文学賞

なぜ2019年文学賞は2年分の受賞者が発表されたの?

その前の年に『セクハラ問題』が発覚したから

ノーベル賞の選考を行うアカデミーに関係の深い人物による「セクハラ問題」が発覚して、おととしの受賞者の発表が見送られました。

セクハラや性暴力を告発する「#MeToo」の動きが世界中に広がるなか、2017年11月、アカデミーの会員の夫で文学界にも強い影響力を持つとされる男性が複数の女性にセクハラや性的暴行を行っていたことをスウェーデンの新聞が報じました。

さらには、その妻のアカデミー会員が受賞者の名前を夫に漏らしていたことなども指摘されて、スキャンダルは日に日に拡大していきました。

アカデミー内では、複数の会員が抗議のために辞任を表明したり、騒動の責任を取るとして事務局長も職を退いたりしたんです。

文学賞の選考を行うアカデミーの内部は大混乱。

そして、ついにおととし5月、この年の受賞者の発表を見送ることが発表されたんです。

その影響を受けて去年は、おととしの分を含めた2年分の受賞者が同時に発表されることになりました。

科学文化部

河合 哲朗(かわい てつろう)

平成22年入局。前橋局・千葉局を経て、平成27年から科学文化部で文化取材を担当。文芸・文学史のほか、音楽や映画などのポップカルチャー、囲碁・将棋まで幅広く取材中。