新たなガイドラインについて企業からは「副業を認めやすくなる」という意見が聞かれる一方で「自己申告で副業の時間をきちんと把握できるのか」という懸念も出ています。
東京・港区の電気設備工事会社「HEXEL Works」では社員のキャリアアップを図ろうと3年前に社員の副業を認める制度をつくりました。
副業を行うためには、副業先の場所や、見込まれる毎月の勤務日数や労働時間などを記した申請書を会社に事前に提出することが必要です。
現在、3人の社員が副業を行っていてこのうち経理部の濱田拓麿さん(32)は、ことし1月から美容院で1か月に2日ほど副業をしています。
濱田さんは本業では、パソコンを使って名刺や会社のロゴのデザインの作成を担当していて、この技術を生かして副業先の美容院でも広告のデザインを行ってます。
濱田さんは「副業を始めてみて、本業にはない経験もでき、本業の業務の習熟度もあがったと感じています。計画的に休みを取るようにしていますが、それぞれの職場の協力がないと働く時間や健康の管理は難しいと思います」と話しています。
この会社では社内で副業のルールを設けていて、1か月の時間外労働が40時間を超える場合には副業を認めていないほか負担の大きい深夜勤務の副業を行うことや副業の労働時間についてうその報告を行うことなどを禁じています。
また副業を行っている社員と定期的に面談を行い、健康状態などをチェックしています。
来月から新たなガイドラインが導入されることを受けてこの会社では社内の副業のルールを見直すことを検討しているということです。
労務管理を担当している人事部の稲富光平さんは「新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに多くの企業で在宅勤務などを導入していて今後、副業の可能性は広がっていくと思いますし、ガイドラインができたことで企業が副業を認めやすくなると思います。ただ、副業で働いた時間の把握は難しいので結果的に長時間労働になってしまう可能性もあります。社員が疲れていないかなど社内でのコミュニケーションも大切だと思います」と話しています。