なぜ村上春樹さんが注目されているの?

世界中で読まれている作家だから

堀川 雄太郎

堀川記者

毎年、ノーベル文学賞が発表される10月上旬になると、テレビのニュースや新聞では「2022年は村上春樹さんが受賞か?」と注目が集まります。

私たち記者も、そんなふうに盛り上げている当事者ではありますが、これだけ期待が高まるのにはやっぱり理由があるんです。

1つは、現代の日本人作家の中では、飛び抜けて世界中で読まれている作家だということです。村上さんの作品は実に50以上もの言語に翻訳されていて、世界各地で新作が待ち望まれている作家なんです。

小説の中に、ジャズやロック、ポップスなどの音楽をはじめ世界共通で親しまれている文化がたびたび登場するのも、海外の読者が違和感なく読める理由の1つかもしれません。

世界中に新しい作品を読みたい人がいるってすごいこと

堀川 雄太郎

堀川記者

そしてもう1つの重要な要素が、国際的な文学賞を数多く受賞していることです。

2006年にアイルランドの「フランク・オコナー国際短編賞」とチェコの「フランツ・カフカ賞」を立て続けに受賞しています。

カフカ賞は、この前年と前々年の受賞者がいずれもその年のノーベル文学賞も受賞していたので、「村上さんもノーベル賞か?」と注目が集まるようになったんです。

その後も、イスラエルの「エルサレム賞」やデンマークの「アンデルセン文学賞」など、海外の賞を複数受賞しているんです。

こうして世界的な評価が高まる中、イギリス政府公認の「ブックメーカー」が毎年行っているノーベル文学賞の受賞者を予想する賭けでは、今や村上春樹さんは“最有力候補”の1人となっていて、上位へのランクインが続いている状況です。

堀川 雄太郎

科学文化部

堀川 雄太郎(ほりかわ ゆうたろう)

2014年入局。山形局・鹿児島局を経て、2022年8月から科学文化部で将棋・囲碁や文芸・出版などを中心に取材中。鹿児島局では種子島のロケットや原発なども担当。

各賞一覧へ