「衰えない好奇心が研究の原動力」後輩研究者が語る
2021年ノーベル物理学賞真鍋さん

真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さんがかつて所属していたアメリカの研究所で、いわば後輩にあたる研究者は、セミナーではいつも最前列に座って積極的に質問したり、数時間にわたって活発に議論したりと、衰えない好奇心が真鍋さんの研究の原動力だと証言しています。

NOAA(ノア)=アメリカ海洋大気局の地球流体力学研究所は、かつて真鍋さんも所属していた研究所で、いわば後輩にあたる村上裕之(むらかみ・ひろゆき)研究員は台風や大雨に関する将来予測を進めています。

研究分野が同じであることに加えオフィスがプリンストン大学とごく近いこともあって、真鍋さんと交流を続けているということです。

真鍋さんの姿勢について村上さんは「セミナーではいつもいちばん前に座って大きな声で精力的に質問されますし、誰であっても研究室に行ってフレンドリーに活発に議論をされています。ある日突然、私のもとに電話が来たあと、直接研究室に来られて数時間、議論したこともありました」と話していました。

高齢になっても最新の知見を吸収しようとする姿に「先生の研究のモチベーションはなんですか」と尋ねたところ、「好奇心だ」と答えたといいます。

新型コロナの感染が広がってからは対面で話す機会は減ったということですが、論文や発表についてメールなどでのやり取りは続いていたということです。

受賞理由について村上さんは「気候変動が問題になっていないときに、二酸化炭素の増加で温暖化が進むということを何もないところから客観的なモデルで証明した。発明でいうなら、車や飛行機の発明に匹敵するのではないかとも思います。『私たちの分野も受賞するんだ』という意外さもありますが、『真鍋さんの研究であれば』という思いもあります。先生の研究がなければ今の気候研究は大幅に遅れていたと思います」と話していました。

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