文学賞

どんな人が選ばれているの?

ノーベル文学賞が誕生したのは1901年。これまでに116人が受賞しています。

『老人と海』などで知られるアメリカのアーネスト・ヘミングウェイや、『ベニスに死す』などを書いたドイツのトーマス・マンなど、受賞者の多くは小説家や詩人が占めていますが、それ以外の分野からも選ばれているんです。

たとえば、1953年にはイギリスの政治家、ウィンストン・チャーチルが選ばれているし、4年前、2016年にはアメリカのシンガーソングライター、ボブ・ディランさんが受賞したことも大きな話題になりました。

つまり、文学作品を書いた人だけが対象というわけではなく、広い意味での文学的な著作があると認められれば選ばれる可能性があります。

メッセージが込められている「歌」も、広い意味で「文学」になるのね。

その一方で、SFやミステリー、ホラー、コメディーといった娯楽性の高いジャンルに特化した作家はノーベル文学賞の好みではないみたいで、これまで受賞者がいません。

例えば、探偵もので人気のコナン・ドイルやアガサ・クリスティーのように、作品が世界中で読まれているけど受賞していない作家も多くいます。

純文学の偉大な作家の中にも受賞していない人は多くて、例えば、『変身』などが有名なフランツ・カフカや、大長編『失われた時を求めて』を書いたマルセル・プルースト、『ユリシーズ』で知られるジェイムズ・ジョイスといった人たちは、20世紀を代表する文豪でありながら、意外にも受賞していないんです。

科学文化部

富田 良(とみた りょう)

平成25年入局。金沢局を経て平成28年から長崎局で勤務し、原爆を中心に戦争関連の課題や文化財をめぐる問題点などを取材。令和元年8月から科学文化部で文芸や学術などを担当