平和賞

ことしの注目 ソラリンデ神父ってどんな人?

移民の人たちに寄り添い、支援を続ける神父さん。

メキシコ南部で移民の支援活動を続けているカトリック教会のソラリンデ神父が注目されています。

メキシコには、中南米からアメリカを目指す多くの移民がやってきますが、途中で密入国業者にだまされて誘拐され人身売買の対象になったり、麻薬の密売組織に殺害されたりする事件が後を絶ちません。相次いでいます。

ソラリンデ神父は、移民を保護する施設を運営し、さらにアメリカやカナダで中南米の移民の置かれた現状を伝え、待遇の改善を訴えてきました。

犯罪組織から殺害の脅迫を受けたこともありますが、故郷を離れざるを得なくなった人々を救おうと活動を続けています。

おどされても、それに負けることなく。

移民の人たちに対して、アメリカのトランプ政権はとても厳しい姿勢です。

メキシコとの国境に壁を作ると言っています。

トランプ大統領は、入国の許可無く国境を越える移民を厳しく取り締まるほか、難民の申請要件を厳しくして入国を抑制する方針を打ち出しました。

それでも、グアテマラやホンジュラスなどの中南米諸国では治安や経済の極端な悪化から逃れようとアメリカを目指して国外に脱出する人が後を絶ちません

去年(2018年)には、こうした移民が集団で移動する「キャラバン」が一時1万人近くにまで膨らみ、アメリカ国境にまで達する事態になりました。

移民に対する風当たりはアメリカだけでなくヨーロッパでも強まっていますが、ソラリンデ神父がノーベル平和賞を受賞するとすれば、事実上の難民となっている移民をほかの国々がどう受け入れるべきか、内戦や政情不安など難民が生まれる根本的な原因に世界はどう向き合うべきかという問いかけになるのではないでしょうか。

アメリカ総局

添 徹太郎(そえ てつたろう)

平成17年入局。甲府局・神戸局を経て、平成23年から科学文化部で文芸やポップカルチャーから感染症、再生医療などを担当。令和元年にアメリカ総局(ニューヨーク)に異動してからは国際ニュースと、「その周辺」を取材中。