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地元で働くって実際どう? 地方の建設会社になぜ若手?【後編】

2022年05月30日

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従業員180人のうち半数が20代以下。しかも、地方で。ちょっと驚きの中小企業として注目される、岩手県の建設会社「小田島組」。とはいえ、実際に若手目線で見ると働きやすい職場なのか?新卒2年目(取材時)の若手社員に聞きました。

地方の建設会社に若手が続々・・・実際どう?

学生

お二人は今、どんな仕事をされているんですか。

主に現場管理をしています。

小田島組
柿澤さん

工事現場の書類作成とか、県庁の人と打ち合わせしたりとかしているんですよ。

建設会社ですが「データドリブン部」っていう部署に所属しています。

小田島組
高橋さん

社内で情報収集やデータ加工をして、見える化や業務のIT化をしています。

小田島組の柿澤早紀さん(左)、高橋凌さん(右)。2020年入社の同期。

小田島組
岩手県北上市にある建設会社。1970年創業で社長の小田島直樹さんは2代目。従業員185人のうち、10代と20代の社員が94人と半数を占める(2022年4月)。公共事業や復興工事で業績を伸ばし、働き方改革でも注目を集める。

入社のきっかけは何だったんですか。

大学で土木の勉強をしていたので、元々土木系の仕事に就きたいなと思っていました。

それで会社説明会に行ったら、社長がその場でしゃべってました。

社長がわざわざ来てるってことは面白い会社なのかなって思って。

学生
田嶋

どんな説明会だったんですか。

仕事の話だけじゃなくて、社員とのコミュニケーションに力を入れてるとか話していて、面白そうだなと思いましたね。

地方の企業ですが、なんでこんなに若い人が入社するんでしょうか。

「小田島組」最近の新卒採用人数
2018年 15人
2019年 12人
2020年 20人
2021年 19人
2022年 22人

主観なんですけど、「この仕事がしたい」って決めている学生は必ずしも多くないイメージがあります。

小田島組では会社説明会とかで「こう頑張っていこう」という指針を示しているので、そのあたりにひかれるのかな。

あと、学生に向けてYouTubeで広告も流してて、若者のニーズに合っていると思います。

社長の小田島直樹さんは、YouTubeやTikTokで動画を発信。若い世代向けに会社の紹介にとどまらず、仕事への思いを伝えている。

動画では社長がすごくエネルギッシュな様子ですが・・・そういうところってどう感じますか?率直に。

はい、元気なのはいいことだなと思います(笑)

昔の写真を見ると今よりも老けて見えるので、今がすごい楽しいんだなっていうのが伝わります。

直樹さん(社長)が楽しいと、社員も明るくいられるのかなって思います。

ついていけてますか?

多分・・・いけてます(笑)

若手が多い職場の雰囲気は?

職場はどんな雰囲気ですか?

働いているところに社長が来てベラベラ喋って、出ていく(笑)

今日は目の前に直樹さん(社長)が座って仕事してましたね。

いきなり話しかけられて、10分くらい仕事がストップしました。

若手社員の隣に社長が座ることも

社長と距離が近いんですね。

そのメリットってどんなことですか。

「こうしたほうがいいんじゃないか」って意見を言うと取り上げてくれることもありますし、チャットで話すこともあります。

ふつうの会社だとありえないかなって思います。

IT系の資格を取ったら報奨金ほしいなと思って相談したら、社内のルールになりました。

それはいいですね!

通勤時間を勤務時間にするという取り組みもされているそうですが、実際に使っていますか?

通勤時間も勤務時間に
電車やバス、相乗りの車での通勤を勤務とする。その間にタブレットやスマートフォンでメールの返信、書類の整理ができるように。

私の場合は会社から45キロぐらい離れた場所に住んでまして、通勤に往復1時間かかっているんです。

本社オフィス

その制度を使うと会社の「出勤時間」に家を出て電車に乗って会社に行ったり、「定時」で自宅に着くようにしたりと調整して働けるので、時間の余裕はありますね。

そうなんですか。

社長は「若い人の価値観に会社が合わせる」というようなことを言っていましたが、どう感じますか。

社長がIT化を推進する方針を出しているので、年齢が高い人にもこれまでのやり方を変えるようお願いがしやすくなっています。

話が通じやすくなっていると。

「やらなきゃ」って社員が思ってくれるから、協力体制ができるっていう感じですかね。

柿澤さんはいかがでしょうか。

現場でもIT使って仕事しろとか、タブレット端末で図面を見たらどうだとか提案してくれるのでやりやすいです。

けど、年上の方が多いので、ちょっと慣れない部分は私が教えながらやったりしますよ。

“地元”で働くってどう?

お二人とも出身は岩手なんですか。

私は岩手出身です。

私の出身は青森で、大学で岩手に来ました。

企業がいろいろある中で、都会の企業とか大企業という選択肢もあったかと思うんですけど。

元々、大企業はあんまり入りたいと思ってなくて。

あくまでイメージですけど、大企業だと社員がいっぱいいてプロジェクト単位で専門的な仕事ばかりやると思うんです。

私はいろんなことをやりたいと思ったんで、最初から中小企業を目指していました。

会社ではデータで仕事の効率化をはかる部署で働く

そうなんですね。

わりと自然が好きなので、都会には行きたいときに行ければいいかなって感じです。

柿澤さんは?

私の大学の友達も大手の会社で就活してたんですけど、大変そうだなと思いました。

私は青森の実家に近いほうがいいかなと、遠くても仙台までかなって思ってました。

現場で働く柿澤さん

すぐ帰れたほうが親はうれしいでしょうし、実家のネコちゃんに会いたいので笑

地方と都会、どっちで就職したらいいかなと迷うのですが、地方で働く魅力を教えていただきたいです。

地方で働くメリットは、地元だと家族や友人とすぐ会える距離にいられることですね。

あと、岩手だと住んでる所から車で1時間ぐらいでスキーとかスノボに行けるんですけど、東京の人にそれはすごく羨ましがられましたね。

あえてデメリットといえば?

あえて言うとお金の面で、それは東京にはまだ負けてるのかなって感じます。

あと、交通は不便かもしれませんね。

岩手を端から端まで車で走ると4~5時間くらいかかるかもしれないんで、東京なら他の県も行けちゃうなと思います。

あー、なるほど。

例えば大学の同級生で東京で働いてる人がいるとして、その人に地元で中小企業で働くことをすすめるなら、どんなふうに伝えますか。

会社の流れが大企業よりも速くて、それが面白いんじゃないかなって伝えようかと思います。

大企業で1億円売り上げが上がってもそんなに変化としては感じないけど、中小企業で1億円売り上げると「すごい」って感覚になると思うんです。

そういった変化、会社の流れが見られるのが面白いと思います。

たしかに、そうですね。

大企業だと会社のトップの意見がそんなに下まで回ってこないかと思います。

けど中小企業だと、もしかしたら小田島組だけかもしれないですけど、社長との距離がいい意味で近すぎるので。

新入社員と社長で記念撮影(2021年)

社長の考え方が下の社員まで届くので「ああ、こう思ってるんだ」と共感できて、上手く波に乗れる仕組みがあるので、そこはいいのかなって思ってます。

すごく納得しました。

建設業の魅力って?

建設業のお仕事の魅力もぜひ教えてください。

建設業の現場は道路とか橋やトンネルを直す工事、1から作る工事ですね。

毎日現場に行っているからこそ、変化が見られるんですよ。

最初は草ボーボーだったのがすごい変わったなって、達成感を感じます。

変化を肌で感じられるんですね。

1から自分が携わった道路なんだなって思えるんです。

工事前に近くの住民の方に「工事するのでよろしくお願いします」ってご説明しに行くんですけど、「やっと始まるんだね」とか「頑張ってね」と言われたりして。

終わったあとの報告でも「良かったね」って言われることが多いのでうれしいです。

やっぱり現場は楽しいですか。

いろんな人と関われて楽しいです。

現場では見た目は怖そうだなと思っても、実際に話してみたらめちゃめちゃ優しい人も多いんですよ。

昇進を目指してます

今、将来の夢だったり目標ってありますか?

プライベートな夢になってしまうんですけど、少し大きめの土地を手に入れて土いじりとかDIYをして過ごせたらなって最近思います。

ちょっと、おじさんくさいかもしれませんけど(笑)

仕事ではどんな目標がありますか。

昇進を目指して頑張っているので、会社のいろいろなところに関わっていけたらなと思っています。

頑張って昇進してお金を手に入れて、土地を買う。

そうなんですね。

私は工事に必要な「1級土木施工管理技士」の資格を一発合格できたらいいなって思っています。

あとは小田島組ではまだ誰も取っていない「技術士」っていう資格があるんですけど、それも取れたらいいなっていう目標はあります。

すごいです。

就活生へのメッセージをいただきたいです。

就活していてうまくいってる人もいれば、うまくいかない人もいると思うんです。

けど、「もうこれでいいや」みたいな妥協はしないで、自分のやりたいって思う仕事に就いた方が長続きすると思うので、信念を曲げずに頑張ってほしいです。

入ってからがスタートだと思うので「どこに入るか」じゃなくて、「何をしたいか」を考えて就活していってほしいです。

ありがとうございました!

編集:加藤陽平 撮影:芹川美侑

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