2020年03月26日
新型コロナウイルスの感染拡大で、思わぬ変化が起きている2021卒就活。学生も企業も戸惑う中、オンラインを使った「WEB○○」が広がっています。今回は、急増する企業のWEB説明会の現場を訪ね、伝わること、伝わらないことは何なのか、見てきました。
(リポーター:田嶋あいか、伊藤七海)
「本番、10分前です!」。
学生リポーターが訪れたのは、就活クチコミサイトを運営する「ワンキャリア」がオフィス内に急ごしらえで作った簡易スタジオ。この日は、総合商社「双日」のオンラインでの会社説明会。人事部採用課、一丸太孝課長と入社1年目の西脇慶淑さんが生配信に臨みました。
本来なら採用広報解禁日の3月1日以降開催予定だった大規模な企業説明会。新型コロナウイルスの影響で、オンラインのWEB説明会に切り替える企業が急増している。
今回取材した就活口コミサイト「ワンキャリア」は、企画に賛同した企業22社の番組形式の企業説明会を3月中の平日18時から、毎日1社ずつYouTubeで生配信。
1時間の配信を終えた双日人事担当のお二人は、どう生配信の企業説明会に臨んだのか? 学生リポーターが企業側の目線を聞いてみました。
学生
伊藤
どうして生配信で企業説明会をやってみようとされたのですか?
新型コロナウイルスの影響で、大学の企業説明会も、自社イベントも全てキャンセルになってしまいました。
西脇さん
少しでも多くの学生さんに弊社の情報を提供できないかと思っていたところでワンキャリアさんに声をかけていただき、渡りに船だと思って。
実際やってみて、言いたかったことはどのくらい伝わりましたか?
これまでの企業説明会だと学生さんが目の前にいるから反応がわかるんですよ。
「この話あまり興味なさそうだな」と感じたら、話を飛ばすこともできるし、「興味あるんだな」と思ったらいろんなネタを挟んでしっかり話せたんですよね。
出演する双日人事担当者のスタジオ入りは本番1時間前の17時。
資料のやりとりはするものの、当日までは打ち合わせなしのほぼぶっつけ本番。
軽いミーティングの後、司会のワンキャリア・イベントプロデューサー多田薫平さんを交えたリハーサルが20-30分。10分前には本番までのカウントダウンがはじまる。
緊急企画のため背景のセットも手作り。
(WEB説明会では)、学生さんと直接やり取りができないという部分で難しかったなと。
そうね。いつもは自分で司会をやって、自分でしゃべっているんですよ。考えようによっては、今まで自分のしゃべりたいことばかりしゃべってたかもしれないな。
一丸さん
ただ、その場で答えられない質問があると苦しいですね。持って帰れないですからね。
学生
田嶋
WEB説明会だからこそ意識されたことはありますか?
人選ですかね?
いや人選ってことはないんじゃない、もうこれは別に適当に、特に…
学生
(笑)
リハーサルの1コマ。双日の西脇さんが「緊張する!めっちゃ“かむんです”けど」と言うと、すかさず司会の多田さんが「そのままいっちゃってください。自然体な方がいいんで」と返す。
企業の雰囲気をできるだけ就活生に伝えるためには「リハーサル段階の盛り上げが大事」「ディスカッションをしながら、笑いながら、このまま配信できるんじゃないかというくらい温めます。いかに楽しく学生にとって良い情報を届けていくかに注力しています」(多田さん)
ごめん、人選はあるんだ。同じような年次でやっちゃうとつまんないっていうのはやっぱり考えた。
なるほど。
今回は生配信で、多くの質問に答えるので、経験を問われる部分とか、幅広く双日の話ができる人が必要だなと。それで課長の一丸さんと、皆さんに一番近い新卒の私で、ということですかね。
生配信ゆえの難しさはありましたか?
質問に対する答えとして抽象的な話と、具体的な話を両方とも持っていくべきだなと思いました。
経験や実話でちゃんと伝えられるかというのが、リアリティーをもたらすコツだと思った。ウェブだからこそね。
では次回もしWEB説明会があったら……
いいことだけを伝えちゃうと企業パンフレットと同じになっちゃいますよ。そうじゃなくて、学生の皆さんが聞きたいのは「本当はどうなの?」ということでしょ。
配信時間のうち半分はパワーポイント資料を使った企業説明。その後、質疑応答の時間。YouTubeのコメント欄に投稿された質問を拾いつつ、司会者が畳みかけるように聞いていく方式。一問一答ではなく、1つの質問に対し掘り下げていく。
そうですね。学生としても知りたいです!
だよね。今回初めてで、そこがなかなか難しかった。次回への反省は、抽象的なきれいごとはできる限りやめて、リアルな感じを伝えたい。
確かにきれいなところばかり見えすぎると逆に怖いっていうか……。
わかる。
絶対そうなんだよ。だから逆にトークが上手すぎると気持ち悪いよね。
カミカミの方が(笑)
カミカミとおっしゃられていますが、すごくお上手に説明をされていたと思うのですが、WEB説明会に向けて何か準備されたことってありますか?
私、昨日、会社のパンフレットを全部読み返しました。
おお!
あっという間に1時間が過ぎ、「終了」のカンペが出て配信終了。現場のスタッフから自然と拍手が起きる。ちなみにAD役は普段は別の仕事をしている新入社員。「1時間って長いと思ってたけど、やり始めたらすぐだったね」(出演した一丸さん)
私たちが代弁者になるので、自分の会社の社長が何を伝えたいのかって。
こういう質問されたらこういうエピソードを話そう、みたいな打ち合わせは?
いやいや!2人ですり合わせは本当にしなかったね。一応、ワンキャリアさんが用意した9つの質問があったので、1番目は僕の専門分野だから僕が答えるとして、あとはもう自由にやろうぜって。
私は一応全部答えを用意して、振られたらいつでも言えるように!ってしてましたけど、緊張すると飛びますね。
飛ぶよね!ほんと飛ぶんだよ。しかも結構嫌な質問をしてくるんだよ(笑)
しびれましたね(笑)
CM中にモニターに映った質問を見ながら、西脇が「一丸さんほらこんなの来てますよ」って言ってきてね。
「ええ!そんなの来てるの?無理だよ。西脇答えろよ」とかやってたわけですよ。それをドンピシャで司会の多田さんが質問してくるわけ!(笑)
一同
(爆笑)
すごくアドリブ力が必要ですね!
やってよかったというポイントはどこですか?
学生さんと直接話す場合は、きれいな質問が多いじゃないですか。だけど、今日のようにズバっていう質問が来ると、やっぱりこういうことが聞きたいのかってわかりましたね。
あと、言葉に重みというか、責任感もわいてくるよね。
ずっと映像で残りますからね。
オフラインより、緊張感あって疲れましたか?
僕はそう思う。緊張感ある。
伝えられたパーセンテージはずばり、何%ですか?
70%くらいはいってるかな。制限がある中でも、言えなかったことはないのかなと。あえていえば、成長できる環境だ!という話がもう少しできたらよかったかもしれないけどね。
だけど、やっぱり学生さんは会う方がいいからさ。できたら何らかの形で会う場を作ってほしいよね。
リハーサルから司会の多田さんがかなり雰囲気を盛り上げていました。企業側が「質問される側」だったので、型どおりではなくて、人となりが良くわかる具体的なエピソードがより多く聞けたと思いました。
双日さんは「打ち合わせをもっとしたかった」とおっしゃっていましたが、打ち合わせが多くないからこそ聞けた話がたくさんあると思います。意外なことを知れる量が多かったです。
打ち合わせの時間の短さに驚きました!
「御社で活躍されている人の共通点を教えてください」という質問があった時、一丸さんが「あなたやってみたら」と若手の西脇さんに振っていて、上司と部下の関係性がいいんだろうなと感じました。
生配信だからこそ、企業が伝えたいことを伝えきるには普段以上に事前準備が必要で大変そうです。新型コロナウイルスの影響で大変なのは学生よりも企業側なのかもしれません。
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