医学・生理学賞

本庶佑さんって どんな人?

がんの新しい治療法を発見!

2018年には、京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)さんがノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

体の中で外敵とたたかう免疫の仕組みを利用するがんの治療の新しい方法を発見したというのが受賞の理由です。

本庶さんは、免疫について研究する中で、免疫細胞の表面に「PD-1」(ピー・ディー・ワン)というそれまで知られていなかった新しい物質があることを発見しました。

発見当時はどのような働きがあるのかわかりませんでしたが、研究を継続すると、7年後になって免疫が働くのを抑えるいわば「ブレーキ」の役割を担っていることを突き止めました。

さらに、なんと、がん細胞はこの「ブレーキ」の仕組みを利用して免疫による攻撃を逃れていることがわかったのです。

つまり、がん細胞がなんで弱くならないのか、原因のひとつが分かった。

そこで免疫を止めるブレーキとなっている「PD-1」を動かなくすると、再び免疫が働いて、がん細胞を攻撃するようになり、新しいタイプの治療薬が開発されました。

いまでは、がんの免疫療法といって医療として確立し、同じような治療薬も出てきています。

科学文化部

出口 拓実(でぐち たくみ)

平成22年入局。大津放送局でびわ湖の環境問題などの研究分野を取材、科学文化部で医療担当。
これまで感染症や小児・新生児治療、生殖医療などを取材。医療分野での応用が期待されるAI=人工知能などの取材も。