リチウムイオン電池ってなに?

2019年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん。受賞の理由となったのは、軽いのに出力が大きくて、繰り返し充電ができる「リチウムイオン電池」の開発でした。その「リチウムイオン電池」っていったいなに?どんな仕組みなの?吉野さんに教えてもらいました。
(2020年3月13日放送「チコちゃんに叱られる」より)

これまでの電池は

まず、電池というのは、そのなかにある「電子」が動いたら「電流」になります。(下の図の黄色い粒が「電子」です)

これまでの電池では、「電子」が多いほうから、「電子」が少ないほうに、自然に流れていきます。

電子が作られなくなったら、「電池切れ」。つまり「電子」は「一方通行」で、これが、アルカリ乾電池やマンガン乾電池などの、使い切り電池の一般的な仕組みとなっています。

「リチウムイオン電池」は

これに対して、「リチウムイオン電池」の場合は、「リチウムイオン」が、行ったり来たりするんです。

「リチウムイオン電池」というのは、2つの板が入っています。(下の図では灰色と赤色の板です)

片方の板(赤色の板)に、リチウムがいっぱい入っています。スマートフォンを買ってきて、まだ充電していないときは、こういう状態です。

ここに充電器をつなぐと、充電器の電圧によって、リチウムから「電子」が離れます。このとき、「電子」が離れたリチウムは、リチウムイオンになります。

そして、「電子」の少ない、もう片方の板(灰色の板)へ移動。

移動する「電子」に引き付けられて、リチウムイオンも移動。こうして、リチウムとリチウムイオンが片方の板(灰色の板)にたまり、「充電」された状態になるのです。

そして、充電ができたスマートフォンに電源を入れると・・・。

今度は「電子」が反対の方向に流れていく。リチウムイオンも元の場所に戻っていく。こうして「電子」もリチウムイオンも、元の板に戻るのです。

一方通行の使い切り電池と違い、「リチウムイオン電池」は「電子」とリチウムイオンが行ったり来たりすることで、半永久的に、何度も使うことができます。

これが、繰り返し充電できる、「リチウムイオン電池」の仕組みなんです。

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