核兵器廃絶を世界に発信 日本被団協

写真は、演説する日本被団協の児玉三智子事務局次長

日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会は、広島と長崎に投下された原子爆弾によって被爆した人たちの全国組織です。

「ヒバクシャ」世界に通じることばに

1954年、日本のマグロ漁船、「第五福竜丸」の乗組員が、太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被ばくし、国内で原水爆禁止運動が高まるなか、日本被団協は1956年に結成されました。

結成にあたって日本被団協は、「人類は私たちの犠牲と苦難をまたふたたび繰り返してはなりません」と宣言しました。

日本被団協は国連や世界各地で原爆の写真展を開くなど地道な活動を続け、「ヒバクシャ」は世界に通じることばになりました。

さらに各国の核実験に対する抗議を行ってきたほか、被爆者の援護を国に求める運動も続けています。

被爆者の悲願「核兵器禁止条約」が発効

また、2017年に採択された核兵器の開発や保有などを法的に禁止する核兵器禁止条約の交渉会議では、日本被団協が中心となって条約の実現を求めるおよそ300万人分の署名を集めて目録を提出し、条約の採択を後押ししました。

採択後は、すべての国が核兵器禁止条約に参加することを求める「ヒバクシャ国際署名」を続け、最終的に1370万人分あまりの署名を集めて国連に提出しました。

核兵器禁止条約は2021年1月に発効し、2022年6月には初めての締約国会議がオーストリアで開かれ、日本被団協から派遣された被爆者が核兵器廃絶への思いを訴えました。

核兵器廃絶を訴え続ける

日本被団協は、新型コロナウイルスの影響で被爆体験を伝える催しの中止や縮小を余儀なくされていますが、オンラインを活用して被爆者の証言を伝える取り組みを進めているほか、2022年8月に開かれたNPT=核拡散防止条約の再検討会議では被爆者がスピーチを行うなど、国際会議でも発信を行っています。

被爆者の高齢化が進む中、核兵器の恐ろしさや悲惨さを後世に語り継ぐとともに核兵器廃絶を訴え続けています。

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