サイボウズ 人事担当者に聞く

「情報共有」が働き方改革のカギになる

2021年09月15日
(聞き手:小野口愛梨 梶原龍)

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新型コロナウイルスの影響で企業は働き方の変革を迫られテレワークの導入も相次いでいます。ここで壁となるのが意思疎通。その課題をITの力によって解決するサービスに注目が集まっています。サイボウズの人事担当者に聞きました。

“チームワーク”を生み出したい

学生
小野口

オフィスが、会社感がないというかすごくワクワクする感じですね。

コンセプトは「Big Hub for Teamwork」

サイボウズ
金子さん

社内外の人が集まり、チームの一体感を高めるためのハブ、つまり拠点になりたいという考え方です。

※取材は緊急事態宣言が出ていない6月28日に実施しました

学生
梶原

どんなことをされている会社なんですか?

私たちが目指す理想は「チームワークあふれる社会を創る」ことです。

サイボウズ
岡田さん

その理想を成し遂げていくためにコミュニケーションの円滑化と業務の効率化を図るソフトウエア=グループウエアを取り扱っています。

取材対応して頂いた人事本部新卒採用担当の金子卓哉さん(右)と岡田陸さん(左)

テレワーク

サイボウズでは多くの社員がテレワークと聞きましたが、テレワークについてどうお考えですか?

業界や職種にもよりますが、コロナ禍になってから多くの人が出社しなくても仕事ができることに気づいたように思います。

岡田も東京にいたんですけども、出身の愛媛でも働けるよねってことで引っ越しちゃいました。

私も地元が群馬県なんですけど先日は群馬の実家で仕事しました。

いいですね。

選択肢がすごく広がりました。これからのトレンドというか、当たり前になってくると思います。

課題はありますか?

やはりコミュニケーションです。

オフィスの場合、打ち合わせ後に「この部分わからなかったのでちょっと話せますか」とか雑談ができます。

それがなくなるので孤独感や、ちょっとしたことを聞けないことがあります。

確かにそうですね。

企業によっては、強制的にテレワークをしている企業もあると思います。

すると仕事が終わった後に「今日は何時から何時まで何をやってどんな結果が出たかを上司に提出する」という対応を取るみたいです。

ただその業務って非効率な面もありますよね。

情報共有ができていればリアルタイムに相手の状況が分かり、後々の報告と確認業務も減らすことができます。

多くの会社がそうなっていると思うんですけど。

そうなんです。情報が共有またはオープンになっていないせいで非効率的な働き方となります。

これって「チームワークがあふれていない」ですよね。

いろんな人がどこに情報があるのかわかりやすくしておけば仕事を進めやすくなります。

これを手助けしてくれるのが「グループウエア」というソフトウエアです。

情報共有やノウハウの共有ができると、チームとしてはすごく強くなると考えています。

いまグループウエアが求められているんですか?

テレワークって直接オフィスに出社する機会がなくなった分、会ってなくても報告・連絡・相談をするっていうのがより求められてくると思うんですね。

グループウエアというのはまさにそれを助けてくれます。

言い換えればバーチャルオフィス、パソコンの画面上がオフィスみたいな感じです。

情報共有が大事なんですね。

例えば皆さんが入社して仕事に必要な情報が欲しい時に「新人だから見られません」だと仕事を進めることができませんよね。

同じ理想に向かっているチームなのに「新人だから」という理由で情報を遮断されてしまうとチームの中でも分断が生まれてしまいます。

そういう状態は非常にチーム全体として健全じゃないなと思いますね。

情報を出し合ってみんなで決めることは大変ではあるんですけど、大きな成果を出すことにつながっていくと思います。

SaaS

次にSaaSについてなんですけど私SaaSがちょっとまだわかってなくて

最初聞いた時に何だこれと思って

難しいですよね。何かと言うとSoftware as a Serviceと言って、「サービスとしてのソフトウエア」ということです。

とはいっても「ん?」って言う感じですよね。

皆さんは、スマホとかパソコンとか持っている場合、例えばGmail使いますか?

使います

別に媒体選ばなくてもできますよね。

会社のネットワークにつながっていなくても、端末に専用ソフトウエアをインストールしていなくてもインターネット環境さえあればアクセスすることができます。

これが、SaaSのすごい特徴的なところです。

どこにいてもどんなデバイスでも情報をキャッチアップでき、得たい情報にたどり着くことができます。

なるほど

以前は、例えば出張先で、社内の情報が見られないんですよ。

だからわざわざ会社に戻って資料を作って、そしてまた出張に行ってみたいな、、、。

めちゃめちゃ不便ですね

でもクラウド(ネットワーク経由でソフトウエアやデータに接続できるサービス)であれば、端末とネットさえあればどこからでもアクセスできるので会社に戻らなくてもいいわけです。

そんな状態がSaaSによってできてきました。

クラウドを使うことで仕事のやり方が変わってきたんですね。

仕事ができる時間と空間が変わりました。

わざわざ会社に行かなくても家やホテルで仕事が出来るようになったので、別のことに時間が使えるようになりました。

最近よく聞くDX=デジタルトランスフォーメーションと関係はあるのですか?

DXも実際よく分かっていないんですけど…。

DXの手段としてSaaSがあります。

よく社内に紙があふれていて、実は電子化でみんな一括共有できる。

SaaSの中に情報共有するためにグループウエアっていうサービスがあって、それを使えばDXできるというイメージです。

SaaSを活用した結果、DXされたらいいなという感じですね。手段と目的の違いです。

SaaSの市場って拡大していると思うんですけど、どれぐらいの勢いなのかを教えて欲しいです。

例えば弊社のクラウドの売り上げをみると、そのまま市場の動向の参考になるのではないかと思います。

いま右肩上がりになっています。

それはコロナ禍になってからですか?

いえ、もっと前からです。
正確に言うと右肩あがりなのは2013年位から。

コンピューターにインストールして使うパッケージ版に比べて、クラウド版のサービスをつかうお客様が増えている状態です。

なんでこんなにクラウドが急激に人気になっているかって、、、

働き方改革があると思います。

例えば会社だけでしか資料を作れなかったりメールができなかったりする業務環境だと、外出後にまた会社に帰らざるをえず、時間がかかってしまい残業が多くなります。

クラウドであれば時間場所を問わずできるので、時間短縮・業務効率化につながります。

また必要な時に必要な分だけ買うことができるので、すごく使いやすいこともあると思います。

使う量によって払う料金が変わってくるんですか?

例えば動画配信サービスのNetflixが1人月額およそ1000円でやっているように、SaaSと言われているクラウド製品だと、1ユーザー単位で買えるので小規模から投資できるんです。

中小企業でも導入しやすいんですね。

サブスクリプション=定額課金制みたいなことですか?

まさにそのとおりです。

いまサブスクリプション型のビジネスモデルが普及したのも急成長の一因になっているかと思います。

働き方改革

働き方改革についてお聞きしたいと思うんですけど、サイボウズさん自身の働き方改革はどう取り組まれているんですか?

例えば「働き方宣言」というのがあります。

自分が何時から何時までをどこで働きたいのかっていうのを、プロフィールに書いて宣言できるんです。

働き方宣言の例

例えば私は午前9時半から午後6時半で、基本は自宅でやりますと宣言しています。

副業やっている人の中には、朝8時から9時半はサイボウズの仕事をして、途中で抜けてまた戻って来ますっていうのもあります。

へぇ〜!!

チームや上司とコミュニケーションとりつつ、自分がいちばんパフォーマンスを発揮しやすい時間と場所を選べるっていうのが特徴なのかなと思います。

怠けちゃう人っていないんですか?笑

仕事の進捗などをグループウエア上で発信をする習慣があるので、怠ける人はいないと思います。

一つ一つ報告する?

報告のルールは個人に委ねているんですが、仕事の進捗は必ず何かしらの形で情報共有するのでその点でもサボれない。

絶対バレちゃうんですよ。全部オープンなので。
変な話、社長の予定も全部見えます。

それはちょっと背筋が伸びますね笑

こうした働き方改革のいちばんの効果って何ですか。

人材の定着です。

離職率をみると分かるんですが、弊社の離職率、2005年が28%でした。

どのくらいやばいかっていうと、大体知っているような大企業だと離職率が5%弱って言われています。

業界によっても差が大きく、IT業界はその中でも大体10%くらいって言われているんです。

28%ってめちゃくちゃ大きい数字ですね。

2020年だと大体3%くらいに収まっています。

2005年頃は毎週誰かしらの送別会をするみたいな過酷な日々だったらしいです。

あと気になったのが、岡田さん、肩書きが取締役ですが、、、。

社内公募で立候補したんです。

自分がなるのも面白いんじゃないかと思って、そこにワクワクして立候補したって感じです。

入社2年目、、、ですよね?

そうですね。この4月で2年目です。

仕事の量とかって変わりましたか?

仕事は月に1回取締役会に参加するだけなので、大きくは変わってないんです。基本は採用担当やっています。

不思議…

情報がオープンで、社長も私たちみたいな平社員も情報の格差がないっていう組織だったからこそ、ふだんから誰でも取締役をやっているようなものなんです。

じゃあ、取締役って何なんですか?

一般的には、会社としての在り方や経営が大丈夫かどうかをチェックしたり、会社としての意思決定をしたりする役割ですかね。

大半の企業では経験を培ってきた偉い人、重鎮みたいな人が取締役になれる感じなんですね。

でも岡田さん、入社2年目ですよね?

名ばかりの取締役なので、言ってしまえば。取締役会に出ているだけです。

サイボウズでは、重要な意思決定 をしているのは取締役ではなくて、本部長など現場の責任者です。取締役は、その意思決定事項の承認のみを行います。

それまでの過程がオープンになっていて、役職でもない人が自由に会議に参加したり時には意見したりっていうのもできるんです。

だから、みんなが取締役かのように、すでに意見を言えている状態なんです。

へー!

ファンではなく仲間を

文系学生でも就活する上で、IT企業やIT分野をどう見ればいいんでしょうか?

まず自分がどんなことをしたいのか、っていうことを考えたうえで、ITを使ってそれをどういう風にできるのかな、みたいなことを考えていくのが大事かなと思います。

その中で、就活で自分が大事にしたいことが「人を楽しませる」だと例えばゲーム業界で。

逆に「業務効率化をしたい」とかだと、そうした製品を販売する会社かなと思います。

サイボウズさん側がどんな人材を求めているのかを聞きたいです。

いちばんは「チームワークあふれる社会を創る」に共感してくださる人と働くことが大前提だと思っていますね。

あとはサイボウズの中でチームワークをどう広めていきたいのか、そこまでしっかり考えられる方がいいかなと思います。

「サイボウズの働き方ってすごく自由で楽しそう!」ではなく「サイボウズの事業や文化に共感していて何かしてみたいな」と考えられる方と一緒に働きたいです。

これよく、「ファンではなくて、仲間を集める」って言っています。

就活生に向けて一言、メッセージをください。

就活ってすごい大事な分岐点にたっていると思っているんですね。

自分でこういうことしたいからこういう場所で働くんだって納得しながら働くことがすごく大切です。

まずは自分で、自己分析だとか会社の分析はすっごい大事かなと思っています。

肝に銘じます。

ありがとうございました。

編集:鈴木有 カメラ:田嶋瑞貴

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