化学賞

2019ノーベル化学賞 吉野彰さん受賞

繰り返し充電できる「リチウムイオン電池」を開発した

2019年のノーベル化学賞は、大手化学メーカー「旭化成」の名誉フェローの吉野彰(よしの・あきら)さんが受賞しました。

受賞の理由は、「リチウムイオン電池」の開発です。

吉野さんは、「充電できる電池」の小型化と軽量化を目指して開発に取り組み、当初は、ノーベル化学賞の受賞者、白川英樹(しらかわ・ひでき)さんが発見した電気を通すプラスチック、「ポリアセチレン」を電極に利用する研究をしていました。

その後、コバルト酸リチウムという化合物をプラスの電極として使う当時の最新の研究成果に注目し、マイナスの電極に炭素繊維を使うなどした結果、昭和60年、現在の原型となる「リチウムイオン電池」の開発に成功しました。

これにより、軽い上に激しい発熱を抑えて安全性が高く、何度でも使うことができる今のリチウムイオン電池の実用化が大きく前進したのです。

それまでの充電池と比べて、電気を使い切らないまま継ぎ足しで充電を繰り返しても容量がほとんど減らないため、携帯電話やパソコンなど身の回りの製品に多く使われ、IT機器の普及に大きく貢献しました。

また、いまでも研究開発が盛んに行われていて、ハイブリッド車や電気自動車のほか、次世代の送電網を支える蓄電池といったエネルギーや環境の分野でも活用が広がっています。