2022年06月24日
最近、就活を始めたわが子。自分たちの時とはいろいろ状況が変わっているようだけど、できることはサポートしてあげたい…。
どう関わっていけばいいの?専門家に聞きました。
今回、話を聞いたのは「リクルート就職みらい研究所」所長の栗田貴祥さん。就活生の保護者を対象にしたセミナーなどでも講演を行っています。
子どもが就職活動を始めたけれど、どこまで関わっていいのか分からない。
毎年こうした悩みを抱える保護者が少なくないんだそう。
まずは、就活生の親が持つべき基本的な心構えについてたずねました。
リクルート就職みらい研究所 栗田貴祥所長
1992年リクルート入社 新卒メディア・中途メディア事業の営業部門、リクナビ編集長などを経て2022年4月より現職
(栗田さん)
初めての就活を進める中で、保護者の方がお子さんに気づきを与えるケースもたくさんあると思います。
あまり気兼ねせずに声がけすることを前提に、いろいろ相談にのっていただくといいと思います。
リクルートが22年卒の大学生、およそ4000人を対象に「卒業後の進路を考える上で影響を与えた人」を尋ねたところ、「親」と回答した学生が、46.9%に上ったそう。
「子どもに声をかけるべきかどうか」と悩んでいるような場合には、気軽に声をかけてみてもいいのかもしれません。
とはいえ、自分の経験や価値観に基づいた意見を子どもに押しつけることは、ケンカのもとにも…。
そこで、知っておきたいのが、20~30年前と今では、就活を取り巻く環境が大きく異なっている、という事実。
「転職のありよう」と「オンライン就活」の2つのキーワードを軸に、確認していきましょう。
(栗田さん)
昔は終身雇用が一般的でしたが、今は転職が当たり前とも言える時代になってきています。
現在は、個人が働き続けられる職業寿命は48年ほど、会社の企業寿命は平均で24年ほどと言われていて、企業の寿命よりも個人が働き続ける期間の方が長くなっています。
ですので、1社でずっと働き続けること自体が難しくなってきていることから、ある程度、転職が前提の世の中になってきている、というのは頭に入れておいた方がいいです。
すなわち、これからは1社で勤め上げるのではなく、複数の会社で働き続けられる力を身につけることによって安心安全というのを担保していく時代とも言えます。
自分のキャリアをちゃんとイメージした上での選択であれば、転職をする前提での就活ということも、選択肢としては、全然あり得るということです。
どこの会社にいくか、ではなく、どんなキャリアを築いていくのか、という視点を、いっそう重視して見ていく必要がありそうです。
そして、就活を進めていくうえでもはや必需品とも言えるのが自宅のオンライン環境の整備。
図を見てもらって分かるように、面接が対面だけで完結する企業は、わずか1割ほどなのが現状となっています。
大学の授業でも使っているとはいえ、本番を迎える前に、一度、確認しておいた方がよさそうです。
(栗田さん)
学生たちと話をすると、自宅の通信環境が不安だ、という声をよく聞きます。
もし可能なら、わが子が不安なく選考に集中できるよう、自宅の通信環境に問題がないか確認してあげてください。
あとは、ハード面だけでなく、ソフト面での気配りもぜひお願いします。
面接の内容に耳をそばだてる、なんていうことはやめてあげてくださいね。
どんなことに気を付ければよいのか、以下、就活生の実際の声を参考に見てみましょう。
▼就活生の声/オンライン選考の時に嫌だったこと
・オンライン面接で親が家にいると話しづらい。
・面接中に扉を開けられた。
・Webテスト中に自室をノックされ集中力が切れてしまった。
・生活音が気になった。聞かれていると思って緊張してしまう。
・毎回隣の部屋で聞いてフィードバックされる。
(栗田さん)
みなさんが気になるのは重々承知ですが、お子さんが気持ちよく就活に取り組める環境を整え、見守ってあげてほしいと思います。
どのような協力ができるのかはご家庭の状況によっても異なると思います。
事前にお子さんと話をしていただいて、ご家庭の状況やお子さんの考えに合った形で寄り添ってくださいね。
最後に、就職活動における親との関わりで良かったこと、悪かったことを尋ねた就活生の生の声をピックアップしました。
▼就職活動における保護者との関わりでよかったこと
・自分が就活したときと全く違うことを自覚しながら自分の話を聞いてくれた
・批判、否定をせずに応援してくれた。
・特に口を挟んでくる事なく、見守ってくれたことが就活中の精神の安定になった。
▼就職活動における保護者との関わりで嫌だったこと
・就職に関する考えの世代間での違いによる発言が嫌だった。特に転職に関しての意見の違いに納得できなかった。
やはり、一方的に価値観を押しつけることのないよう、気をつけた方がよさそうです。
(栗田さん)
寄り添ってあげながらお子さん自身の考えをより深められるように、ということを心がけていただくことが大切です。
ぜひ、コミュニケーションを密に取りながらサポートしていただきたいと思います。
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