積水ハウス 人事担当者に聞く

“住まい”から持続可能性を追求する

2020年01月07日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか 井山大我)

2020年に創業60年を迎える積水ハウス。時代の変化に合わせ手がけるのは単なる家づくりにとどまらず、環境に配慮した新たな住まい。企業の利益だけを求めるのではなく、大事なのは相手の幸せを願うことだと語る人事担当の和田泰英さんが選んだマストなニュース3つは・・・

若手時代は、「残業も休日出勤も気にしない!」タイプの営業社員だったという和田さんと広報企画室の細井佳子さんにお話を聞きました。

学生
勝島

きょうはよろしくお願いします。積水ハウスと聞いて、ハウスメーカーというざっくりとしたイメージしか持てていません。実際の詳しい事業内容について教えてください。

お客様のご要望にお応えして新築の注文住宅を提供することを中心事業としてきた会社なのですが、いま一戸建て住宅の売り上げは全体の17%ほどなんです。そこまで多くはないんですよ。

和田さん

そんなに少ないんですか!

学生
田嶋

地方出身だからか、積水ハウスと言えば一戸建てのイメージが強かったので意外です。

私が入社した頃(19年前)には、すでに戸建住宅以外にも、賃貸住宅や分譲マンションの建設、街づくりや都市開発など総合ディベロッパーのような分野も手掛けていました。

そうなんですね。

日本はすでに少子高齢社会で、これから世帯数の減少も始まります。ご高齢の方が戸建住宅やマンションを新たに購入することは少なくなり、住宅市場の縮小が予想されますよね。私たちの業界はこの状況に適応したビジネスを展開していくことが求められます。

10年ほど前には、海外での不動産開発に進出するなど、事業領域を拡げてきましたし、今は住宅を建てるだけではなく、衣食住の「住」の分野全般に携わっています。

ゼロ・エネルギー住宅

「ゼロ・エネルギー住宅」とは、断熱性能を高めた上で再生可能エネルギーを導入し、年間のエネルギー消費量の収支がゼロになることを目指した住宅のことを指す。

最初に選んでいただいたニュースは「ゼロ・エネルギー住宅」ですが、正直初めて聞きました・・・。

家って、そこで人が生活しているだけでCO2などの温室効果ガスをたくさん排出しているんですよ。

自動車業界では、環境に優しい車がどんどん開発されてきましたよね。最近、そうした環境対策が住宅にも求められているんです。

どういうことができるんですか?

家から出るCO2の排出量をゼロにすることは出来ないけれど、壁の断熱材を厚くしたり遮熱断熱効果の高い窓ガラスを標準化するなど断熱性能を上げます。

そうした省エネをした上で、太陽光パネルなどを使ってエネルギーを創り出す。それで差し引きをゼロにしましょう、という住宅が「ゼロ・エネルギー住宅」です。

ゼロ・エネルギー住宅の概念図

どれくらい建てよう、という目標はあるんですか。

政府は2020年までに新築住宅の半分をゼロ・エネルギー住宅にしようという目標を掲げています。ちなみに、積水ハウスでは2018年度は79%のお客様にゼロ・エネルギー住宅を建築していただきました。

ただ環境に良いというだけではお客様にも購入していただけません。優れたデザイン性や、毎月の電気代が大幅に下がるなどコストパフォーマンスの良さもアピールしています。

瓦一体型太陽光パネルを活用した住宅。本物の瓦のよう!

積水ハウスでは環境配慮にかなり前から取り組んでいて1999年には「環境未来計画」というものを発表しましたし、2005年にはいま話題のSDGsに近い考えの「サステナブル・ビジョン」を掲げました。

持続可能な社会を実現するために、企業として経済価値以外にも環境価値・社会価値・住まい手価値の向上に取り組んできたんです。

ちょうど私たちが生まれた頃くらいです!

そうですね(笑)私は就活をしていたころです。

細井さんが就活生のときに面接を担当したのは、なんと和田さん!

当時は私も「持続可能な社会」なんて大げさな…っ思ってて。けど、巨大台風の発生や大規模な森林消失など世界規模での気候変動が目に見えるようになってきて、未来に不安を感じるようになりました。

例えば欧米では、地球環境に配慮していない会社からは手を引いて配慮している会社と取り引きを始める企業や投資家が増え環境や社会に配慮する会社にどんどんお金が回るようになってきています。

なので、積水ハウスでは木造住宅シャーウッドで「フェアウッド」の利用促進にも取り組んでいます。

学生
井山

フェアウッドってはじめて聞きました。

伐採エリアの環境や地域の生産者や生活者にも配慮した木材のことです。

国内外問わず違法伐採はもちろんダメですし、伐採に従事する労働者の生活にも目を向けて木材を調達する方針を作っています。

自分の家の材料が世界の人に何かしら影響を与えているなんてイメージしたことがなかったです。就活生には、どういう視点でこのニュースを見てもらいたいですか。

私自身がそうでしたが、就職活動では企業の売り上げや利益に注目することが多いですよね。でもこれからの社会では、利益追求しか考えていない企業って今後は長続きしないと思っています。

本業の経済活動を高めながら、どう環境や社会に配慮した取り組みを進めているかは、企業研究の際の大切な視点だと思います。

なかなかそこまで見ている就活生は少ないかもしれないですね!

訪日外国人旅行者3000万人突破

2018年に観光などで日本を訪れた外国人旅行者は3000万人を超え、過去最高を記録。リピーターも6割で、外国人旅行者の国内消費には多くの業界や自治体が目をつけ取り組みを進めている。

2つ目のニュースですが・・・、ハウスメーカーと外国人旅行者ってイメージがなかなか結びつきません。

そう言ってもらうために選びました(笑)

最初にお話ししたように、戸建住宅の建築数が今後減っていくため当社では事業の領域を広げています。

新規ビジネスの一つとして、外国人旅行者が足を運ぶ地方の「道の駅」にホテルを作っているんですよ。

道の駅にホテル?

2018年に訪日外国人旅行者数が3000万人を突破しましたよね。で、このうちの6割はリピーターなんです。

日本に来るのが、2回目以降になると、東京・京都・大阪といった有名な都市や観光地ではなくて、地方に行って日本の文化やコアな体験がしたいって希望する人が多いそうです。でも、そういう地方には・・・

ホテルが少ない!

そうなんです。そこでわれわれが注目したのが地方の道の駅。全国に1000か所以上あるんですが、そこに積水ハウスの住宅部材で「宿泊特化型」のホテルを建てようと。

宿泊特化型ってなんですか?

食事の提供は一切しません。

道の駅で買ってもらった肉や野菜でバーベキューを楽しんでもらったり、地元のレストランに行ってもらったり。要は宿泊以外のお金を全部地方に落としてもらう、ということです。

外国人旅行者を悩ませている宿泊施設不足の一助にもなるし、「地方創生」にもつながる事業だと思っています。来年秋には全国の6府県でオープンするんですが、その後も数年先まで計画がたっています。

ハウスメーカーと観光客はそういう関わりがあったんですね。

ホテルは積水ハウスが京都府や栃木県などに建設し、世界最大のホテルチェーン「マリオット・インターナショナル」が運営。自転車などで地元をめぐり日本の食や風習を体験してもらうプランの提供も検討している。

働き方改革

最後のニュースは「働き方改革」。

これまでこのコーナーでもたくさんの企業が取り上げています。

特にこの数年、大きな変化を、私自身も感じています。

2018年の9月からは「イクメン休業制度」というものを始めていて、男性社員も育児休業を1か月以上とらなければいけません。

絶対にとるのですか?

絶対です。子どもが3歳になるまでに最低1か月。

それって反発がありそうな気も・・・。

最初は現場からの反発は大きかったですよ。

とくに営業や設計の社員は目の前の仕事に必ずお客様がいるので、1か月休むのは大変ですから。

確かに・・・。

ただ、強制的に1か月というのではなく最大4回に分けられるので、1週間ずつ休みをとったりすることもできるんですよね。

細井さん

無理と思っていたけど、実際やってみたらどうにかなったって感想は寄せられています。

男性の育児休業取得率100%の達成を受けて、9月19日を「育休を考える日」に制定!

働き方改革で生じたものの埋め合わせはどうやっているんですか。

ITを活用しています。

例えば戸建住宅の営業社員育成の話ですが、全国のリーダークラスの営業社員がお客様とのコミュニケーションの取り方や接客などのお手本を見せている動画がたくさんあがっていて、若手社員はそれをiPadで見ていつでも学習することができるんです。

へえ!

私が若手の頃は、上司から「お客様とは必ず対面で打ち合わせをするように」と指導されていて、1組のお客様と何時間もかけて何回も打ち合わせをするのが当たり前でした。

何時間も・・・。

でも今は様々なツールを使って図面やプレゼンをデータでやりとりしたり、VRで住宅の広さなどのイメージをつかんでもらったり。時間の面で効率を重視するお客様が増えている中で、打ち合わせの頻度ややり方も変わってきています。

私も2人の子どもを育てながら時短勤務で仕事をしていますが、勤務時間に制限がある中で業務の効率化は進んできていると思います。社内でテレビ会議も増えて、全体的に出張の回数は減ってきていると感じます。

和田さんの働き方はいまどんな感じなんですか。

変わりましたね。

若いときは遅くまで働くのも苦じゃなかったんですけど、たぶん思考停止状態で効率性を考えていなかっただけなんだと思います。

今は、始業や終業時間をずらせる「スライド勤務」という制度も積極的に使っています。普段の勤務時間は朝9時から18時なんですが、明日は夜の8時まで仕事が入っているから午前11時に出勤しますよ。

へえ~。

どんな人材を求めているのですか?

ひとつのキーワードが「人間愛」です。

人間愛・・・。

簡単に言うと、「相手本位」ということでしょうか。お客様や仕事の仲間とのやりとりの中でも、まずあなたの話を聞きます、あなたのことを理解したいという姿勢を大切にしてほしいんです。

それと「自律型人材」の育成も、人材というキーワードにおける目標の1つです。昔は上も下もみんなが長時間働いていたので、日々先輩の姿を見ている中で自然と学び成長する若手もいたと思うんですよ。

なるほど。

でも今は、先輩も早く帰るし育休で1か月休むこともある。昔に比べて先輩が手とり足とり教えられる時間も多くはないんです。

そういうことからiPadを利用した学習方法などを取り入れていますが、いつも誰かが見守ってくれるわけではないからこそ、様々なことに主体的・積極的に取り組む姿勢を持った人が今まで以上に求められています。

働き方改革で求める人材も変わってきているんですね。

そうですね。難しいかもしれないけど「内定」をゴールにせずに、もう一歩先のビジョン、その先どういう働き方をしたいのか、どういうキャリア(人生)を歩んでいきたいのかをよく考えて就活をしてほしいです。

お忙しいところありがとうございました。

編集:石川由季