2021年07月12日
業界・企業研究をいざやってみようとして、ふと気が付く…。私一体、どんな仕事がしたいんだっけ??
初めから志望業界や企業が決まっている人なんてほとんどいません。これから、焦らず少しずつ進めていくためのヒントを、マイナビの高橋誠人編集長とOfferBoxの中野智哉代表に聞きました。
(聞き手:田嶋瑞貴 本間遥)
学生
本間
就職って思い浮かべても、自分が何に向いているかがわからないし、特にこんな仕事がしたいという希望もない人は、まず何から始めるべきなんでしょうか?
毎年よく聞く質問ですね。アドバイスとしてお伝えすると、知らない情報に関しては判断できないっていう一般論があるんですよ。
髙橋さん
あー。
「海外旅行へ行っていいですよ」って言われたとき、すぐに出てくる候補の国ってそれほど多くないじゃないですか。
学生
田嶋
確かに、あんまりわからないです。
国連加盟国で193か国ありますけど、現時点で皆さんが挙げられるのは 十数カ国ぐらいではないですか?同様に、皆さんがすぐに思い浮かぶ企業名も20社位じゃないでしょうか。
そうかもしれません。
とすると、まず情報収集する必要があると思います。
どんな業界があるのかはネットで検索すればすぐ出てきますし、書店のビジネス本や就活本のコーナーに行って関連本を見てみると、何かピンとくる業界があるかもしれません。
3年生のこの時期というのはその程度でよくて、業界が決まっていないことに、そこまで深刻になる必要はありません。それが普通です。
主体的に情報を収集しつつ、自分が小さいころからどんなことに興味があったかご両親や友達に聞いてみる。
そうすると「やっぱり自分は小さいころから自動車業界に興味があったな」とか「スポーツ用品業界かな」とかいうのがだんだん見えてきます。
旅行の例でいうと、世界の国について1週間調べれば、行ってみたい国の優先順位がつけられるようになると思うんです。
それと同じで、知らないから判断できないというのが、私がお伝えできる回答ですね。
情報収集をするにあたって、自分が何に向いているのかというのは、肌感覚でこう……直感的につかむ感じで大丈夫ですか?
マイナビのサイトの中に、無料の適性検査があるので、それで客観的に判断してもらうっていうのも1つの手です。
ただ、作っている側の人間から言うのもなんですが、それだけを鵜呑みにするのはやり方として危険です。
適性検査など客観的な情報も参考にしつつ、自己分析をして自分の興味と価値観と能力を明確にして、自問自答していくのかなと思います。
同時に、じゃあ世の中にはどういう仕事や企業があるのか、新聞やニュースサイト、ビジネス誌などで調べていくと(自分と仕事を)マッチングできるようになっていきます。
マッチング…。
「やっぱり自分は、この業界の中のこの仕事に興味があるな」ということがわかるためには、自分自身のことも、仕事についても知らないといけないので。
ただ、夏休み前のこの時点で全然わからないというのは、何も問題ないです。これから明確にしていくというプロセス自体が就職活動であり、キャリアデザインということだと思いますね。
ありがとうございます。では中野さんにもおうかがいしてよろしいでしょうか。
僕は10年間、転職とかアルバイトの求人メディアに営業として携わっていて、その後会社を設立して、就活メディアを作っているので、約20年この業界でこの仕事をやっているんですね。
中野さん
でも、求人メディアとか人材業界に行きたいと思ったことはないんですよ。
そうなんですか?
他の仕事に就けなかったので…藁にもすがる思いで、就職したといういきさつがありまして。
詳しくは就活のギモン番外編「みんな昔は失敗した」をご覧ください。
そうなんですね。
何が言いたいかというと、ある仕事を「好きで始めた人」と「やってみて、やりながら好きになる人」でいうと、多分後者の方が多いと思うんです。
仕事って、やってみないとわからないんで、「自分が好きなこと」とか「自分に合っているもの」という基準で探すのは、自分が中心にいて周りがぐるぐる回っているような世界なんです。
自分が変わっていくっていう前提で見ると、今の時点での(仕事の)軸と未来の軸は多分違うのかもしれないんですよね。
え!
軸が増えることが普通だし、仕事をいざやってみると、うまくいく、うまくいかないっていうのはほぼ全員体験するんですよ。
人の成長って、今より変わることでしょ?つまり、軸が変化するということなんですよ。
へえ…変わっていいんですね。
だからあんまり、この会社が自分に合っているとか、合っていないとかって、決めつけない方が僕はいいんじゃないかなと思います。
もう一つは、自分自身がこの仕事に合っているかどうかというのは自分ではわかりにくいですよね。
はい。
実は、働いた後の自分から見たら分かりやすいと思うんですよ。
働いた後の自分……?
人事側が採用するしないを決めるのは、そういう目線なんです。この子はうちの会社のこの仕事に合っていそうだな、ということで選んでいるんです。
受験じゃないので、「能力があって」という基準だけではないんですよ。受験だと、学力が高いか低いかで決まるんですけど、そうじゃなくて相性を見ているんですね。
人事が判断する結果は、自分が判断するよりは精度が高いと思うので、選考に落ちる経験をするうちに、どんな仕事が自分に合っているのか、いないのかも少し見えてくるのかなと思います。
なるほど。
一番大事なのは、「働いてから好きになる」というのが圧倒的に多いということなんです。だから、自分の軸にこだわるというのは、自分がいま見えてる範囲だけで世界を決めちゃっているのと一緒なんです。
では、とりあえず挑戦するのが大事ということですか?軸を定めるよりも。
僕はそういうマインドですね。完璧に理想通りの仕事はないっていうのをまずは知ってもらいたいです。
完璧な仕事はない…。
入社前に完璧に自分に合っていても、入社して成長するにつれて合わなくなるっていう可能性もあります。人は変化するので。
会社に入って自分がそこの仲間に合うように変化していくことが、成長にもつながるということなので、別に軸が増えてもいいし、変わってもいいし、自分の軸じゃないところに行くことも別に悪いことじゃない。決めつける必要性はないと思います。
実は、いろんな業界を調べている中で、ここもあそこも魅力的だなぁっていうポイントがたくさんできてしまって、逆に志望業種が多くなってしまったんです。
軸として“人の暮らしを支える企業”にすごく惹かれて、そういうのがよいと思う軸と、古い価値観とか伝統を守りつつ、新しい価値観を提供できるような業種も魅力的だなあと感じていて……。
全く違う2つの軸なので、自分の行くべきところがブレてしまわないかなぁって漠然と不安に感じているんです。
えーっとねぇ…軸が増えるのはいいと思うんですよ。
業界研究などをしていると、興味や範囲がどんどん広がっていくじゃないですか。それで、まず古い伝統を守りつつ新しいことをやっていくって、これはほとんどすべての企業がやっています。
ああ、見えていなかっただけですね……。
暮らしを支えるというのも、暮らしが住宅という空間のことなのか、コンピューターだって暮らしにかかわるし、具体的に考えるとさらに興味が広がりますよね。
そうやっていろんな業種や企業を見ていくと、もっと詳細な点に興味があるということがわかってきます。
それが軸が変わるってことだし、人によっては軸が増えるという表現をするかもしれません。
例えば「人のためになる仕事をしたい」ってよく言いますけど、ほぼすべての企業がそうなんです。
価値を提供をして、人に喜んでいただいているからお金をもらっているわけです。
新卒採用をしている企業でそうじゃない企業ってゼロだと思うので、そこから興味を持って、より詳細に見ていき、最終的にこの企業だっていうのが決まっていく。
そういうステップの途中の状態だと思った方が良いかもしれませんね。
なるほど。よくわかりました。
これから就活の準備を始めようとする学生で、志望業界も何も決まっていなくて焦っている人もいると思います。
これをやってみては?というアドバイスをお願いします。
こちらご説明いただけますか?では、高橋さんから。
繰り返しになりますが、決めるためには判断材料が必要なので、「仕事の理解」「自己理解」をする。こう書きましたけど、その前に情報収集をするのが前提です。
自分ってどういう人間なのかな、何が好きなのかなとか、どういう人生を過ごしてきたのかなと考えつつ、仕事って何があるのかな、その仕事の中に自分でピンと来るものは何かな、というのを同時にやっていくのがおすすめです。
中野さん、お願いします。
自分が知らない世界を知ることが大切なので、「社会人と話した方がいい」んですね。未来が分からないから不安なんですよ。
だったら、先に経験した人と話をする。これが一番ですね。新卒の先輩よりは、5年くらいは社会人経験がある人がいいですね。
分かりました。ありがとうございました!
次回は、志望業界を考えていくときの具体的な情報収集方法などについてうかがっていきます。近日公開予定。
編集:吉岡真衣子
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