授賞式

吉野さん 授賞式で着るえんび服を試着

ノーベル賞の授賞式に出席するためスウェーデンのストックホルムを訪れている吉野彰さんは、市内にある老舗の紳士服店で授賞式で着るえんび服を試着しました。

吉野さんは、授賞式で着るえんび服を試着するため、日本時間の6日、ストックホルム市内にある老舗の紳士服店を訪れました。

吉野さんは、地下の試着室で店長に採寸してもらい、サイズが合うえんび服を受け取ると上着やズボンを試着し、鏡の前で自分の姿を見て着こなし方などを確認していました。

40分ほどかけて試着を終えた吉野さんは、報道陣からえんび服の着心地を聞かれ、「初めて着ましたが、気持ち良かったです。家族もかっこいいと言っていました」と笑顔で話していました。

また、店長のラーシュ・アルデさんは、「ノーベル賞に関われて誇りに思います。吉野さんは丁寧な対応をされる方でえんび服もかっこよく着こなせると思います」と話していました。

ノーベル博物館に記念品を寄贈

吉野さんは妻の久美子さんとともに歴代のノーベル賞受賞者が紹介されているストックホルム旧市街のノーベル博物館に訪れ、カフェのイスにサインする恒例行事に参加しました。

吉野さんはイスの裏側に金色のペンでローマ字と漢字で名前を書いたほか、受賞者が博物館に記念品を贈る慣例にならってゆかりの品を博物館に寄贈しました。

寄贈した品は、実験用にガラスの容器で作られた最初のリチウムイオン電池のレプリカや、開発の記録を記した当時のレポートのコピー、そして吉野さんが10年ほど愛用していたというペンです。

このうち、開発記録のレポートは1983年2月に今回、一緒にノーベル化学賞を受賞するグッドイナフ教授の論文を参考して、リチウムイオン電池の開発が大きな進展を遂げた際に書かれたものだということです。

3年前からノーベル博物館でスタッフとして働いているヴィベニウスあゆ美さんは、「博物館のガイドもしているので日本人の受賞者がまた増えて、来場者への説明がとても楽しくなりそうです」と話していました。

吉野さんがサインしたイスと寄贈された品々は現地時間の7日からノーベル博物館で一般に公開されます。

吉野さん「実感ないが…」

吉野さんは家族とともに、ストックホルム市内の広場でこの時期に開かれているクリスマスマーケットを訪れました。

5歳の孫娘と手をつなぎながら散策した吉野さんは、華やかなクリスマス用品や色とりどりのお菓子などが並べられた店を見て回り、家族との時間を楽しみました。

報道陣からストックホルムの感想を聞かれた吉野さんは、「思ったより寒くないので、きょうはのんびりできました。久しぶりに家族みんなで過ごせていい機会になっています」と話しました。

また、日本時間の8日、受賞記念講演を行うことについて「まだノーベル賞を受賞した実感がないですが、いちばんのメインイベントである記念講演を終えたら実感が湧いてくると思います」と話していました。

授賞式は日本時間11日未明に

ノーベル賞の授賞式は、日本時間の11日未明にストックホルム中心部のコンサートホールで開かれます。