医学・生理学賞

大村智さんって どんな人?

熱帯地方で広がる深刻な病気の薬を見つけた

山中伸弥さんの受賞から3年後の2015年、北里大学の大村智(おおむら・さとし)さんがノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

大村さんは、熱帯地方にすむ寄生虫が原因で起きる深刻な病気の治療法を見つけたという功績での受賞です。

大村さんは、静岡県伊東市のゴルフ場の土の中から新たな細菌を見つけました。

この細菌が出す化合物を、アメリカの製薬会社と一緒になって改良したところ、熱帯の寄生虫が原因でおきる病気の治療薬、「イベルメクチン」になったのです。

静岡県で見つけた細菌から、熱帯地方の人たちのための新しい薬ができたのね。

イベルメクチンは、目の角膜が炎症を起こし、失明をひきおこす病気と、足などが腫れて巨大化する病気にとても効く薬として、発展途上国などで使われました。

この薬によって、中南米やアフリカなどでは2つの病気を完全になくすことができた国もあり、これらの病気が根絶寸前まで来ています。

ノーベル委員会は、人類の医学の歴史の中で大きな偉業だとしています。

科学文化部

石坂 冴絵(いしざか さえ)

平成20年入局、初任地の京都局でiPS細胞などを取材。
千葉局を経て、平成26年から科学文化部で医療担当。大村智さんがノーベル医学・生理学賞を受賞した際には、スウェーデン・ストックホルムで授賞式などを取材。