日本生命 人事担当者に聞く

しがみつく人必要なし キラリと光る強みが欲しい

2019年04月05日 (聞き手:田嶋あいか)

ちょうど130年前の1889年(明治22年)に創立された日本生命。
超高齢化社会に対応するため、死亡保険以外にも新たな商品を次々に開発してきました。その人材開発部、今井孝之部長が選んだニュースは…

人生100年時代と健康寿命の伸長

去年(2018年)9月時点で100歳以上の高齢者は全国で6万9785人と、48年連続で過去最多を更新。「平均寿命」も男女とも80歳を超え、特に女性は約87歳になっている。政府は、「人生100年」とも言われる時代に対応した医療福祉や雇用などの分野の政策強化を掲げている。一方、介護などの必要がなく心身共に自立し、健康的に生活できる期間を示す「健康寿命」は、女性が約75歳、男性が約72歳。「平均寿命」が伸び、長寿のお年寄りが増える一方、「健康寿命」をいかに延ばすかが課題になっている。

学生
田嶋

まず、1つ目のニュースですが、「人生100年時代と健康寿命の伸長」を選ばれました。この重要性は?

2016年で「平均寿命」は、男性が80.9歳、女性が87.1歳。一方、「健康寿命」は男性が72.1歳で女性が74.7歳なので、その差は男性は8.8歳、女性が12.3歳あります。

今井さん

この「平均寿命」と「健康寿命」の差がどんどん開くと、医療費とか介護費が増えて国の財政も圧迫するし、我々の家計も圧迫するという影響があります。

1人1人がより健康に配慮することと、「平均寿命」と「健康寿命」の差に対する備えも非常に重要になってきます。

それに対して保険会社が果たす役割は、すごく大きいと思っています。以前は、お亡くなりになった時にご遺族にお金をお支払いする「死亡保険」が中心だったんですが、今のように社会構造が変化している中では、保険に対するニーズも非常に多様化しています。

今申し上げた「健康寿命」の話も、保険商品やサービスに大きな影響を与えています。

具体的には、どのような影響ですか?

例えば、健康増進に関する取り組みでは、スマートフォンで歩数を計測するアプリがあるんですが、お客様にこれを使ってもらい、一定以上の歩数を達成するとポイントを付与するプログラムを提供しています。

ウォーキングに積極的に取り組んでもらい、健康寿命を伸ばしてもらおうという狙いです。

これ以外に、「人生100年時代」を支える商品も出しています。例えば長生きするといろいろな経済的不安があると思うんですが、その不安に備える「トンチン年金」と呼ばれる商品も好評を頂いてます。

※「トンチン年金」(解約時や死亡時の返戻金が低く設定される一方、加入者が長生きした場合、生涯にわたって年金を受け取れる仕組み。)

また、“おひとりさま”の高齢者向けのサービス(入院や施設の入所時に保証人となる『身元引受保証』や通院の付き添い、葬儀や納骨など亡くなったあとの対応)も他社と業務提携して始めています。

少子化でビジネス環境は厳しくなる懸念もあると思うのですが。

日本の生命保険がもうこれ以上伸びないかというと、全くそうじゃないと思っています。60代、70代の人たちが、どんどん社会に出て活躍する時代が来ると思いますし、そうじゃなきゃいけない。その方々が活躍するためにできることは、いろいろあると考えています。

一方で、最近は大きな災害が相次いでいます。そういった時の生命保険会社のお仕事で、今井さんご自身が大変だった経験があれば教えてください。

やはり東日本大震災ですね。私も被災地に、3月31日くらいに入ったんですが、現地の営業職員は、自分の家族が被災している中でも、愚直に避難所をまわって契約者の方々の安否確認をしていました。

保険をお届けする場面は基本的には悲しい場面ではあるんですが、やっぱり万が一のときのための安心を届ける産業だと思うんですよね。

「face-to-face」でやっていますと、お客様から感謝される時ってあるんですね。そこが、私たちの一番大切なやりがいなんじゃないかと思います。

ESG投資

② 「ESG投資」
Eが「環境」(Environment)、Sが「社会」(Social)、Gが「企業統治」(Governance)の3つの頭文字で、機関投資家が、こうした環境などに配慮した企業に投資することを指す。欧米を中心に盛んに行われており、国内でも金融機関が、二酸化炭素の排出量が比較的多い石炭火力発電所について、新たな建設計画への融資を見直す動きが出てきている。

2つ目のニュースは「ESG投資」ですが、これを選ばれた理由は?

生命保険には、大きく2つの機能があります。1つは、万が一の時に保険金をお支払いするいわゆる「保障機能」で、学生の皆さんがイメージ湧く機能だと思います。

もう1つは、お預かりしている保険料を資産運用で増やすという「機関投資家」としての機能です。これは、よく「100人の村」を例に出すんですけど、たとえば1人が1万円ずつ出したら100万円集まりますよね

はい。

万が一1人が亡くなったら100万円の保険金を支払うのが「保障機能」ですが、その100万円の資産を運用して、105万円にします。それを還元して、1人あたりどうなるかというと、もともと1万円だった保険料が9500円で済むんです。

そういうふうに、1人1人の負担を減らす、あるいは配当で還元するのが「資産運用」の機能ということになります。「自転車の前輪と後輪」と言っているんですが、両方回ってはじめて保険サービスが成り立つんです。

なるほど!わかりやすいです。

きちんとお支払いできるよう、大きなリスクがある博打みたいなことはしないと。当社としては、安全にかつ収益も上げるということに加え、「公共性」というのを重視してきました。

「ESG投資」は、生命保険会社の特徴である公共性や長期性という点で、考えが非常に合致しているので、力を入れているんです。

働き方改革

去年(2018)6月に成立した「働き方改革関連法」が、4月1日から段階的に施行され、働き方のルールが変わる。主な内容は、▽時間外労働の上限規制が新たに導入され、大企業では最大でも年720時間以内、月では休日労働を含め100時間未満となる。中小企業でも来年4月から同じ規制が適用される。
また、▽有給休暇の取得について、年10日以上の有給休暇が与えられる労働者については、本人の希望を踏まえた日程で、最低でも5日取得させることがすべての企業に義務づけられる。

3つ目は、「働き方改革」を選ばれましたね。これは、いろいろな会社が取り組んでいますが・・・

私たちは「ワーク・ライフ・マネジメント」と呼ぶ取り組みを行っています。単純に労働時間を圧縮するだけでなく、その削減した時間を自分の成長に充てようという考え方です。

例えば水曜日は、「午後6時にはみんな帰りましょう」ということをやっています。あとは水曜日以外の平日は、夜8時に電気が全部消えたり、パソコンが強制的にシャットダウンしたりというような仕組みも導入しています。そのあたりは、以前から徹底しているんです。

そこで人材開発部では、「削減した時間を使って自己研鑽しましょう」ということで、「アフタースクール」を実施しています。

アフタースクールですか…?

はい。何をやっているかというと、「TOEIC」試験や証券アナリストの資格を取るための講座を会社が用意して、従業員に受けてもらう取り組みです。
あとはボランティア活動をした人たちが報告会を開いたりと、学びの機会を会社が提供しています。

さらに、資格講座については、オンライン動画で全国の事務所に流すこともやっています。このオンライン動画の取り組みは、去年から始めたんですが、動画を見てもらった人が1万人、アフタースクールの受講者も含めると、のべで2万人ほどが利用していることになります。

全国に学びの場が広がっているんですね。

将来自分はこうなりたいという「キャリアビジョン」を考えてもらうことを非常に重視しています。会社として従業員1人1人のキャリア形成を後押しするような仕組みをいろいろ作っていて、例えば人材開発部には「キャリア支援チーム」というチームがあります。

「キャリアコンサルタント」という国家資格を持ったメンバーが3人常駐しているんですが、そのメンバーが、いろいろな研修に出向いていって「自分の将来を考えましょう」という話をしています。

「働き方改革」や「キャリア形成の支援」は、会社の収益性に繋がるものなのでしょうか?

定年を迎える65歳まで、みんな本気で能力を発揮してもらいたいと思っています。なので、自分がどこに強みをもって、どうやって会社や社会に貢献していくかを従業員1人1人突き詰めてもらいたい。

だから、しがみつく人はもうはっきり言って必要ないんです。「自分で考えて自分でつかんでもらう」ということをやっていかなきゃいけないと思っています。

具体的に、どういう人材が欲しいですか。

多様な人材が揃えば、やはり付加価値が高まると思っています。“固有の強み”と私たちは呼んでいますが、キラリと光る自分だけの強みを持った方に入社していただきたいなと思います。