2020年05月21日
就活でも頑張りすぎる人ほど自分の無理に気がつかないもの。もし一人暮らしでセルフケアしなければならないとしたら、一体どうすればいいの?自分の不調に気がつくポイントを、学生リポーターが学生相談の専門家のおふたりに、オンラインで取材してきました。(取材日5月8日)
(聞き手:伊藤七海 佐々木快)
学生
伊藤
自分が無理しすぎていることに気づけないこともあると思うんです。気付くためのポイントってありますか?
身近に気づいてくれる方がいらっしゃれば一番いいのですが、一人暮らしだったりするとなかなかチェックが入りませんよね。
高石さん
質問に答えてくださるのは日本学生相談学会の高石恭子理事長(甲南大学文学部教授/学生相談室専任カウンセラー。臨床心理士)【右上】。
高野明事務局長(東京大学相談支援研究開発センター准教授/学生相談所長・ピアサポートルーム室長。臨床心理士)【左上】
学生
佐々木
そうですね。誰も注意してくれないので。
例えば、ペットを邪険に追い払ってしまったり、自分の“いつもじゃない行動”に気がついた時、そこで立ち止まるってことだと思うんですよ。
なるほど。
私も、ある一線を越えると自分で気づかなくなるんですよね。麻痺してしまうんです。無理をしていることに。私の場合は、あとから笑える程度の怪我をするんですよ(苦笑)。
例えば、耳かきをしながら考え事をしていて、自分が耳かきをしていることを忘れてこう振り向いた時……
わー、怖い!
一度鼓膜が破れて、耳の中で風の音が鳴り響くことに……。何かやらかしてしまうんです。それで「これは生活全般見直そう!」と自分で諌めるということが時々あります。
痛そうですね…。
それから、体って正直で、気持ちはまだ頑張れると思っても、皮膚が荒れてきたり、口内炎ができてきたり、眠れなくなったり何かしらサインが出てくるんですね。
無理をすると自分のどういうところに症状が現れるかあらかじめ知っておくといいですね。これが出たら黄色信号だぞ、みたいな。
黄色信号ですか。
他にも胸がぎゅーっと縮むように痛くなったり、冷や汗が出たりとかね、眼瞼けいれんといってね、瞼の上がヒクヒクしだすとかね。
あー、ありますあります!
自律神経が乱れてくると、サインが出るんですよ。体は正直で、ごまかせないんです。
自分で自分を振り返って立ち止まる時間があった方がいいっていうことですね。
そうですね。
体に出てくるサインの例
佐々木君はそういう経験あるの?
少しずれるかもしれないけど、僕2011年に地元の宮城県で東日本大震災を経験した時に、片手サイズのカップラーメンですら食べられなくなってしまって。
そうだったんだ。
高石先生も阪神・淡路大震災の頃、神戸で学生の相談に当たられたご経験があるということでしたが、震災とか新型コロナみたいな予想外の出来事が起きた時に、心身に反応が出るのはなぜなんでしょう。
震災の時は、本当に一瞬のうちに多くの命が失われてしまったということで、今回の新型コロナのじわじわ進んでいくというのとはまた少し違う体験だったかなとは思います。
あの時は、「なぜ自分が生き残ってしまったんだろう」というふうな罪悪感に襲われた人がたくさんいて、そうするとご自身は怪我していないんだけれども、生きること自体が罪悪感でいっぱいになってしまうんです。
だから、食事もおいしいと思ってたべちゃいけないんだってなって、体を壊される方もいたように記憶しています。
当時はどんな相談があったんですか?
一番印象に残っていることは、一瞬で運命が変わってしまったということです。
就職も希望のところから内定が出ていたのに、被災で内定先の会社が倒壊して、親しい方も亡くなられて絶望的な気持ちになり、その後長く相談に来られた方もいらっしゃいました。
震災とは少し違うかもしれませんが、今回の新型コロナの影響で、ショックなことが起きて食欲がないという人もいると思うんですけど……。
そうですね。
食べられなくなった時って、どう行動すればいいですか?
食べられないというのにも色々な次元があると思います。その中でも、拒食という一番重い反応になったら、生きることを体が拒否しているということですから、周りの人が早く病院に連れて行く必要があると思います。
やっぱり危険なサインなんですね。
あと今もう一つ思い浮かんだのですが、過去の傷口が開いてしまうケースがあります。
どういうことですか?
佐々木さんのように東日本大震災でつらい体験をされたとか、あるいは家族の中で喪失体験があったとか、そういう過去を持っていらっしゃる方は、客観的に見たらそれほどじゃないことでも大きなダメージを受けることがあります。
阪神・淡路大震災の時に、戦争の大空襲を思い出した高齢者の方がたくさんおられました。
本当ですか……。
フラッシュバックするんです。その場面が。
そういうこともあるんですね…。
何か、自分で異変に気づくために日頃からできることってありますか?
心の状態は数字で表せないので把握が難しいですよね。だけど、今、便利なアプリがあります。毎日の思考とか感情とかを記録するものです。
高野さん
どんなものですか?
例えば「1週間前の木曜日の気分ってどうでした?」っていきなり聞かれてもわからないですよね?
はい。
今の気分をアイコンで選んでピッと押して記録するようなのもあるんです。こういうものを使ってみて、日々の変化を記録して確認するようにしておくといいです。
自分で客観的に判断できるように?
そうですね。気持ちを見える化することで、自分で自分のことが理解しやすいので。
確かにそうですね。
次回は、一人で抱え込まないようにするためにどうすればよいかを教えていただきます。近日公開予定。
▽新型コロナを乗り越えよう!就活生のメンタルケア(1)「無力感をケアする」はこちらからごらんください
▽新型コロナを乗り越えよう!就活生のメンタルケア(2)「心身への反応に対処する」はこちらからごらんください
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