日立製作所 人事担当者に聞く

デジタルで もっと価値を

2020年03月16日
(聞き手:勝島杏奈 高橋薫 土井湧水)

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大手電機メーカーの日立製作所。事業のデジタル化を進めることで世界の企業との競争に挑んでいます。待ったなしのデジタル化、求められる人材も変化する中でどうすればいいのか、マストなニュースを聞きました。

デジタルトランスフォーメーション

学生
勝島

あまりなじみのないことばなのですが、なぜ選んだのか教えてください。

AI(人工知能)とかIoT(モノのインターネット)とか、そういった分野のお話になるんですけれど。

中村さん

日立製作所 人事勤労本部 採用グループ 太田さきさん 中村圭佑さん

デジタルトランスフォーメーション

最先端のデジタル技術を使って、製品やサービスを変革すること。先端技術を取り込んだり、異業種の企業と組んだりすることで、新たなビジネスモデルの創出を目指す。

そもそも、日立って聞いてどういう会社っていう印象をお持ちですか?

学生
土井

やっぱり、家電のイメージがあります。

確かに家電のCMとかが一番目に触れる部分かなと思うんですが、実はITというのが一番大きな比率を占めているんです。

家電の売上は日立グループの全体でいうと5%くらいなんですね。

えっ、意外です。

デジタルトランスフォーメーションって、AIとかIoTで色んなものをよくしていこうという概念なんですけど、我々のビジネスもまさにそれと同じ。

「社会イノベーション」と掲げているんですが、社会の課題を解決するためには、ITの力が必要不可欠なんです。

学生
高橋

具体的にはどんなふうに、ITを使っているんですか。

たとえば、鉄道ですね。2013年までにイギリスで総事業費1兆円規模の高速鉄道の事業を受注しました。

日立が製造したイギリスの高速鉄道の車両

そこで大事なポイントになったのがITなんです。

昔だと日本のモノというと、しっかりして、品質が良くて、壊れなくて、みたいだったんですけれど。なかなか、それだけで差別化って難しくなってきているんです。

そうなんですね。

それで、何ができるんですかってなって、車両の中にちっちゃいセンサーをいっぱいつけたんです。

センサーをつけてリアルタイムに情報をいっぱい吸い上げて蓄積して、それがビッグデータになる。そこにAIを投入して分析するんです。

そうすることで、部品とかがこれぐらいの環境でこれぐらい使うと、だいたいこれくらいに壊れるよっていうのを予想しているんですね。

はい。

これができると、部品が壊れる前に換えるじゃないですか。

そしたらずっと高いレベルのサービスを継続して提供し続けられるんです。

製造業って聞くと、やっぱりものを作ってそれを売って成立しているイメージが強かったんですが。

求められるものって、これからどんどん増えてくるっていうことですか。

おっしゃる通りです。

太田さん

お客様から求められることとして、「より良いモノ、製品を作って」というオーダーももちろんあるんですが。

今は、「もっと価値を提供してください」と。

どういうことですか。

世の中の課題もどんどん複雑化していっている中で、単純にものを作って渡すっていうだけではなくて。

色んな技術を組み合わせる、掛け合わせるということですね。

掛け合わせることでお客様の課題をどうやって解決していくのかっていうことを今、必死に考えてやっています

わたしたち3人は文系で難しいことは出来ないんですけれど…

文系の人材に求められるデジタルの素養って、どんなものがありますか。

新しい技術とかをどんどん生み出すのは、もちろん専門的な勉強をしてきた理系の人がやるんですけど。

これを実際のビジネスにするのは文系になるわけです。

私たちは今から何をすればいいのでしょうか。

興味を持ってそのことを知りたいって思うことが、入口として大事なんじゃないかって思うんです。

ITみたいなところに行った瞬間に「うわ、苦手、なんかよく分かんない」って思わずに。

「あ、こんな技術があるんだ、どういうことなんだろう」って考えることですね。

SDGs

SDGs、なぜこれを選ばれたんですか。

SDGs

「Sustainable Development Goals」の略。「エスディージーズ」と読む。日本語で「持続可能な開発目標」。2030年までに解決を目指す国際目標で17のゴール・169のターゲットから構成される。

詳しくはこちら→1からわかる!SDGsをご覧ください。

短期的に、「今この問題を一旦解決すればいい」っていうことじゃないのがものすごく重要なポイントです。

ダボス会議でも気候変動って、テーマとしてすごく取り扱われている。

やっぱり世界がそういう方向に向かって行っているということなんですよね。

そうですね。

そうした中、私たちは中期経営計画の中で3つの価値を向上していくと決めたんです。

1つ目は社会価値の向上。もう1つが環境価値の向上。そして最後が経済価値の向上。

お金もうけますっていう目標だけじゃ足りないよねっていうことなんです。

私たち就活生の目線で見たら、どういうふうに捉えたらいいのでしょうか。

就職活動をされて、どういった仕事をしていこうかなとか、学んできたことをどうやっていかそうかなって考えるんだと思います。

そのキーのひとつとして、社会的な価値、環境的な価値の向上、世の中をより良くしていくんだって。

ビジネスを通じて社会に貢献をしていくこともできるんだよって知っていただきたいです。

はい。

家電だけではなくていろんな事業を展開しているので。

何か世の中の役に立ちたい、良くしたいって思った時、できることはたくさんあると思っています。

東京オリンピック・パラリンピック

東京オリンピック・パラリンピックですが、どうして選んだのでしょうか。

今回の東京オリンピックに日立が直接的に何かするっていうことでは実はなくてですね。

前回、1964年に東京オリンピックがありましたよね。

その時日本がどういう状況だったかというと、高度経済成長期の真っただ中だったわけです。

そうなんですね。

モノがない時代からモノがある時代に変わっていこうとした時期なんです。

そういう世の中で、どういう働き方になっていたかというと、男性の社員が中心で同質な集団が、ガバーっと仕事をしていた。

それが、60年くらいたって変わってきたんです。

日本国内で考えると、労働人口がどんどん減っていっている。

特にグローバルには、今までと同じやり方ではなかなか通用しなくなってくる

そこで、「ジョブ型」という人材マネジメントが必要になってくると思っています。

「ジョブ型」ってなんですか。

ジョブ型っていうのは、この椅子が必要になる。この椅子に座って一番成果を出してくれる人はだれなんだっていう見つけ方なんです。

人に仕事を振るのではなくて、ポジションに人を割り当てていくっていうことです。

なので、いままでみたいに「みんな頑張るぞ」ではなくて、「この目標を達成するためにこういう成果を求めている」と具体的に仕事を進めていきます

学生生活を過ごす中で、どちらかというとみんなで何かを達成するとか、集団行動をずっとやってきました。

「この成果に対してあなたは何ができますか?」と提示された時に、自分は何ができるかイメージできなくて・・・

解決したい問題に対して自分は何ができるのか、どうしたいのかっていうことを考えて、チームで達成していくことがとても重要になっていきます。

自発的にいろいろな問題に着目して、自分で動いていくというあり方でないといけないと思います。

 

「ジョブ型」になる中で、自分のキャリアをどうしていこうか、就職活動のタイミングだけでなくて、これからずっと考えないといけないことなんです。

今、大学3年生で今ちょうど就職活動中です。

よく「キャリア」という言葉を聞くんですけど、「キャリア」っていったい・・・

自分が何をしたいか、じゃないですか?

何をしたいか・・・

無理やりひねりだすものではないと思ってて、自然に出てくるものじゃないのかなと思ってるんですね。

そのためには色んなインプットが大事になってきます。

自分がまさにやっている仕事だけではなくて、全然関係ない音楽だったりとか芸術でもいいかもしれないし。

自分の中で興味とか関心を見つけて、好きなことに向かっていく、その過程をキャリアっていうことですか。

自分で何をやりたいか、目標を定めて進んでいくこと。

じゃないと、嫌じゃないですか。

これからは終身雇用の時代じゃないので、色々会社がある中で自分の成し遂げたい分野があるなら、そっちに行けばいい。そういう世の中になってきています。

お忙しい中ありがとうございました。

編集:加藤陽平

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