2021年04月21日
面接編、1回目のテーマはこちらです。
本命ではない企業にも“第1志望です”と言ったほうがいいのでしょうか?
就活生の切実なギモンに、就活サイトを運営する4社の専門家が出したアドバイスは、ウソをつくことのリスクでした。
(聞き手:石川将也(22年卒) 勝島杏奈(21年卒) 司会:石井隆広NHKアナウンサー)
石井アナ
就活生からの質問です。
本命の企業が別にあります。でも面接では「御社が第1希望です」と言った方がいいですか?、という質問ですね。
勝島さん、これ分かりますか。
21年卒
勝島
就活中、何回も「第1希望ですか?」と質問をされた記憶があります。
私はこの質問を受けた時は毎回どの企業に対しても堂々と「第1志望です」と言っていました。
大学の先輩から、就活を恋愛に置き換えた時のアドバイスをされたんです。
「あなたの事は2番目に好きだけど私とつきあって下さいと言われても、その告白を受けようとは思わないでしょ」って。
その考え方に自分が納得できたので、どの企業に対しても「第1志望です」と言ってました。
なるほど、恋愛に置き換えると確かに分かる気がしますね。石川さんは、どうでしょうか。
22年卒
石川
自分も基本、「第1志望です」と、どの企業に対しても言っていますね。
そう言わないと、「熱意がないと思われる」のが心配ですし、まだ、内定がないので、「1つでも内定をもらって自分を安心させたい」という気持ちの方が強いので、という感じですね。
なるほど、就活の専門家の皆さんは、どうお考えなのか、〇×でお答えいただきたいと思います。ではお答え下さい、どうぞ。
2021年3月17日に取材、収録。
【4社にお答えいただいた「就活のギモン」の内容は、動画版もあります!「就活ゼミ」→「就活ニュース」→「動画」からチェック。就活関連の動画は、NHK公式YouTubeなどでもごらんいただけます!】
ではまず、「〇」の高橋さん。「第1志望と言っていい」ということですね?
そうですね。よほど自分に(他の人に負けない)スキルがあれば、「御社が2番目です」と言ってもいいと思うんですけれど。
高橋さん
初めての就活で、内定をもらいたいという時に、(面接を受けている企業は本命ではないにしても)入社に対しての興味はあると考えると、そこは「2」じゃなくて「1」と言っても罪にはならないと思います。
最終面接の社長に対して、「2番目と言うのはなかなか勇気がいる」と思うので、「その時だけ第1志望だと信じて言う」でいいと思うんですよ。
状況によっては変わるんですけれども、やはり第2志望であっても内定が欲しいという就活生の心情を考えると、僕は第1志望って言ってもいいのかな、と思います。
ただ、もっと前の段階で「迷ってるんですよ」とか「本命が別にあるんですよ」というのを、企業の採用担当者やリクルーターなどに言っておいてもいいかなと思います。
なるほど。では、「△」の寺口さん。
まず、前提として、恋愛と就職は比較してもあまり意味がないと思います。
寺口さん
雇用契約は個人と法人のやりとりなので、ミスマッチが起きたときのリスクの大きさが明確に違います。
そうなんですね。
就活っていう“ゲーム”の勝利を内定に設定しているなら、その就活ゲームの勝率をあげるためには「○」だと思います。
企業の人事も採用数を充足させることで評価されることも実際に多いので、ボーダーラインでは、志望度を重視して優先的に内定を出す企業はあると思います。
ただ、意思決定のプロセスでウソをついたら、入社したあとの仕事でつらくなった時にふんばりが利かないです。
就活ゲームの勝利は、キャリア形成のハンデになり得ます。
もうひとつ言うと、「第1志望ですか?」と聞く企業は、多分、採用が強くないんじゃないかなって思います。
採用が成功してる企業では(そういう質問を)聞かないと思いますよ。
聞いたところで「第1志望です」って答えが返ってくるし、それは何割かの確率でウソなので質問として意味がないからです。
なるほど。
聞くとしたら「どういう企業と迷っているのですか?」とか、比較表を作ってあげてキャリアカウンセリングみたいな形でやっている企業の方が結果的に(採用が)うまくいっています。
(企業も)本音で対話している方が、学生にも信頼されますよね。
中野さんは「×」でしたね。
寺口さんと似ていますが、やっぱりウソは良くないですね。
中野さん
就活って「一緒に働く仲間を探す旅」みたいなことなので、大ウソからスタートした仲間って、世界観としてありえないかなと思います。
大前提として、企業側もウソをつかれやすそうな質問はしないほうがいいんですが、もし聞かれた時は素直に答える方が良いです。
実際、「志望状況はどうですか?」と聞かれて「御社しか行きません!」っていう状況は、なかなかないですよね。
企業側も学生が迷って決めきれない状況だとわかったら「こういうことをもっと学生に伝えたほうがいい」とか考えますので、結果的に会話が深まるんです。
ウソはその後の負債がすごく大きくなります。後ろめたくなりますし、やめた方がいいと思います。
増本さんも「×」ですね。
企業側に毎年、「学生のどんなところを評価していますか?」という質問を調査していますが、「人柄」「熱意」「今後の可能性」っていう3つはずっと変わらないんですよね。
増本さん
学生の志望動機は、この「熱意」にあたると思うんですけれども、どれだけ会社のことを調べてきた学生でも、「第1志望じゃないかもしれない」ってことは採用担当者も十分に理解しています。
就活では、いろんな会社を同時に見ますので、学生さんの志望度が変わることは当たり前に起きることも、(採用担当者は)理解しているんですね。
ですので、「第1志望です」ということより、「なぜ志望しているのか?何を悩み迷っているのか?について、きちんとお話しできる」って事が何より重要かと思って「×」にしております。
なるほど。
良いマッチングを考えた時に、やっぱりお互いが理解し合うってことがとても重要だと思うんですよね。
もし、迷っている・決められないのであれば、「事業部のこの社員の人に会ってもらった方がいいんじゃないか」とか。
「こういう情報がまだ足りてないんじゃないか」とか(企業側も次の手が打てるので)コミュニケーションの質が上がっていくと思っています。
事前にTwitter(NHK就活応援)で質問を募集したのですが、そこでもこの質問が多かったそうなんですよ。
みなさんのお話をまとめると、どうしても内定を得たいということであれば「第1志望です」というのはありかもしれない。
けれども、企業ともコミュニケーションをとってみることが大事だということですね。
それから、内定を得たとしても、「ウソをついたことによるリスク」も、もちろんありますよ、というのがまとめになりますね。
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