2019年03月01日
(聞き手:小杉山聡)
顧客口座数530万以上、国内最大手の証券会社・野村證券。
今回、話を聞いたのは、人事部採用課長の佐々木芳典さん。地方都市の営業現場も、超富裕層の資産管理も担当してきた佐々木さんが伝える“マストなニュース3本”は…
2018年3月、アメリカのトランプ政権が鉄鋼製品などに関税を上乗せしたことをきっかけに、以後、互いの輸出品に関税をかける制裁措置の応酬が繰り返された。両国が「貿易戦争」と呼ぶほどまでエスカレート。
学生
小杉山
まずは米中貿易摩擦をあげて頂きましたが、重要性を改めて教えていただけますか?
今、この時期に世界経済にとって一番インパクトがあるニュースだからです。これが数年前だとアメリカ大統領選挙だったり、イギリスのEU離脱だったりとか、その時々で世界のマーケットにインパクトを与えるニュースがあります。
佐々木さん
貿易摩擦自体は、元々起きていることでもあるんですが、昨年末もアメリカのトランプ大統領の発言でマーケットが非常に大きく動いたし、中国側の発言で世界同時株安みたいな反応が起きたりと、非常に影響が大きいので、アンテナを張って情報収集しています。
どのように情報収集しているのですか?
部署にもよるのですが、リアルタイムで情報が入ってくる端末もよく使っています。NHKをはじめ、いろいろな報道機関のニュースなどが随時入ってくる形を取っています。
2018年6月に成立した「働き方改革関連法」。時間外労働に上限が設けられるなど、多くの企業で働き方が大きく変わろうとしている。
続いて働き方改革のニュースですね。
働き方改革も今に始まったニュースではなく数年前から取り組まれてきたものですけど、今回インタビューでぜひお話したいなと。
まず当社にとってなぜ重要かというと、今、世の中のお客様のニーズが多様化しています。それに応えるためには、こちらも多様な働き方だとか、多様な持ち味を持った社員が最大限に力を発揮することが、会社のパフォーマンスを最大限にすることにつながります。
人事採用を担当していて、学生にも繰り返しお伝えしているのですが、昨年の採用メッセージだった「全ての個性を力に変える」。まさにそれがビジネスの現場レベルで起きているなと、すごく実感します。
そのためにも、いろいろな能力を持った人たちが働きやすい形に整えていくことがすごく大事だと考えています。
具体的にはどんな取り組みをしているんですか?
労働時間の削減は、徹底されるようになってきました。
その分、漫然と早く帰るのではなく、自分はその空いた時間を何に充てようかと考えるようになってきました。力をつけて短い時間でしっかり成果を出すことを求められるとしたら、自己研鑽などにあてる若手社員も多いですね。
自己研鑽というと、専門学校とかに通ったりですか?
リカレント教育でMBAに挑戦したり、語学に挑戦する社員は多いです。
(※リカレント教育:社会人になってからも、新たな技能の習得やキャリア形成などのために生涯にわたって学び直すこと)
勤務の間、会社で頑張ればいいというものではないのですね?
就職活動の時には自己分析をすると思いますが、その際に、自分はこういう分野で働いていきたいとか、こういうものを大切に働いていきたいとか、こういうものを価値観の中心として社会に貢献していきたいとか、そこをしっかり考えてほしいと思います。
会社に行って1日が終わってしまう、そんな日もあると思いますけれど、軸だとか自分の価値観や思いがある人は、時間ができるとそれに向かって突っ走ることが、社会に出てからもできるんですね。
自分がこうなりたいという気持ちが強ければ、働き方改革を最大限有効に使えるんじゃないかと思います。
いよいよ来年に迫った東京オリンピック・パラリンピック。競技場の建設といったハード面だけでなく、海外から集まる人たちにどう対応するかといったソフト面でも準備が急ピッチで進められている。
3つめのニュースですが、なぜ東京オリンピック・パラリンピックを選ばれたのでしょうか?
スポーツの祭典だけじゃなくて、東京オリンピックは、日本再生のいいきっかけになってほしいという思いがあります。バスが燃料電池で走行したり、ロボットが掃除や警備をしたり、キャッシュレスも一気に進んでいく可能性がありますよね。
社会が変わっていく、技術が変わっていく。それを金融機関や野村證券がサポートするというのが本業ですので、まさにそこが醍醐味かなと思います。
あとは単純に、オリンピックは見ると感動すると思うのですが、人が挑戦する姿を見て、自分も何か大きなことに挑戦しようといった気持ちを抱いて社会に出る絶好のタイミングですよね。
オリンピックそのものだけでなく、社会の変化にも関心を持ってほしいということですね。
われわれの重要な役割の一つは、ベンチャー企業を成長させて、世の中にインパクトのあるサービスを広める手助けをするという仕事。まさにそういうサービスが晴れ舞台に立つきっかけになるかもしれないですよね。
結構、新しいもの好きだという佐々木さん。「証券会社の人間は、お客様に世の中の最先端や未来について語ることが非常に多いんです。そのためにもまず自分で見てみよう、触れてみよう、やってみようということが多いかもしれないですね」と話していました。
佐々木さんが就活をしていた頃は、どれくらい情報収集していたんですか?
それは言えません(笑)
今ほどネットの情報は多くなかったですし、私はテレビや新聞などでした。就活で金融に興味を持つようになってから、家で取っている新聞を読んでみて、この会社はこんなことをやっているんだなと思ったりしましたね。
採用過程で、学生がニュースを見ているかどうかは気にしていますか?
面接などで、日経平均はいくらかといった金融に関する質問はほぼないと思っていただいていいと思います。そこは入社後にプロとして育成できるから。
ただ、どういうニュースに関心を持って何を感じているのかは、その人の価値観だとか人柄に触れるきっかけになることが多いので、そういうところは見ています。
学生の一番の情報源は友だちなどが多いかと思うんですけど、そうではなくて、ニュースや新聞を見てそこで自分がどう思うかを考えている人というのは、やっぱり、深い。質問して返ってきた答えにさらに質問していくと、日頃から自分が考えていればそれを整理して伝えることができるので、すごく思考力を感じることが多いですね。