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2021年ノーベル平和賞 フィリピンとロシアの政権に批判的な報道関係者

2021年のノーベル平和賞に、報道の自由を掲げ政権の強権的な姿勢を批判してきたフィリピンのインターネットメディア「ラップラー」のマリア・レッサ代表と、ロシアの新聞「ノーバヤ・ガゼータ」のドミトリー・ムラートフ編集長の、2人の報道関係者が選ばれました。

マリア・レッサ氏は、2012年にインターネットメディアの「ラップラー」を共同で設立し、現在も代表を務めています。

レッサ氏はドゥテルテ政権の苛烈な麻薬取り締まりを批判し、偽の情報がSNSなどによってどのように広まるかといったテーマにも取り組んできました。

ドミトリー・ムラートフ氏は、ロシアの独立系の新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の創設者の1人で、24年にわたって編集長を務めています。

「ノーバヤ・ガゼータ」は、プーチン政権に批判的な報道で知られ、これまでに記者が殺害されたり脅迫を受けたりしてきましたが、ムラートフ氏は政権を批判する報道姿勢を貫いてきました。

選考委員長「表現の自由守るため闘っている」

選考委員会のベーリット・ライスアンネシェン委員長は授賞理由の中で「自由で独立し、事実に基づいたジャーナリズムは、権力の乱用と戦争への扇動から人々を守ることができる」と指摘したうえで、「2人は、民主主義と恒久的な平和の前提となる、表現の自由を守るために、勇気を出して闘っている。民主主義と報道の自由が、逆境に直面する世界で、理想の実現のために立ち上がるすべてのジャーナリストの代表だ」と評価しています。

そして「今回の授賞によって、人々の基本的な権利を守ることの重要性を強調したい」と述べ「表現の自由、報道の自由があってこそ、国どうしは友好関係を築き、武力を放棄し、よりよい世界秩序をつくることができる」と結んでいます。

国連「困難な環境で仕事続けている」

国連人権高等弁務官事務所のシャムダサーニ報道官は10月8日、スイスのジュネーブで行われた定例の記者会見で「最も困難な環境で仕事を続けているジャーナリストの重要性を評価してもらえた」と歓迎しました。

そして「長年にわたりジャーナリストに対する攻撃は増え続け、コロナ禍でとられた非常措置も取材を妨害する手段として使われてきた」と述べ、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ジャーナリストの仕事がますます困難になっているという認識を示しました。

そのうえで「世界で起きている出来事や各地の被害者たちの声を伝え続けてくれるすべてのジャーナリストを祝福したい」と述べました。

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