関西の大学が強化する東京事務所の就活支援とは?

2019年11月26日

「売り手市場」を背景に、関西の大学から東京に本社のある企業へ就職する学生が増加している。大学は相次いで東京に事務所を設置。説明会や面接などのために上京する学生向けに様々なサービスを提供するなど、就活の満足度を高めるための試行錯誤を続けている。

CASE1:関西大学
活動拠点としての役割を担う東京センター

東京駅八重洲北口改札から徒歩約2分の場所にある関西大学の東京センター。眼下に東京駅を一望できるタワーに入居している。
完備されているのは事務所の他に…
▽打ち合わせブース
▽ロッカー
▽男女別の更衣室兼仮眠室
▽資料検索コーナー
▽お菓子や飲み物の飲食コーナーなど

 

東京駅が一望できる関西大学東京センター

 

関西大学東京センターの堀口和弘事務長によると、同センターを開設したのは2003年。

元々は卒業生向けの業務や同窓会機能、セミナー開催などがメインだったが、2015年ごろから就活のために上京する学生が増えたため、仮眠室やロッカーなどを設置。施設を就活に活用できるよう整備したという。

 

施設を案内する東京センターの堀口和弘事務長

 

関西大学には1学年7000人ほどの学生が在籍しているが、去年は年間延べ約4000人が利用。4月半ばからの就活ピーク時には一日約70人の学生が利用することもあったという。

多くが夜行バスで夜に関西を出発し、朝東京駅に到着すると東京センターに立ち寄って荷物を置き、着替えたり身だしなみを整えたりして、説明会や面接に出かける。

 

◆法学部4回生の話(夏のインターンと最終面接前の2回、東京センターを利用)
「着替えができるし、スーツケースも無料で預かってもらえるので便利です。wifiもあり、面接前に集中して調べ物ができました」。

 

CASE2:近畿大学 立命館大学
年々増える“東京就職”

東京にこうした事務所を開設する関西の大学は2000年代半ばから増え始めた。特にここ数年は、就活支援機能を強化させる東京事務所が目立つ。背景には売り手市場によるチャンスの増加があるという。

近畿大学は2014年に東京センター開設。2015年度は1577人、28.1%の首都圏就職率だったのが、去年は1883人、30.9%に上昇した。

 

◆近畿大学東京センター 池田泰三課長代理
「これまではグループ企業への就職にとどまっていた人気の大手企業でも、最近は本体に就職できるケースが増えています。学生もその風向きを肌で感じているようで、東京に出てくる人が増えています」。

 

就職関連の書籍も並ぶ近畿大学東京センター

ただ一方で、学生には“土地勘のない東京へ出向くのに心理的ハードルがある”のも事実。このため近畿大学では、学年を問わずに参加者を募る2泊3日の「キャリアアドベンチャープログラム」を計画。

書類選考を経て合格した学生20人を東京に招き、企業を見学したり、東京で働く卒業生と交流をしたりといったプログラムを実施した。東京での就職を身近に感じてもらった上で、学校に戻り、周囲の学生たちに東京での就活を口コミで広げてもらいたいという狙いだ。

 

◆近畿大学東京センター 池田泰三課長代理
「東京にはたくさんの先進的な企業がある。そんな中、地元しか見ないのはもったいない。視野を広く持つことは自分の可能性を広げることだと思います」。

 

上位校では、東京出身者が学生の中に元々一定数いることもあり、東京に本社を置く企業への就職率はさらに高まる。
立命館大学では、2016年度2194人(41.7%)、2017年度2319人(42.5%)、2018年度2431人(43.4%)と高い水準で推移、半数に迫る勢いだ。

 

◆立命館大学東京キャンパス 中嶋友樹課長補佐
「場所を選ばない就活が普通になってきた現在は、学生の就活への満足度を上げるため、専門のキャリアカウンセラーによる模擬面接なども東京キャンパスで受けられるようにしています」。

 

CASE3:龍谷大学
遠方でのインターンシップ参加に補助金制度も

一方、追い風ばかりではなく、新たに生まれた問題も。龍谷大学は都道府県別就職先で、今年初めて東京が、大阪や京都などを抑えて第1位(1179人)になった。それと同時に、インターンシップへの参加の問題が浮上。

 

「学生には最先端の働き方をしている東京の企業も知ってほしい」と話す河合茂樹課長

 

◆龍谷大学東京オフィス兼キャリアセンター 河合茂樹課長
「インターンシップは圧倒的に首都圏の本社で行われるものが多い。最近のインターンシップは採用に直結しているともいわれるのに、関西の学生は交通費や宿泊場所と費用の問題で参加しづらいという大きなハンディキャップがあります」。

 

龍谷大学では、今年6月から龍谷大学親和会(保護者会)の支援を受け、1人年間5万円を上限としてインターンシップなどにかかる交通費と宿泊費を補助する「キャリア形成補助金」をスタートした。

特に理系の技術職では、首都圏での2週間以上の長期インターンシップが多いため、参加のハードルがより高いという。

河合課長は「AIなど新しい技術の出現で、理系の仕事は時代の代わり目にあります。首都圏でのインターンシップに参加して、どんな分野がこれから発展していくのか、自分はそのどこで力を発揮したいのか見極めてほしい」と話している。

 

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