平和賞

どうなる米朝関係 アメリカ トランプ大統領

去年、ことしと、ノーベル平和賞で必ず話題にのぼるのが、アメリカのトランプ大統領です。

去年2月に北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長と史上初の米朝首脳会談を開きました。

朝鮮戦争の終結や非核化に取り組んでいるとして与党・共和党の下院議員らがノルウェーの委員会に推薦しました。

トランプ大統領自身も集会で支持者から“ノーベル賞コール”がわき上がった際には、まんざらでもない表情を見せていました。

また、トランプ大統領は、ことし2月に、「安倍総理大臣からノーベル平和賞に推薦された」とみずから暴露しましたが、安倍総理大臣は、実際に推薦したかどうか明らかにしていません。

トランプ大統領は、キム委員長との直接交渉に踏み切ったことで、「日本の上空をミサイルが飛び交い、頻繁に警報が鳴るようなことは無くなった」と自画自賛しました。

前のオバマ大統領が、就任して間もなく、実績がない段階でノーベル平和賞を受賞したことへのライバル心もあるんでしょう。

では、トランプ大統領が受賞する可能性は高いのか?。

いまのところ、その可能性は極めて低いと見ていいんじゃないでしょうか。

オバマ政権時代に結ばれたイラン核合意を去年、一方的に破棄し、イランとのあいだでは“一触即発”の緊張状態が続いていますし、ロシアとのINF=中距離核ミサイルの全廃条約の破棄は、大国間の軍拡競争を助長するものだと批判を浴びています。

それに北朝鮮との非核化協議自体が停滞し、北朝鮮が短距離弾道ミサイルの発射実験を再び繰り返す事態にもなっています。

ノーベル平和賞の受賞には北朝鮮の核問題を目に見える形で大きく前進させ、キム委員長ともども、世界が文句なく推すくらいの結果が求められることになるでしょう。

国際部 アメリカ担当

高木 優(たかぎ まさる)

マニラ、ワシントン、北京駐在を経て、現在はトランプ政権のニュース報道を指揮。