平和賞

ことしの注目 グレタさんって?

学校を休んでまで 温暖化を止めようと呼びかけた

ノーベル平和賞の候補にあげられているスウェーデンの17歳の少女、グレタ・トゥーンベリさん。

科学者が、地球の温暖化を止めるためには、車や飛行機、工場などから排出される温室効果ガスを大幅に減らさなければならないと警告しているのに、政府や政治家は十分な対策を進めていないと声を上げ続け、世界的に注目を集めています。

きっかけは、たった1人で始めた抗議活動でした。グレタさんは、おととし8月から毎週金曜日、学校を休んで首都ストックホルムの議会の前で「気候変動のための学校のストライキ」と書かれたプラカードをかかげて座り込み、対策の必要性を訴えました。

この活動はSNSを通じて同世代の若者たちの共感を呼び、金曜日に学校を休んで温暖化対策を求める運動が国境を越えて広がりました。

運動は「未来のための金曜日」と呼ばれ、去年9月には、ニューヨークで開かれた国連の温暖化対策サミットにあわせて、世界中の若者がデモを行う地球規模の活動となりました。

またグレタさんは、サミットで政治家に行動を強く迫る演説を行い、大きな反響を呼びました。

新型コロナウイルスの影響で運動は一時下火となりますが、グレタさんは、SNSでの積極的な発信を続けているほか、ことし8月には、仲間とともにドイツのメルケル首相と1時間半にわたって会談するなど影響力を増しています。

グレタさんに対しては「子どもが学校を休んでまで抗議するのはおかしい」とか「危機をあおっているだけだ」といった批判もありますが、グレタさんは「子どもたちの未来に関わる地球の温暖化に大人が何もしてないから私たちが行動している」と反論しています。

17歳でノーベル平和賞に選ばれると、6年前(2014年)に子どもや女性の教育の権利を訴えて最年少で受賞したマララ・ユスフザイさんと同じ年での受賞となります。

グレタさんは演説する際に「誰でも違いは生み出せる」というフレーズをたびたび使っています。

グレタさんが選ばれた場合、ノーベル平和賞の選考委員会としては、地球温暖化対策への機運を高めるとともに、地球のために1人1人が行動に移す大切さを呼びかける狙いがあるのかもしれません。

ヨーロッパ総局

小島 晋(こじま すすむ)

平成12年入局
和歌山局、国際部、ブリュッセル支局などを経てヨーロッパ総局。