2022年の注目 スベトラーナ・チハノフスカヤさんとは

独裁的な政権と対じして民主化や人権の保護を訴えています

旧ソビエトのベラルーシで独裁的な政権の打倒を目指す民主化運動のリーダー、スベトラーナ・チハノフスカヤ氏(40)が2022年ノーベル平和賞の候補としてあげられています。ベラルーシではルカシェンコ大統領が28年にわたり強権的な統治を続け、「ヨーロッパ最後の独裁者」とも呼ばれています。

2児の母親で英語教師だったチハノフスカヤ氏は、おととし(2020年)8月の大統領選挙で直前に拘束された夫に代わって立候補し、「政治犯の解放」や「公正な選挙」を訴え、ルカシェンコ政権に不満を抱く国民の支持を集めました。

選挙のあとルカシェンコ大統領の6選が発表されると、チハノフスカヤ氏の支持者は「選挙に不正があった」として大統領の退陣を求める大規模なデモを繰り返しましたが、これをルカシェンコ政権は治安部隊を使って徹底的に弾圧しました。

その後チハノフスカヤ氏は隣国リトアニアの首都ビリニュスに活動の拠点を移し、SNSなどでルカシェンコ政権の打倒を目指す民主化運動を呼びかけていて、おととしにはヨーロッパ議会が人権擁護に貢献した人に贈る「サハロフ賞」を受賞しました。

2022年2月にロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めた際、チハノフスカヤ氏はゼレンスキー政権への支持を表明する一方で、ルカシェンコ政権はベラルーシの領土をロシア軍が通過することを黙認したとして、国際社会にベラルーシに対する制裁も強化するよう訴えました。

チハノフスカヤ氏がノーベル平和賞を受賞すれば、ベラルーシだけでなく、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対しても強いメッセージとなります。

北村 雄介

国際部記者

北村 雄介(きたむら ゆうすけ)

2000年入局。
沖縄局、山形局、ウラジオストク支局、モスクワ支局に勤務。

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