授賞式 授賞式

吉野彰さんにノーベル化学賞
スウェーデン国王からメダル授与

2019年のノーベル賞の授賞式が日本時間の12月11日午前0時半からスウェーデンのストックホルムで行われ、化学賞に選ばれた吉野彰さんにスウェーデン国王から記念のメダルと賞状が贈られました。

授賞式はスウェーデンのストックホルムの中心部にあるコンサートホールで日本時間の12月11日午前0時半から始まり、吉野彰さんは音楽が流れる中、各賞の受賞者とともに入場しました。

授賞式では、化学賞の選考委員が吉野さんら化学賞に選ばれた3人について「化学において画期的な発見をし、リチウムイオン電池の発展をもたらした。人類のためになる真に偉大な業績だ」と述べてたたえました。

吉野さんは、共同で受賞するアメリカのジョン・グッドイナフさんとスタンリー・ウィッティンガムさんとともに名前を呼ばれると、ステージの中央まで進み、ファンファーレが鳴り響く中、スウェーデンのグスタフ国王から記念のメダルと賞状を贈られました。

吉野さんは和やかな表情でメダルと賞状を受け取ると、グスタフ国王とかたく握手し会場からは大きな拍手がおこっていました。

また会場では妻の久美子さんがステージに立つ吉野さんの姿を見守っていました。

日本人がノーベル賞を受賞したのはアメリカ国籍を取得した人を含めて27人目で、化学賞では8人目となります。

吉野さん 晩さん会に 1300人が出席

ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんは妻の久美子さんとともにスウェーデンのストックホルムで行われた授賞式のあと、恒例の晩さん会に出席しました。

ストックホルムの中心部にある市庁舎では12月10日夜、日本時間の12月11日朝早く、ノーベル賞の授賞式のあと、恒例の晩さん会が行われ、スウェーデン王室の王族や政府関係者、それにノーベル賞の選考委員など1300人余りが出席しました。

化学賞を受賞した吉野彰さんは、妻の久美子さんをエスコートしながら、ゆったりとした足取りで座席に向かいました。

そして、スウェーデン王室の王族らが並ぶ中央のメインテーブルに久美子さんと隣り合って着席し、乾杯をして、食事を楽しみました。

晩さん会のメニューは主にスウェーデンの食材を使った3品で、ことしの春から考え抜かれてきたものだということです。

晩さん会の後半には各賞ごとに、受賞者の代表がお礼の言葉を述べ、晩さん会は日本時間の12月11日午前7時すぎに終了しました。

「やっと実感 メダルはずっしり重かった」

吉野さんは日本時間の12月11日午前8時ごろ、授賞式と晩さん会を終えて滞在先のホテルに戻った吉野さんは報道陣から授賞式の感想を尋ねられ、「やっとノーベル賞を受賞したという実感が湧いてきました。メダルは箱に入っていてまだ首にはかけていません。持ったときはずっしりと重かったです」と笑顔で答えました。

楽しみにしていたという晩さん会については「料理は日本人がいるからかわさびのような和風な味がありました。おいしかったです。王室の方とも気楽に話せる雰囲気でした」と話していました。

また、妻の久美子さんは授賞式に臨む吉野さんをどんな思いで見ていたかを聞かれ、「とうとうやったねという感じでした」とにこやかに答えていました。

吉野さんは日本時間の12月15日に帰国する予定です。

ノーベル財団理事長 温暖化対策求める若者を支援すべき

ノーベル賞の授賞式では、ノーベル財団のヘルディン理事長がはじめにあいさつし、「指導的な政治家たちが事実を否定することがある。科学の業績や知識、それに合理的な考えを犠牲にして、非合理的な考えや偏狭な物の見方が広まっている」と述べて懸念を示しました。

その上で、気候変動の問題を例にあげ、「私たちの生活様式が気候に悪影響を与えていることを示す圧倒的な根拠が尊重されていない。若者たちが立ちあがり、科学に耳を傾け、行動を起こすべきだと要求するのは、支援に値する」と述べ、各国で若者たちが温暖化対策を求めて声をあげているのを支援すべきだという考えを示しました。