三井住友海上は、ことし全国でおよそ300人を採用する予定で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、最終面接まですべてオンラインで行うことにしています。
東京 千代田区の本社で1日に始まった面接では、社員が専用のブースに1人ずつ入り、パソコンやタブレット端末を使って行いました。
2020年06月01日
来年春に卒業する大学生などを対象にした大手企業の採用面接が本格的に始まり、大手損害保険会社も、新型コロナウイルスの感染防止のため、すべてオンラインで対応しています。
三井住友海上は、ことし全国でおよそ300人を採用する予定で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、最終面接まですべてオンラインで行うことにしています。
東京 千代田区の本社で1日に始まった面接では、社員が専用のブースに1人ずつ入り、パソコンやタブレット端末を使って行いました。
担当の社員は、学生が緊張しないよう、15分から20分の面接のうち3分の1程度は、採用とは直接関係のない雑談の時間とし、学生の魅力や人となりをどう引き出すか試行錯誤していました。
一方、学生とのネットワーク接続が安定せずに予定の時間に面接を始めることができなかったり、途中で音声が途切れたりするなどのトラブルもあり、会社は急きょ、携帯電話で面接を続けるなどして対応していました。
三井住友海上人事部の保坂宇衣課長は「学生と直接会えない中、どうすればその人を見極めることができるのか、かなり悩みました。画面上では熱意や志望度が伝わりにくいこともあるので、こちらから一つ一つ丁寧に話を聞き出したいです」と話していました。
新型コロナウイルスで大きく変わった「就活」。就職活動の多くがオンラインとなったことに、とまどいを感じている学生もいます。
このうち、東京都内の大学に通う女子学生は、オンラインの採用面接は直接会って面接を受けるよりも心配事が増えると感じています。
相手に自分がどう映っているのかわからないため、印象が暗くならないよう、照明を顔に近づけたり、アルミホイルを下に置いて明かりを反射させたりして工夫しています。
しかし、通信トラブルは避けられず、ある企業のグループ面接で面接官の声が聞こえないトラブルに見舞われたということです。
女子学生は「私に質問があったようでしたが、相手の声が聞こえなくて、何度か自分の名前を呼ばれて気付いたのですが、『ぼうっとしている人だ』と思われていないか心配です。面接の機会を与えてもらえたのはありがたいですが、対面で話すのとは違って、熱意が伝わるのか、電波の状況が大丈夫か、心配事が増えてしまいます」と話していました。
また、女子学生は幼いころから空港のスタッフに憧れ、航空関連の企業を中心に応募していますが、航空会社で採用の中断や延期が相次いだことなどから、就職活動は思うように進んでいないといいます。
女子学生は「『延期しても選考自体は行います』という会社もありますが、そのあと何も連絡がなくて、自分の書類が選考を通過しているのかどうかもわかりません。連絡が来ないだけで、落とされているということもよくあるので、『自分はもう落選しているんじゃないか』と考え出すと、どうしたらいいかわからなくなります。応募先をできるだけ広げようとしていますが、あまり興味のない仕事や業界研究をしていない企業だと、書類を書く手が止まってしまいます」と話していました。
就活生の悩みや不安に何とか応えようという動きも出ています。
東京 世田谷区にある昭和女子大学は、新型コロナウイルスの影響で4月からキャンパスが出入り禁止となり、学生への就職支援を直接行うことができなくなったことから、先月下旬、無料で参加できるオンラインのシンポジウムを開きました。
企業の採用担当者に学生の不安や悩みに直接答えてもらおうというのがねらいで、パネリストとして家具などの販売大手、ニトリホールディングスや情報通信大手のNTTデータなど、さまざまな業種の企業が参加しました。
シンポジウムには、ほかの大学からも参加を希望する学生が相次ぎ、当初の予定の300人を大幅に上回る500人が参加したということです。
学生からはオンラインでの面接に関する質問が相次ぎました。
このうち「相手が自分のどこを見ているのか分からない」という質問に対し、採用担当者の1人は「評価している点は対面でもオンラインでも変わらない。ただ、熱意のようなものは伝わりにくいので、表情に気をつけたり、身ぶり手ぶりを交えたりして、いろんな人から意見を求めたほうがいい」と話していました。
また、「通信環境がよくなくて、面接官の声が聞こえなかった」という声に対し、人材サービス会社のアドバイザーは「トラブルが起きた時、どう対処したのかがそのまま評価につながる。焦らずに状況を丁寧に説明して、おわびをすればいい」と応えていました。
最後に、採用担当者の1人は「会社の中でもよく『できないからどうしよう』ではなくて、『できるためにはどうしたらいいんだろう』と考え直して議論している。今まさしく学生自身にそういうことが問われている。こういう時だからこそ、培ったものを存分に、面接や今後の人生に生かしてほしい」と訴え、学生たちを励ましました。
シンポジウムに参加した人材サービス会社の佐藤裕さんは「企業側も先行きが分からず、学生に必要な情報を十分発信できていない。それが学生の不安をさらにあおっている。企業が積極的に情報を発信していかないと、学生たちが露頭に迷うことになる」と話していました。
昭和女子大学キャリア支援センターの磯野彰彦センター長は「人に会うことができないなかで学生たちは不安を募らせています。戸惑いや不安を解消するため、大学や企業から動いていくしかない」と話していました。
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