行しています。
このように、北朝鮮はことしに入って中国が重視する行事のさなかに挑発に出る傾向を強めており、アメリカ主導の制裁強化に中国が同調しているとして不満を募らせていることが背景にある可能性があります。
このため、18日に北京で開幕する5年に1度の中国共産党大会にあわせて、新たな軍事挑発を行うのではないかという見方が出ています。
また、アメリカ軍と韓国軍が行っている海上での共同訓練についても、北朝鮮は17日、「アメリカの制裁・圧迫にも、軍事的選択にも対処できる万端の準備が整っている」と反発しており、各国が警戒を強めています。
北が短い祝電 冷めた関係反映
北朝鮮の国営メディアは18日、中国共産党大会の開幕に合わせて、朝鮮労働党中央委員会の名義で祝電が送られたことを伝えました。祝電では「中国共産党大会を熱烈に祝賀し、すべての党員と中国人民に温かいあいさつを送る。今回の大会が円満な成果を収めることを心から祈る」としています。一方で、5年前の前回大会の際に北朝鮮が送った祝電に比べると、文面の長さは3分の1程度で、「兄弟的中国人民」とか「伝統的な中朝親善」といった文言も含まれていません。かつて、朝鮮戦争を共に戦い「血の同盟」とまで言われた中朝関係。祝電は、北朝鮮による核・ミサイル開発をめぐってぎくしゃくしている今の両国関係を反映したものと見られます。
動画解説)最強の軍事力集結
(4分01秒)
16日から始まった米韓合同軍事演習。米軍は原子力空母や原子力潜水艦、さらにはステルス戦闘機など、世界最強の軍事力を朝鮮半島に集結させています。緊張が一段と高まっている状況や今後の焦点について解説します。
「万端の準備整う」強い反発
アメリカ軍と韓国軍が原子力空母などを参加させ、16日から朝鮮半島の周辺海域で共同訓練を開始したことについて、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は17日、論評を伝え、「われわれの急速な核武力の高度化と超強硬な立場によって追い込まれたアメリカの必死のあがきだ」と強調しました。そのうえで、「自衛的な核武力を保有したわが国は、アメリカの制裁・圧迫にも、軍事的選択にも対処できる万端の準備が整っている」と強い反発を示しました。
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さらに論評では、「アメリカと力の均衡を成し遂げるときまで、核武力強化のためのわが国の努力は、一瞬たりとも止まらない」として、核・ミサイル開発を加速させる姿勢を改めて鮮明にしました。
今回の共同訓練をめぐって北朝鮮の国営メディアは、16日も、「軍事的な威嚇であり、朝鮮半島情勢は極度の緊張局面になる」と非難しており、共同訓練への反発を口実にした、新たな軍事挑発が懸念されています。
電磁パルス攻撃に備え研究加速
小野寺防衛大臣は、北朝鮮が、核爆発による強烈な電磁波で通信や電力に障害を与える「電磁パルス攻撃」に言及していることも踏まえ、都内の研究施設を視察し、万が一に備えて攻撃の防御に向けた研究を加速させる考えを示しました。
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「電磁パルス攻撃」は、高高度で核爆発を起こし、発生した強烈な電磁波で地上の通信や電力などに障害を与えるもので、北朝鮮がこうした攻撃に言及しています。
これも踏まえ、小野寺防衛大臣は、東京・世田谷区にある防衛装備庁の「電子装備研究所」を訪れ、特殊な装置を使って発生させた電磁波を強めていくとパソコンの画面が消える実験の様子を視察しました。
また、担当者から防衛装備への影響を調べたり、防御策の開発につなげたりするため、来年度から「電磁パルス弾」の試作に着手することについて説明を受けました。
視察のあと小野寺大臣は記者団に対し、「北朝鮮が『電磁パルス攻撃を行う』と発言している現実もあり、万が一の場合に防衛上の重要な施設やライフラインが大きく損なわれないよう技術開発が必要だ」と述べました。
中国以外と関係強化
北朝鮮の指導者の秘密資金を管理する部署に関与し2014年に脱北したという男性がアメリカで講演し、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が当時、「中国に代わる市場としてロシアや東南アジアを見るように命令した」と証言し、中国以外の国との関係強化に乗り出していると指摘しました。
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この男性は、2014年後半に韓国に脱北したあと、去年アメリカに渡ったリ・ジョンホ氏で、16日、ニューヨークの国際交流機関で行われたアメリカ政府元高官との座談会に出席しました。
リ氏はみずからについて、30年以上、北朝鮮と外国との貿易に従事し、朝鮮労働党の外貨稼ぎや最高指導者の秘密資金を管理する「39号室」という部署に関わっていたと説明したうえで、「39号室」では最高指導者の資金作りに数十万人が従事していたと述べました。
そのうえでリ氏は、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が2014年に、北朝鮮より先に韓国を訪問した中国の習近平国家主席に激怒し幹部を集めた会議で、「中国に代わる市場としてロシアや東南アジアを見るように命令した」と証言し、北朝鮮が中国以外の国との関係強化に乗り出していると指摘しました。
リ氏は、また、北朝鮮に対して国連安全保障理事会がことし相次いで採択した制裁決議について「過去の制裁とはレベルが全く違う。市場を完全に封鎖していて、効果は大きい」と述べて、北朝鮮にとって相当な圧力になるという認識を示しました。
ロシア大統領 北との協力制限
ロシアのプーチン大統領は、国連安保理の制裁決議に基づき、北朝鮮との協力を制限する大統領令に署名しました。ロシアとしては、決議を履行し、北朝鮮と一定の距離を取ることで、国際社会からの批判をかわすとともに、北朝鮮にくぎを刺し、対話を促す狙いがあるものと見られます。
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ロシア政府は16日、北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議に基づき、プーチン大統領が北朝鮮との協力を制限する大統領令に署名したと発表しました。
それによりますと、北朝鮮から銅やニッケル、銀、亜鉛を購入することや、北朝鮮に新しいヘリコプターや船舶を供給することを禁止したほか、医療分野以外の核・ミサイル開発計画を推進するおそれがある科学技術協力を停止するとしています。さらに、500ドル以上のじゅうたんや100ドル以上の陶磁器の取り引きも禁止しています。
北朝鮮は、核・ミサイル開発をめぐって、アメリカのトランプ政権との対決姿勢を強めているだけでなく、後ろ盾の中国ともぎくしゃくした関係が続いていて、ロシアに接近する動きを見せています。
ロシアとしては、国連安保理の制裁決議を履行し、北朝鮮と一定の距離を取ることで国際社会からの批判をかわすとともに、このままでは孤立することになるとくぎを刺すことで、北朝鮮に対話を促す狙いがあるものと見られます。
「世界で最も厳しい制裁」合意
核やミサイルの開発を続ける北朝鮮に対して、EU=ヨーロッパ連合は、原油の輸出や北朝鮮の労働者に対する労働許可の更新の禁止などを盛り込んだ追加の独自制裁を科すことで合意しました。EUのモゲリーニ上級代表は「世界で最も厳しい制裁を科すことになる」と強調しました。
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EUは、ルクセンブルクで16日、外相会議を開き、核やミサイルの開発を続ける北朝鮮に対して追加の独自制裁を科すことで合意しました。
この独自制裁には、あらゆる分野での北朝鮮への投資のほか、原油や石油製品の輸出を全面的に禁止することが盛り込まれています。また、北朝鮮の労働者がEU域内で獲得する外貨が北朝鮮の資金源になっているとして、すでに域内にいる北朝鮮労働者の労働許可の更新を禁止することや、北朝鮮への送金の上限を1人1回当たり1万5000ユーロから5000ユーロ、 日本円にして66万円余りに引き下げることも盛り込まれています。
EUは、北朝鮮労働者に対して新規の労働許可を出すことをすでに禁止していて、追加制裁によって北朝鮮労働者は今後、EU域内から完全に排除されることになります。
EUのモゲリーニ上級代表は「制裁によって北朝鮮に対する経済的、外交的圧力を最大限にする。EUは世界で最も厳しい制裁を科すことになる」と述べ制裁の意義を強調しました。
そのうえで、アフリカやアジアの国々にも国連安全保障理事会の決議を着実に実行するよう働きかけていく考えも示しました。
米韓両軍 海上共同訓練を開始
アメリカ軍と韓国軍は、16日午前から5日間の日程で、朝鮮半島の周辺海域で共同訓練を開始しました。訓練の目的は、「北の海上での挑発への対応と、米韓連合の作戦遂行能力の向上だ」としています。韓国海軍が記者会見で発表しました。
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今回の訓練には、アメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」や、韓国海軍のイージス駆逐艦など艦艇およそ40隻のほか、戦闘機や哨戒機などが参加し、朝鮮半島の東側の海域で、空母を護衛したり、北朝鮮の潜水艦やミサイルに対応したりする訓練が行われる予定です。
また、朝鮮半島の西側の海域では、韓国に上陸しようとする敵の特殊部隊に対する攻撃訓練などが実施されることになっています。
北朝鮮は、米韓両軍が1年前の去年10月に海上で共同訓練を行った際、最終日に、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」と見られる1発の発射を試みて失敗しています。
ことしの訓練にも反発している北朝鮮が、期間中に、先月15日以来となる弾道ミサイルの発射を強行するなど、軍事挑発に出る可能性があり、米韓両軍は、警戒と監視を強化しながら予定された訓練を進める方針です。
「朝鮮半島 極度の緊張局面に」
16日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、16日から始まったアメリカ軍と韓国軍による海上での共同訓練について、「アメリカの原子力空母『ロナルド・レーガン』などを引き入れ、火薬のにおいを漂わせている。われわれに対する軍事的な威嚇であり、朝鮮半島情勢は極度の緊張局面になる」と非難しました。
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そのうえで、韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権に対し、「外部勢力と結託して軍事的な挑発に熱を上げれば上げるほど、朝鮮半島から戦争の根源を取り除くというわれわれの意志はさらに固くなる」と反発しています。
そして労働新聞は「警告を無視して軍事的挑発に躍起となり続けるならば、待ち受けているのは破滅だけだ」として、強くけん制しました。
中国の“重要な日”に挑発か
北朝鮮による新たな軍事挑発はあるのか? 米韓共同訓練以外にも、関係国が警戒を強める要因になっているのが、中国で18日から始まる、5年に1度の中国共産党大会です。2期目を迎える習近平国家主席が今後の政治基盤を固める重要な会議です。実は、北朝鮮はことし、中国にとって「重要な日」に合わせるかのように軍事挑発を行ったケースがあります。5月、中国が提唱する経済圏構想をテーマにした国際会議の初日に新型の弾道ミサイルを発射。さらに9月には、中国で開かれた新興5か国の首脳会議の初日に核実験を強行しています。関係国の警戒が続いています。
ステルス戦闘機やB1爆撃機も
米韓合同訓練の一方で、アメリカ軍は、17日から22日までソウル近郊の空軍基地で行われる航空ショーに合わせて、最新鋭のステルス戦闘機の「F35」や「F22」を派遣しており、16日、メディアに公開しました。さらにアメリカ軍は、今月21日に航空ショーで、北朝鮮がとりわけ警戒しているB1爆撃機を飛行させることにしています。米韓両軍としては、共同訓練などへの反発を口実に、先月15日以来となる弾道ミサイルの発射など、軍事挑発に出る可能性のある北朝鮮を、強くけん制する狙いがあると見られます。
「最初の爆弾まで外交努力」
アメリカのティラーソン国務長官は、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応について、軍事的な選択肢を用意していることを強調しながらも、「外交努力は、最初の爆弾が投下されるまで続く」と述べ、ギリギリまで外交を重視する姿勢を示し、北朝鮮に方針の転換を強く促しました。
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アメリカのティラーソン国務長官は15日、テレビ局の番組に相次いで出演し、トランプ大統領が今月、ツイッターに「北朝鮮との交渉の試みは時間のむだだ」と投稿したことについて真意を問われ、「大統領は、キム・ジョンウン(金正恩)とその政権に対し、軍事的な選択肢をいつでも使う用意があると伝えたいのだと思う」と説明しました。
そのうえで、「大統領は私に外交を通じて問題を解決したいということも明確に示していて、戦争は求めていない。外交努力は、最初の爆弾が投下されるまで続く」と述べました。
ティラーソン長官としては、軍事的な選択肢を検討していることを強調しながらも、ギリギリまで外交を重視する姿勢を示し、北朝鮮に対して、核・ミサイル開発の放棄に転じるよう強く促す狙いがあると見られます。
一方、ホワイトハウスの安全保障担当のマクマスター大統領補佐官は、FOXテレビの番組に出演し、「大統領は、ならずもののキム・ジョンウン政権が核兵器でアメリカを脅すことを許さない。大統領はそのためには何でもする。軍幹部は対応を練り、改善させている。それを用いるのは望まないが準備は必要だ」と述べ、北朝鮮をけん制しました。
トランプ発言に対決姿勢あらわ
アメリカのトランプ大統領が、核・ミサイル開発を加速させている北朝鮮に対して「たった1つのことだけが効果があるだろう」とツイッターに書き込んだことについて、北朝鮮の国営メディアは「アメリカが軍事挑発の道に進むなら、アメリカ本土が核の攻撃で焦土化するだろう」と対決姿勢をあらわにしました。
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アメリカのトランプ大統領は、今月7日、北朝鮮に対して「たった1つのことだけが効果があるだろう」とツイッターに書き込んだほか、5日にも「嵐の前の静けさかもしれない」と発言し、けん制しました。
これについて北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は14日、論評を掲載し、「思いついた言葉を気の向くままに発して誰かを驚かせようとしたことは笑止極まりない」と非難しました。そのうえで一連の発言について「制裁と圧迫に失敗した場合、軍事的対応を選択しうることを示唆している。アメリカが軍事挑発の道に進むなら、アメリカ本土が核の攻撃で焦土化するだろう」と威嚇しました。
北朝鮮は13日も、外務省傘下のアメリカ研究所の研究員の名前で「アメリカの軍事的行動はわれわれを軍事的に対応せざるをえなくしている」と主張する論評を発表し、「グアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画をはじめとする自衛的措置を講じると、すでに警告した」と、改めてグアム島に言及するなど、トランプ政権への対決姿勢を強調しています。
16日から米韓共同訓練
米空母も参加
韓国国防省は13日、北朝鮮による軍事挑発に備えて、今月16日から朝鮮半島の周辺の海域で、アメリカ海軍の原子力空母や韓国海軍のイージス駆逐艦などが参加して共同訓練を行うと発表しました。
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韓国国防省の発表によりますと、米韓両軍は、北朝鮮による海上での軍事挑発に備えて合同で作戦を遂行する能力の向上を図るため、今月16日から5日間の日程で、朝鮮半島の周辺の海域で共同訓練を行うということです。
訓練には、アメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」や韓国海軍のイージス駆逐艦など艦艇およそ40隻に加えて、F15戦闘機や哨戒機、ヘリコプターなどが参加するとしています。
期間中は、米韓両軍による空母の護衛や、北朝鮮の潜水艦とミサイルへの対応、それに海上封鎖などの訓練を行うほか、韓国国防省の関係者によりますと、海上に展開した敵の特殊部隊に対する攻撃訓練も実施するということです。
米韓両軍は去年10月にも、北朝鮮の朝鮮労働党の創立記念日から6日間にわたって海上での共同訓練を行いましたが、その際、最終日に、北朝鮮が北西部から新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」と見られる1発の発射を試みて失敗しています。
北朝鮮が、ことしの訓練にも強く反発するのは必至で、対抗措置として新たな軍事挑発に出る可能性があり、米韓両軍は、警戒と監視を強化することにしています。
最大限の経済圧力 G7が一致
G7=主要7か国はアメリカのワシントンで財務相・中央銀行総裁会議を開き、核やミサイルの挑発を続ける北朝鮮への対応を協議しました。会合でG7は、北朝鮮の一連の行動は国際平和と安全保障への重大な脅威となっており、国連の制裁を逃れようとする北朝鮮に対して、最大限の経済的な圧力をかける必要があるという認識で一致しました。さらにG7は、国連安全保障理事会の決議に基づく制裁を完全に履行させるために、北朝鮮の制裁逃れへの対応を含め、今後、一層協力していくことを確認しました。
「情報の収集・分析を強化」
アメリカのトランプ政権が、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への圧力を強める中、CIA=中央情報局のポンペイオ長官は12日に行った講演で、「キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長のみならず、側近やエリート層の情報、それに北朝鮮国内の市場で何が起きているのかについて、トランプ大統領に報告することに没頭している」と述べました。そのうえで、ことし5月に新設した北朝鮮を専門に担当する「ミッションセンター」を中心に、北朝鮮をめぐるCIAの分析能力が向上しているとして、北朝鮮国内の情報の収集と分析を強化していることを明らかにしました。
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一方、ホワイトハウスのケリー大統領首席補佐官は12日の記者会見で、北朝鮮が、ICBM=大陸間弾道ミサイルの弾頭を大気圏に再突入させる技術の開発を進めていると指摘しました。そして、「現時点では対処可能な脅威だと考えている」と述べたうえで、アメリカ本土に届く核ミサイルの能力が確立される前に事態を打開する必要があるという考えを示しました。
核放棄めぐる交渉には応じず
北朝鮮のリ・ヨンホ外相は11日、ピョンヤンを訪れているロシア国営のタス通信の社長と会談しました。これについてタス通信は、リ外相が会談で「われわれは、核兵器が対象となるいかなる交渉にも絶対に同意しない。現在は、アメリカと話し合える雰囲気ではない」と主張し、核放棄をめぐる交渉には応じないとする姿勢を強調したと伝えました。
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また、北朝鮮国営の朝鮮中央通信によりますと、リ外相は会談で「アメリカの核の脅威から祖国を守るための闘争がもたらした正義の宝剣である核抑止力を堅持する」と述べ、北朝鮮が加速させている核・ミサイル開発を正当化しました。そのうえで、「未曽有の戦略武力で、わが国の絶滅をほざいたアメリカに炎のいかずちを浴びせ、反米対決戦を総決算しようとすることは、絶対不変の意志だ」として、アメリカへの対決姿勢を改めて鮮明にしました。
このほど朝鮮労働党の政治局員に昇格したばかりのリ外相は、会談の中で、国交樹立から12日で69年となるロシアとの友好関係をさらに強化する考えも示しており、北朝鮮としては、ロシアへの接近を図ることで、アメリカ・トランプ政権や、関係がぎくしゃくしている中国をけん制する狙いがあるとみられます。
圧力強まる中 ロシアに接近
北朝鮮がロシアと国交を樹立して12日で69年です。北朝鮮国営の朝鮮中央通信によりますと、リ・ヨンホ外相は11日、ロシア国営のタス通信のミハイロフ社長との会談の中で、「親善と協力の伝統に根ざしている両国関係を発展させるわが国の立場に変わりはない」と強調するなど、中国を含めた国際的な制裁圧力が強まる中、ロシアに一段と接近する動きを見せています。
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北朝鮮は、今月上旬にロシア議会の議員団をピョンヤンに招き、その際に会談した最高人民会議のキム・ヨンナム常任委員長が、アメリカ西海岸にも到達可能だとするICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を近く行う計画に言及しました。
また、先月末には、北朝鮮外務省でアメリカとの関係を担当するチェ・ソニ北米局長が、モスクワを訪問してロシア外務省の高官と会談し、朝鮮半島情勢について意見を交わしたほか、今月19日からモスクワで開かれる国際会議にもチェ局長が招かれているということです。
北朝鮮は、核・ミサイル開発をめぐってアメリカ・トランプ政権への対決姿勢を強めているだけでなく、後ろ盾である中国ともぎくしゃくした関係が続いており、国際的な制裁圧力が強まる中で、ロシアに一段と接近する動きを見せています。
「私はほかの人より厳しい」
トランプ大統領は11日、ホワイトハウスで、記者団から、核やミサイルの開発を加速させる北朝鮮への対応について、北朝鮮との接触を明らかにしたティラーソン国務長官と同じ立場かどうか質問され、「私はほかの人とはやり方が少し違うかもしれない」と述べました。そのうえで「私はおそらくほかの人より強く厳しい。みんなの意見を聞いて最終的に正しいことをする。これは世界の問題であり、解決されなければならない」と述べ、圧力の強化などを通じて解決を目指す考えを改めて強調しました。
軍事的選択肢について協議
北朝鮮への対応をめぐってトランプ大統領は10日、マティス国防長官やアメリカ軍の制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長らと会合を開きました。ホワイトハウスは、会合でトランプ大統領が北朝鮮の攻撃に対処するための幅広い選択肢について報告を受け、協議したとしていて、軍事的な選択肢も排除しない姿勢を示し、北朝鮮をけん制する狙いもあるものと見られます。
米爆撃機 日韓と夜間訓練
アメリカ軍は、B1爆撃機2機が日本海の上空などで、自衛隊、それに韓国軍の戦闘機と、それぞれ夜間飛行の訓練を実施したと発表し、アメリカ軍と同盟国との連携を強調し、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮をけん制する狙いがあると見られます。
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アメリカ太平洋空軍は、グアムの基地に配備されているB1爆撃機2機が10日夜、日本海の上空などで、航空自衛隊、それに韓国空軍と、それぞれ飛行訓練を実施したと発表しました。アメリカ太平洋空軍は、指揮下にある爆撃機が航空自衛隊、韓国空軍の戦闘機と夜間に続けて訓練を行うのは今回が初めてだとしています。
航空自衛隊によりますと、訓練は10日夜、グアムの基地から飛行してきたアメリカ軍のB1爆撃機2機と自衛隊のF15戦闘機2機が、九州周辺の空域で合流して行われました。訓練は日本の防空識別圏の境界の手前で終わり、その後、アメリカ軍のB1爆撃機は韓国軍機と合流し、日本海の上空で訓練を行ったということです。
アメリカ太平洋空軍は声明で、「各国の優れた戦術能力に磨きをかけるもので、われわれ同盟国がいつ、どこででもともに作戦を遂行できる能力を明確に示した」として、成果を強調しました。
核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、アメリカ軍は先月、B1爆撃機を北朝鮮東方沖の国際空域を飛行させるなど、軍事的な圧力を強める構えを見せています。これに続く今回の訓練には、アメリカ軍と同盟国との連携を強調し、北朝鮮をけん制する狙いがあると見られます。
海自は米空母と共同訓練
海上自衛隊は、アメリカ軍の空母と沖縄周辺の太平洋で共同訓練を行っていることを11日、発表しました。アメリカ軍の空母は、北朝鮮をけん制するため、今後、朝鮮半島の周辺に展開して韓国軍と共同訓練を行う可能性があり、今後の動向が注目されます。
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共同訓練を行っているのは、神奈川県の横須賀基地を拠点とするアメリカ軍の原子力空母、「ロナルド・レーガン」と海上自衛隊の護衛艦「しまかぜ」などです。
海上自衛隊によりますと、この訓練は、アメリカ軍の空母が寄港先の香港を出港した翌日の今月7日から行われていて、台湾の南のバシー海峡周辺で合流し、現在は沖縄周辺の太平洋で実施しているということです。
今月9日に撮影された訓練の写真では、空母の後方を護衛艦が航行している様子が写されています。
この空母が、今後どこに向かうかわかっていませんが、韓国国防省は、アメリカ軍の空母が今月、朝鮮半島の周辺に展開すると明らかにしていて、今後北上して朝鮮半島周辺に展開する可能性があります。
アメリカ軍は、核と弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮をけん制するため、ことし4月末から1か月以上にわたって空母を朝鮮半島周辺に展開させていて、今後の動向が注目されます。
党の創立記念日 各国が警戒
北朝鮮は10日、朝鮮労働党の創立から72年の記念日を迎えました。党の機関紙は社説で、加速させる核・ミサイル開発をキム・ジョンウン(金正恩)委員長の「業績」として誇示し、「反米対決戦を総決算すべきだ」と主張しました。関係国は、北朝鮮が記念日に合わせて新たな軍事挑発に出る可能性もあるとして警戒と監視を続けています。
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体制を支える事実上唯一の政党、朝鮮労働党の創立記念日は、北朝鮮のもっとも重要な記念日の一つです。首都ピョンヤンでは、多くの市民や軍人がキム・イルソン(金日成)主席とキム・ジョンイル(金正日)総書記の銅像に花を手向けていました。
10日付けの党の機関紙「労働新聞」は1面に社説を掲載し、「キム・ジョンウン委員長の指導によって、わが国が核強国、軍事大国として威容をとどろかせた」として、加速させる核・ミサイル開発をキム委員長の「業績」として誇示しました。
そのうえで、今月7日に開かれた党の中央委員会総会で、キム委員長が「核武力建設の歴史的な偉業を成し遂げる」などと演説し、核・ミサイル開発をさらに加速させる方針を強調したことを「最後の勝利を早める転機になった」とたたえました。
さらに社説では「反米対決戦を総決算すべきだ」と主張しており、アメリカなどの圧力に対抗して体制の引き締めを図る狙いがあると見られます。
関係国は、北朝鮮がキム委員長のさらなる権威づけと国威発揚を図るためにも、新たな軍事挑発にでる可能性もあるとして警戒と監視を続けています。
過去にも記念日の前後に軍事挑発
北朝鮮は、去年4月のキム・イルソン(金日成)主席の誕生日に新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」を初めて発射したほか、去年9月の建国記念日に5回目の核実験を強行するなど、国を挙げて祝う記念日に合わせて軍事挑発に出ることが少なくありません。
このうち、朝鮮労働党の創立記念日にあたる10月10日の前後では、去年、10月15日と20日に、北西部ピョンアン(平安)北道のクソン(亀城)付近から「ムスダン」を1発ずつ発射しましたが、いずれも失敗しています。
また、11年前、2006年の10月9日には、北東部ハムギョン(咸鏡)北道のプンゲリ(豊渓里)にある核実験場で、初めての核実験に踏み切りました。このほか、2008年の10月7日に、朝鮮半島西側の黄海に向けて短距離ミサイル2発を、2009年の10月12日には、日本海に向けて短距離ミサイル5発を、それぞれ発射しています。
このため、日本やアメリカ、それに韓国などの関係国は、10日に朝鮮労働党の創立72年を迎える北朝鮮が、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長のさらなる権威づけと、国威発揚を図るためにも、再び弾道ミサイルを発射するなどの追加の挑発に出る可能性もあるとして、警戒と監視を続けています。
「25年間 何も得られず」
北朝鮮情勢をめぐりアメリカのトランプ大統領は9日、みずからのツイッターに「わが国は25年間、北朝鮮に数十億ドルを与えながら何も得られず、取り組みは失敗してきた。政策は機能しなかった!」と書き込みました。
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トランプ大統領は7日にも同じような趣旨の内容に続き「たった1つのことだけが効果があるだろう」と書き込んでいました。トランプ大統領は、その後も「たった1つのこと」が何を意味するのかは明らかにしていませんが、北朝鮮が記念日に合わせてさらなる挑発を行うおそれも指摘される中、北朝鮮をけん制する狙いもあると見られます。
「今は外交主導だが…」
アメリカのマティス国防長官は9日、陸軍の関係者の会合で講演し、北朝鮮について「今は外交が主導し、経済制裁の強化により北朝鮮の進路を変えようと努めているが、将来、何が待ち受けているかは私にもなんともいえない」と述べました。そのうえで国連安全保障理事会でたびたび新たな制裁決議が採択されるなど外交面での取り組みが一定の成果を上げているという認識を示す一方、軍事面では大統領が取り得る選択肢を確保するようアメリカ軍として準備を整えておくことが必要だという考えを示しました。
「緊張高まるのは暮れから」
小野寺防衛大臣は防衛省で記者団に対し、10日が北朝鮮の朝鮮労働党の創立記念日に当たることについて、「北朝鮮は過去にもこの時期の前後に核実験、そして弾道ミサイル実験を繰り返している。警戒監視を強める時期だ」と述べました。また小野寺大臣は「トランプ大統領はおそらく、来月アジアを歴訪したあとに、外交努力の効果がどの程度になるか判断されると思う。さらに緊張が高まるのがことしの暮れから来年にかけてであり、しっかりとした防衛態勢を取るためにも、政治が早めに安定することが大事だ」と述べました。
動画解説)なぜ妹を抜てき?
(2分30秒)
朝鮮労働党幹部の要職に抜てきされたキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏。これまで兄に寄り添う姿が伝えられながら謎に包まれた存在でした。人事の思惑は何か、専門家と読み解きます。
国際的な制裁措置に対抗か
10日の朝鮮労働党の創立記念日を控え、各国は新たな軍事挑発への警戒を強めています。こうした中、北朝鮮では国際的な制裁圧力への対抗措置ともとれる動きを見せています。その舞台は、韓国と北朝鮮が共同で運営していた「ケソン(開城)工業団地」。韓国政府が独自の制裁措置として去年2月に操業を中断していましたが、北朝鮮の国営ウェブサイトは「労働者は活気に満ちて働いており、われわれの工業団地はさらに力強く稼働するだろう」と伝え、単独で操業を再開している可能性を示唆しました。
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韓国と北朝鮮が共同で運営してきた北朝鮮南西部にあるケソン工業団地をめぐっては、4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行した北朝鮮に対する独自の制裁措置として、韓国政府が去年2月、操業を全面的に中断し、これに反発した北朝鮮が、工業団地内の韓国側の資産を接収すると一方的に発表しました。
この工業団地について、アメリカ政府系のラジオ局が今月2日、「北朝鮮当局が衣類の工場をひそかに操業させている」と報道したところ、北朝鮮の国営ウェブサイトは6日、「工業団地のすべての権利はわが国にある」と反発したうえで、「労働者は活気に満ちて働いている」と伝えました。
さらに8日も別のウェブサイトが「制裁と圧迫を強めようとも、われわれの工業団地はさらに力強く稼働するだろう」と主張し、北朝鮮単独で操業を再開している可能性を示唆しました。
核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対しては、後ろ盾の中国を含め国際的な制裁圧力が強まっており、工業団地の再稼働が事実だとすれば、国内経済の立て直しを図るとともに、対話を模索する姿勢も示している韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権に揺さぶりをかける狙いがあると見られます。
初の核実験から11年
北朝鮮が初めての核実験に踏み切ってから9日で11年になります。アメリカ本土を狙うICBM=大陸間弾道ミサイルに搭載する核兵器の小型化に向け、これまで6回の核実験を重ねてきた北朝鮮は「核武力の完成目標はほぼ終着点に至った」などとして自信を深めており、みずからを「核保有国」だとする主張を既成事実化するため、核・ミサイル開発を一層加速させると見られます。
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北朝鮮はちょうど11年前の2006年10月9日、北東部ハムギョン(咸鏡)北道のプンゲリ(豊渓里)にある核実験場で初めての核実験に踏み切り、先月までに6回の核実験を重ねてきました。
爆発の規模は1回目の核実験がTNT火薬にして1キロトン以下でしたが、6回目の核実験では推定で過去最大の160キロトンと、広島に投下された原爆の10倍以上に達し、北朝鮮は「ICBM=大陸間弾道ミサイルに搭載する水爆の実験に成功した」と発表しました。
北朝鮮はことし7月、ICBM級の「火星14型」2発を相次いで発射し、アメリカ本土を狙うICBMに搭載する核兵器の小型化に向けて技術を向上させていると見られ、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が先月15日、「核武力の完成目標はほぼ終着点に至った」と述べるなど指導部は自信を深めています。
キム委員長は7日開かれた党の中央委員会総会での演説で「核武力建設の歴史的な偉業を成し遂げる」と強調しており、10日、党の創立記念日を迎える北朝鮮としてはみずからを「核保有国」だとする主張を既成事実化するため、核・ミサイル開発を一層加速させると見られます。
「核武力建設の完遂」強調
北朝鮮では8日、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の父、キム・ジョンイル(金正日)氏の総書記就任から20年の節目を迎えました。さらに10日には、党の創立記念日も控えていて、各国が新たな軍事挑発を警戒しています。こうしたなか、8日の北朝鮮国営メディアは、朝鮮労働党で重要な決定を行う中央委員会総会が1年5か月ぶりに開かれ、演説を行ったキム委員長が「核武力建設の歴史的な偉業を成し遂げる」と述べ、核・ミサイル開発をさらに加速させる方針を強調したと伝えました。
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北朝鮮の国営メディアによりますと、朝鮮労働党の中央委員会総会が7日開かれ、キム委員長は演説の中で核開発と経済の立て直しを並行して進める「並進路線」に言及し、「わが党がこの路線を堅持してきたのは極めて正しく、今後も変わることなくこの道を進むべきだ」と述べました。
そして、先月の6回目の核実験を受けてアメリカ主導で国連安全保障理事会が新たに採択した制裁決議を非難し、「敵の核戦争の挑発と制裁・圧迫を打ち砕く」としたうえで、「並進路線を貫徹して、核武力建設の歴史的な偉業を成し遂げる」と述べて、アメリカなどの圧力に屈することなく、核・ミサイル開発をさらに加速させる方針を強調しました。
注目の人事 妹の存在感増す
総会では注目の党幹部人事も決まりました。その1人が、政治局員候補に選ばれたキム委員長の妹、キム・ヨジョン(金与正)氏です。
体制の宣伝や思想教育を統括する宣伝扇動部で副部長を務めるヨジョン氏は、年齢が30歳前後と見られ、キム委員長に同行する姿がたびたび確認されてきましたが、去年5月に党の中央委員に選ばれたばかりにもかかわらず、今回、政治局員候補に抜てきされたことで、キム委員長をそばで支える側近の1人として存在感を一層増しています。
もう1人が、先月の国連総会での演説でアメリカを非難したリ・ヨンホ外相で、政治局員候補から政治局員に昇格しました。核・ミサイル開発をめぐって、トランプ政権への対決姿勢を強めている指導部の立場を反映したものと見られます。
国営テレビは、キム委員長が7日、遺体が安置されている宮殿を総会の出席者たちと一緒に訪れた際の映像も放送しています。党の創立記念日を10日に控えた北朝鮮指導部としては、キム委員長の一層の権威づけと、体制固めを図る狙いがありそうです。
「効果あるのは1つだけ」
アメリカのトランプ大統領は7日、みずからのツイッターに「歴代の大統領や政権は北朝鮮と25年間話し合いをしてきて、合意に達したり、多額の金が支払われたりしたが、効果がなかった。合意はインクが乾かないうちに破られ、アメリカの交渉担当者はばかにされてきた。たった1つのことだけが効果があるだろう」と書き込みました。トランプ大統領は「たった1つのこと」が何を意味するのかは明らかにしていませんが、軍事行動も含めた選択肢があることを示唆することで、北朝鮮をけん制する狙いがあると見られます。
動画解説)米国の本音は?
(3分6秒)
<解説ポイント>
・トランプ政権中枢の人間関係ぎくしゃく否めず。北朝鮮問題への対応に影響しないか不安視する声も
・カギ握る中国に一層の協力求めるが、中国が動かなければ、現実味を帯びてくる最悪の2つの選択肢
・そうならないためには、今年から来年にかけての外交努力が極めて重要になる
米西海岸射程のミサイル
近く発射の計画か
北朝鮮を訪問したロシアの議員団が、北朝鮮が近く、アメリカ西海岸にも到達可能な新たな長距離ミサイルの発射実験を計画していることを明らかにし、今月10日の朝鮮労働党の創立記念日を前に、各国は新たな軍事挑発の動きを警戒しています。
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ロシア国営通信によりますと、ロシア議会下院の極右政党「ロシア自由民主党」の議員団は、今月2日から6日までの日程で北朝鮮を訪れ、政権の幹部らと会談しました。
訪問を終えた議員団の一人、モロゾフ議員は6日、「北朝鮮は新たな長距離ミサイルの発射実験を準備している。計算式を用いて、ミサイルはアメリカ西海岸にも到達可能だと示した」と述べ、北朝鮮が近く、長距離ミサイルの発射実験を計画していることを明らかにしました。
モロゾフ議員によりますと、北朝鮮は、ミサイルの弾頭を大気圏に再突入させ、制御する技術を確立したと主張し、軍事的な士気も十分に高かったということです。
北朝鮮では、今月10日が、朝鮮労働党創立72年の記念日で、これに合わせて指導部が、核や弾道ミサイルの開発を進めるキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長をたたえ、さらなる権威づけを図ると見られていることから、各国は新たな軍事挑発の動きを警戒しています。
新たな軍事挑発 各国が警戒
キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は先月下旬、声明を発表し、「史上最高の超強硬な対応措置」に言及しました。このため、キム委員長の父、キム・ジョンイル(金正日)総書記の就任から20年に当たる今月8日や、朝鮮労働党の創立記念日の10日に合わせて新たな軍事挑発に出るのではないかと各国が警戒しています。また、中国共産党大会が開幕する18日前後を警戒する見方もあります。先月、北朝鮮が6回目の核実験を強行したのは、中国が重要な外交イベントとして重視していた新興5カ国BRICSの首脳会議の初日でした。中国による圧力強化の動きに反発して挑発に出る可能性があるとしています。
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防衛相も「警戒監視に万全期す」
小野寺防衛大臣は、来週10日が北朝鮮の朝鮮労働党の創立記念日にあたることについて「北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射といった挑発行動をこのような記念日を意識して行っているという指摘がある。北朝鮮は核・ミサイル開発のための活動を継続する姿勢を崩しておらず、さらなる挑発行動の可能性も否定できない」と述べました。
そのうえで小野寺大臣は10日が衆議院選挙の公示日と重なることも踏まえて「緊急事態への対応に空白があってはならず選挙期間中も万全を期していく」と述べ、警戒監視に万全を期す考えを示しました。
国際航空機関 北朝鮮を非難
ICAO=国際民間航空機関は6日、理事会を開き、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返して航空機の安全な運航に重大な影響を及ぼしているとして、厳しく非難することを全会一致で決め、今後、北朝鮮に対して安全な運航のための国際的な標準を順守するよう求めていく方針です。
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北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐっては、ことし7月、日本海に落下する数分前にエールフランスの旅客機が北海道の西の日本海上空を飛行していたことなどから、安全な運航への影響を懸念する声が上がっています。
こうした中、カナダのモントリオールに本部を置くICAO=国際民間航空機関は6日、定例の理事会で協議を行いました。この中で、理事国の日本は、韓国などと共同で、北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイルの発射は航空機の安全な運航に重大な影響を及ぼすおそれがあるとして、強く非難することを理事会に提案し、36か国の全会一致で決定されました。
北朝鮮はICAOの加盟国で、理事会に出席を要請されましたが欠席したということです。
「嵐の前の静かさ」とは?
(1分6秒)
「嵐の前の静かさだ」。このトランプ大統領の謎めいた発言が注目を集めています。米メディアによりますと、5日夜、ホワイトハウスで軍幹部やその夫人と並んで記念撮影をする際にトランプ大統領が、聞かれてもいないのに記者団に「これが何かわかるかね、嵐の前の静けさかもしれない」と述べました。記者が「嵐とは何か」と聞くと、「そのうちわかる」と答えるだけ。何らかの軍事行動を示唆したのか―、とも受け止めることができる発言ですが、真意は不明のまま。
「米や同盟国への脅し許さぬ」
アメリカのトランプ大統領は5日、ホワイトハウスで軍の幹部と安全保障に関する会合を開き、北朝鮮への対応について「目標は非核化だ」と述べて核保有は認めないという考えを改めて示しました。そのうえで「独裁政権がアメリカや同盟国に対して、想像もつかないほどの命が失われることになると脅すことは許せない。そのようなことが起きないようにするべきことをする」と述べ、アメリカと日本や韓国など同盟国の防衛に全力を挙げる姿勢を強調しました。
東京・ソウル 死者200万人か
北朝鮮の核・ミサイル開発の分析を行っているアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、北朝鮮が東京やソウルを攻撃してそれぞれで核爆弾が爆発した場合、犠牲者は合わせて40万人から200万人に上る可能性もあると分析しています。
外交特権悪用し闇資金か
北朝鮮が、歴史的につながりが深いアフリカ諸国で外交特権を悪用し、野生のサイの角や象牙の密輸を繰り返すことで外貨を稼いできたとするNGOの報告書がまとまりました。専門家は、国際社会が制裁を強化する中で、北朝鮮が外貨獲得を狙った違法行為をアフリカでさらに拡大していくおそれがあると警告しています。
後絶たぬサイの角や象牙の密輸
報告書は、スイスを拠点に、国際的な組織犯罪の調査を続けているNGOが、アフリカの政府関係者や脱北者などへの調査を通じて独自にまとめました。
それによりますと、1986年以降、絶滅のおそれがある野生のサイの角や象牙の違法取引に関与したとして北朝鮮の外交官らが摘発された事件が少なくとも18件に上ることが明らかになりました。
最近では、おととし、南アフリカの北朝鮮大使館の参事官らが隣国モザンビークで、サイの角4.5キロをひそかに購入して車で運ぼうとしていたところを地元の警察に摘発されました。
押収されたサイの角は、中国などの闇市場に持ち込めば10万ドル(日本円で1000万円以上)に相当するものだったということです。
また去年には、エチオピアの国際空港で北朝鮮の外交官用のパスポートを所持した男2人が、象牙を違法に中国に持ち出そうとして当局に拘束されたということで、北朝鮮が外交特権を悪用してアフリカ各国で違法な取り引きを繰り返してきた実態が浮き彫りになりました。
報告書を執筆したジュリアン・ラドメイヤー氏は「国連安保理による制裁が強まるなかで、北朝鮮は外貨獲得を狙って規制が緩いアフリカでますますこうした違法行為を拡大させていくおそれがある」と警告しています。
アフリカと歴史的に深い関係
北朝鮮は、アフリカと歴史的に深い関係があります。北朝鮮は、1960年代以降、当時の冷戦構造のもとでアフリカの多くの国々と外交関係を樹立しました。米ソいずれの陣営にも属さない「第三世界」に位置づけられたアフリカの国々との関係を強化することで、韓国に対抗し、みずからの国際的な地位を高めようとしたのです。
北朝鮮は、植民地支配からの独立を求める国々への軍事的な支援を積極的に行ってきたことから、国際社会の中で孤立を深める北朝鮮に同情的な国も少なくないと見られています。現在も、ほぼすべての国と外交関係を維持し、10か国程度に大使館が設置されていると見られます。
北朝鮮は、核・ミサイル開発の資金を得るため、労働者を派遣したり、軍事協力を積極的に行ったりするなど関係を深めてきました。国連安全保障理事会の決議に基づく制裁をめぐっては、履行状況を報告したのは一部の国にとどまっていて、北朝鮮が制裁の履行に消極的なアフリカの国々をいわば制裁の抜け穴として狙い、外貨獲得を目指していると見られています。
アフリカで銅像ビジネス
北朝鮮が外貨獲得を目指してアフリカ各国で積極的に推し進めてきたのが、「銅像ビジネス」です。
北朝鮮は、キム・ジョンイル(金正日)総書記の銅像など国内各地で大規模な銅像を建設してきた実績があります。技術力の高さに加え、制作にかかる費用も安く抑えられていることから、独裁的な政治体制のアフリカの国々から数多く請け負ってきました。
北朝鮮がアフリカで手がけた銅像の中で、最大規模とされるのが2010年に完成したセネガルのアフリカ・ルネサンスの像です。男女と子どもが空を見上げる高さ50メートルの巨大な像の完成式典は、アフリカ各国の元首も出席して盛大に行われました。
北朝鮮は、労働者を派遣し、重要な建物の建築も手がけていてアフリカ南部のナミビアでは、国会議事堂や独立記念館などが建設されました。
こうしたビジネスは、これまで合法とされてきましたが、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源になっているおそれがあるとして、国連安全保障理事会の制裁決議によって禁じられることになりました。
専門家 アフリカでの活動注視を
北朝鮮とアフリカとの関係に詳しく、現地で調査も行っている聖学院大学の宮本悟教授は「北朝鮮は70年代からアフリカに対して武器を輸出すると同時に芸術的な作品を売ってきた」と述べ、北朝鮮が武器の取り引きや軍事的な支援、それに国家の象徴となる銅像などの建設を請け負うことで、アフリカ諸国との関係を戦略的に強めてきたと説明しました。
宮本教授によりますと、特に有名なのが「マンスデ創作社」という芸術専門の北朝鮮企業が手がける大型の銅像の建設です。
この企業がアフリカ各国に建設した国家指導者などの銅像は、右手を大きく挙げているのが特徴で、北朝鮮にあるキム・イルソン(金日成)主席の銅像と同じデザインだということです。
このほか、アフリカ各国で、北朝鮮の労働者が軍事施設の建設を進める中国の企業に雇用され外貨を稼いでいるケースも確認されているということです。
宮本教授は「北朝鮮にとってアフリカは、製品や技術を輸出し、外貨を稼ぐことができる市場で、今後も関係を大切にしていくと考えられる。中国などが北朝鮮との取り引きを制限しても、その分アフリカとの関係を強めていくことになると思う」と述べ、国際社会による経済制裁などの圧力が強まってもいわば抜け穴として、アフリカにおける北朝鮮の外貨稼ぎが活発になる可能性があるとして注視すべきだと指摘しました。
政権内の意思 統一されている
アメリカのティラーソン国務長官が北朝鮮との接触を明らかにしたことについて、マティス国防長官は「対話の機会を探っているだけで、適切な時期が来るまで対話するつもりはないという大統領の意思と矛盾しない」と述べて、トランプ政権内の意思は統一されていると釈明しました。
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北朝鮮との対話をめぐり、アメリカのティラーソン国務長官は先月30日、非核化に向けた対話に応じる意思があるか探るため北朝鮮側と接触していることを明らかにしましたが、その翌日、トランプ大統領がツイッターの投稿で「時間のむだだ」と指摘して、大統領と国務長官のあいだで意思の統一がはかられていないのではないかという臆測を呼びました。
これについてマティス国防長官は3日、議会上院の公聴会でティラーソン長官の説明は正確だとしたうえで「われわれは対話の機会を探っているだけで対話を行っているわけではない」と述べ、非核化に向けた対話の局面には至っていないという見解を示しました。
そのうえで「これは適切な時期が来るまで対話するつもりはないという大統領の意思と矛盾せず、大きな相違があるとは思わない」と述べて、トランプ政権内の意思は統一されていると釈明しました。
さらに、国務省のナウアート報道官も3日の記者会見で、「皆さんはティラーソン長官の発言を深読みしすぎている」としたうえで、「北朝鮮で拘束されている3人のアメリカ人に関わること以外、いかなる対話も行っていない。いまは明らかに対話の時期ではない」と述べ、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるため、圧力を強化する方針に変わりはないと強調しました。
米空母が香港寄港 北をけん制
神奈川県の横須賀基地を拠点とするアメリカ軍の空母が2日、香港に寄港し、指揮官は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、「アメリカは日本や韓国を含む同盟国を守る」と述べ、改めてけん制しました。
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先月、横須賀基地を出港したアメリカ軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」は、太平洋で海上自衛隊と共同訓練を行うなどしたあと、2日、補給のため香港に寄港しました。
記者団の取材に応じた指揮官のダルトン少将は核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮について、「すべての利用可能な手段を使って危険で攻撃的な行動を改めさせる」と述べました。そのうえで、「アメリカは、日本や韓国を含む同盟国を守る」と述べて、改めて北朝鮮をけん制しました。
一方、韓国国防省は、今月、アメリカ軍の空母が朝鮮半島の周辺に展開すると明らかにしていましたが、ダルトン少将は香港を出港したあとどこに向かうかは明らかにせず、「これまで実施してきた訓練を行う」と述べるにとどまりました。
香港では去年、中国政府がアメリカの原子力空母「ジョン・ステニス」の寄港を拒否し、南シナ海でのアメリカ軍の活動への対抗措置ではないかという見方も出ていました。中国政府としては、来月のトランプ大統領の中国訪問を控え、友好的な姿勢をアピールする狙いもあるものと見られます。
「接触は時間のむだ」
アメリカのトランプ大統領は1日、ティラーソン国務長官が北朝鮮と接触を行っていることを明らかにしたことについて、ツイッターに「私は、われわれのすばらしい国務長官に『小さなロケットマンと交渉しようとして時間をむだにしている』と伝えた」と書き込み、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長を指して、現時点での北朝鮮との交渉に否定的な考えを示しました。
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そのうえで、「国務長官よ、力をとっておけ。われわれはやるべきことをやる」と書き込み、北朝鮮に対し圧力の強化など強い姿勢で臨む方針を強調しました。さらに、「ロケットマンに優しくしても、25年間うまくいかなかった。なぜ今うまくいくだろうか。クリントンもブッシュもオバマも失敗したが、私は失敗しない」と書き込みました。
国務省によりますと、これまでのところ、北朝鮮は非核化に関する対話に前向きな反応を示していないということです。軍事的な選択肢も排除しない構えを見せているトランプ大統領としては、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返す中、今は対話の局面ではないと考えているものと見られます。
北朝鮮との接触認める
アメリカのティラーソン国務長官は30日夜、訪問先の北京で、現在の北朝鮮情勢について「やや過熱している」と述べて懸念を示しました。さらにティラーソン国務長官は、「ピョンヤンとは複数の連絡のルートがあり、暗闇の中にいるわけではない」と述べ、北朝鮮と接触していることを明らかにし、北朝鮮が非核化に向けた対話に応じる意思があるのか探っていると述べました。
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北京を訪れていたアメリカのティラーソン国務長官は、習近平国家主席らと会談したあと30日夜、現地で一部のメディアの取材に応じ、現在の北朝鮮情勢について「やや過熱していると思う。誰もがこの状況を落ち着かせたいと思っているだろう」と述べ、懸念を示しました。そのうえで、「北朝鮮がミサイルの発射をやめれば状況はずいぶんと落ち着くだろう」とも述べ、緊張緩和には北朝鮮の自制が必要だという考えを示しました。
さらに、ティラーソン長官は、「われわれは北朝鮮に対して『対話をしたいか』とたずねている。ピョンヤンとは複数の連絡のルートがあり、暗闇の中にいるわけではない。意向を探っているところで、見守ってほしい」と述べ、詳細には触れませんでしたが、北朝鮮が非核化に向けた対話に応じる意思があるのか探るため、接触を行っていることを明らかにしました。
「北は対話への関心示さず」
アメリカのティラーソン米国務長官が北朝鮮と接触していることを明らかにしましたが、国務省のナウアート報道官は、このあと声明を出し「アメリカが政権の崩壊や、朝鮮半島の統一などに興味はないと繰り返しているにもかかわらず、北朝鮮の当局者たちは非核化に関する協議に関心があるという兆候を示していない」として、これまでのところ北朝鮮が前向きな反応を示していないと説明しています。
「米を核の火の海に」
北朝鮮は、アメリカのトランプ大統領が北朝鮮と取り引きする企業などに制裁を科す大統領令に署名したことなどを非難し、「アメリカを丸ごと核の火の海にする自殺行為だ」として、反発を強めています。
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これは、北朝鮮の朝鮮労働党傘下の団体「アジア太平洋平和委員会」が国営の朝鮮中央テレビを通じて30日夜、報道官談話として発表したものです。
それによりますと、先月、アメリカのトランプ大統領が北朝鮮と取り引きする海外の銀行や企業にも制裁を科す大統領令に署名したことや、アメリカ軍が北朝鮮の東方沖の国際空域でB1爆撃機などを飛行させたことを非難し、「任意の時刻に懲罰の炎を吐く、万端の態勢を整えたわが武力の前で、アメリカを丸ごと核の火の海にする自殺行為だ」と威嚇しました。
そのうえで「アメリカがいかに制裁と圧迫、軍事的な威嚇を加えたところでわが国の戦略的地位を突き崩すことは絶対にできない」と強調し、トランプ政権への反発を強めています。
キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、先月22日、初めての声明を発表し、「史上最高の超強硬な対応措置の断行を慎重に考慮する」としており、今月10日の朝鮮労働党の創立記念日を控え、北朝鮮による新たな軍事挑発が懸念されています。