2020年05月28日
就活が思ったように進まないと、ついつい陥りがちな負のスパイラル。新型コロナで激変してしまった状況に心が負けないためのよい習慣とは?どうしても辛くなってしまった時の相談先は?学生リポーターが、学生相談の専門家おふたりにオンラインで取材してきました。(取材日5月8日 聞き手:伊藤七海 佐々木快)
学生
伊藤
就活中って、他の子はみんなどうしているのか気になってしまって。就活系の掲示板を見ては自分と比べて、余計に落ち込んだりってことが結構あるんです。この状況であまりしないほうがいいことってありますか?
NHKのサイトで言うのは、はばかられるんですが、ニュースとかサイトとかの関連する情報ばかりを見ないって大事です(笑)
高石さん
過度に情報が入ってしまって振り回されちゃうのが難しいところですね。
高野さん
特に掲示板は玉石混交で、本当なのか嘘なのかもわからないですし、みんながこう言ってるからこれが普通だと考えやすくなってしまうと思うんですね。
分かってはいるんですけどね。
ネットの情報って自分で検索するので、求める情報をどんどん先鋭化してしまいます。なので、だんだん視野が狭くなってしまう点には気をつけたほうがいいです。
視野を広げるにはどうしたらいいですか?意識するしかないんでしょうか。
そうですね…やっぱりユーモアとか笑いとか、普段自分が思ってもみないようなことをしてくれる友達がいれば、その人とつながってみるとか。
学生
佐々木
笑い、ですか??
思考が固まってしまうので、それを意識していったん壊す、揺すぶって解体するってこともやらないといけないんだろうなと思います。
私も大学で学生さんたちに向かって“閉塞的な状況でストレスが溜まりますから気をつけてください”と案内する資料を作ったりするんですが、真面目に投げかけるだけではなく、例えば仲間のスタッフと一緒に関西弁を入れてみたりしてね。
へえー。
「やばいで!」みたいなノリでね(笑)大きなことじゃなくていいんです。お笑いの動画を見るのでも構わないし。
それなら楽しめそう。
こういう状況って、普段しないクリエイティブな何かをちょっと仕込めると思うんですよ。ただただ「耐えて待っていました!」ではやっぱりもったいない。
クリエイティブなことをやってみたことが、再開された時の就活にも役立つと思うんです。
就活に一点集中せずに、自分の意識をもっと就活以外のことにも向けて、おうち時間でいろいろやった方がいいってことですよね。
ぜひ、思い切っていろんなことをやってみて下さったらいいなと思います。若い方たちなので、きっと私には想像もできないようなことを思いつくんじゃないかと思っています。
僕、一人暮らしをしているんですけど、家族ともそんなに話す機会もないですし、友人と話す機会もかなり減ってしまって。どこか話せるところがあればいいなと思うんですけれど……。
ご所属の大学には学生相談室はありますか?
あるとは思うんですが、学生の間では広く認知はされていないかな。
そうですか…。
それは残念。
友人からも相談室に行ったという話はあまり聞いたことがないですね。
相談室って名前がついていると、何か特殊な人が行くところで一般の学生には関係ないっていう意識の方もいるかもしれませんね。
そうかもしれません。
学生相談室って、ほとんどの大学にあって、専門のカウンセラーや場合によったらお医者さんがいたりして安心してどんなことでも話せる場所になっているはずなんですね。
さらに病院ではないので、治療するためではなく、学生さんたちがよりよく自分を成長させるために使えるところなんです。
へえ。
就職活動の話は、就活中の友達には話しづらいってことありますよね。相手がうまくいってても、自分だけがうまくいっていても気を遣う。
そうなんです。
専門家が相手であれば、安心できますよね。自分のもやもやした思いを言葉にして「話す」っていうのは、「しゃべる」というのと同時に、もやもやの塊を「離す、放す」っていう作用もすごくあるんですね。
自分からとにかく離してしまって、で、相手に少し受け持ってもらう。それだけでちょこっと隙間ができて心にゆとりができるんです。
それで解決につながらなくても、じぶんでまた先に進めるエネルギーが取り戻せるというメリットはとてもあると思います。
就活で先の見通しがなかなか持てなくて苦しい状況になっている方への相談は、キャリアセンターの方でもZoomなどを使ってやっています。私のいる学生相談では、もう少し心理的な面が中心になりますね。
例えば?
今後景気が下向きになっていくんじゃないかと思うと、もう後が無いというような気持ちを持つ方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思いますし、WEB面接など新しい体験に対応するのは誰にでも大変です。
基本的に孤立しないようにということをアドバイスとしてはよくお伝えしています。
先ほど友達同士の関係だから話しづらいことがあるというお話が出ましたが、一方で友人だからこそできることもあると思っていて、例えば一人暮らしで孤独感に苛まれている友達に何かやってあげられることはありますか?
1日に1度、短いメッセージを送るだけでも全く違うんじゃないですかね。「あなたのことを気にしてますよ」っていうそれだけで、随分人間って救われるものだと思います。
分かりました。
困っている人がいた時に、解決を目指して「ああしてみては、こうしてみては」というアドバイスを考える方も多いと思うんです。
それよりもどういうふうに困っているのか、気持ちを共有するだけでも安心できると思うんです。
耳を傾ける、ということですか?
はい。新型コロナに関することって、解決しましょうっていってもなかなか難しいことなので、お互いに話を聞きあうだけでも、それは友達にしかできない部分で、大事なことかなと思います。
例えば心が病んじゃってる時に、本当にだれにも言えないという場合もあるかなと思うんですけど、そういう人に声をかける時もアプローチの仕方は同じですか?
そうですね。やはり「答えを期待しない」ということですよね。返答を要求しないように配慮した方がいいかなと思います。
けれども「かえって負担にならないかな」と先回りして控えてしまうことはしなくていいと思うんです。もし、相手からすごくシリアスで心配な反応が返ってきたら、そういう時こそカウンセラーや医師など専門家につないで頂けたらと思います。
佐々木さんも2時間しか寝ないのが1週間も続くようだったら、お医者さんに行ってくださいね。
はい(笑)。
高石さん
新型コロナの影響はおそらく何年も続くと思います。ただ、ピンチはチャンスでもあり、みなさんの力で今までより生きやすい新しい価値観が生まれるんじゃないかと私は期待しています。短期戦で結論や結果を出そうと焦らずに、人生100年ありますから、ゆっくりと取り組んでいただけたら私たちは嬉しいなと思っています。
高野さん
今はストレスがかかる特殊な状況だと思います。けれど、この難しい状況をどんなふうに乗り越えていくのかが、若い人たちの人生の糧となる部分がたくさんあるんじゃないかと思います。今は不安かもしれませんが、なんとかやりくりしていきながら、ただでは起き上がらずに掴み取って次に進んでいってもらえたらと思っています。
新型コロナを乗り越えよう!就活生のメンタルケアは今回で最終回です。
就活生のメンタルケア(1)無力感をケアする
就活生のメンタルケア(2)心身への反応に対処する
就活生のメンタルケア(3)自分の不調に気がつくには?
もあわせてご覧ください。
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