文学賞

受賞者はどうやって選ばれるの?

文学賞の選考は、ノーベルの遺言によって「スウェーデン・アカデミー」という団体が行っています。

選考ではまずはじめに、アカデミーが世界中の文学関係者に対して、誰が受賞にふさわしいと思うか、推薦の声を集めます。

推薦する資格を持つのは、各国の作家団体の代表や、著名な大学の教授、過去の受賞者などで、毎年250件~350件ほどが集まるんだそう。

これをもとに、アカデミー内の選考委員が候補者を絞り込んでいって、4月までに20人ほどの予備候補に、5月には5人ほどの最終候補にまで絞っていくんです。

そのあと夏の間に、定員18人のアカデミー会員が最終候補の作品を読み込んだうえで、9月に最後の話し合いを行い、10月上旬、その年の受賞者を発表するという流れになっています。

選考委員の人たちは、夏の間ずっと、たくさんの本を読んでいるのね。

ちなみに、すでに亡くなっている作家は選考の対象外となっています。

また、アカデミーの会員は多くがスウェーデン人ですので、会員が読めない言語で書かれている作品は、スウェーデン語や英語、フランス語などに翻訳されたものが読まれているとされていて、日本文学も主に翻訳によって評価されているそうです。

選考に関する情報は50年間は秘密にしなければならないと決まっていて、誰が候補に選ばれているのかや、受賞決定までの選考過程は、半世紀後まで明らかにならないんです。

科学文化部

河合 哲朗(かわい てつろう)

平成22年入局。前橋局・千葉局を経て、平成27年から科学文化部で文化取材を担当。文芸・文学史のほか、音楽や映画などのポップカルチャー、囲碁・将棋まで幅広く取材中。