「#KuToo」を変えたい 厚労省に署名提出

2019年06月03日

セクハラ被害などの撲滅を訴える「#MeToo」に、「靴」と「苦痛」をかけあわせて生まれた「#KuToo」。「ハイヒールやパンプスを履くことを、職場などで強制される現状を変えたい」とインターネット上で1万9000通近く集まった署名を、活動を展開している女性たちが厚生労働省に提出した。

厚生労働省を訪れたのは、グラビア女優でライターの石川優実さん(32)ら8人で、雇用機会均等課に署名を提出した。

石川さんは、過去の経験から、職場や就職活動中に女性がハイヒールやパンプスを履くのを強制されることへの疑問や、その現状を変えたいという意見をSNSで発信してきた。

これに対し「足が痛いので嫌だというと『そういうものだから』とか『マナーだから』と黙らされる」、「痛くてつらい思いをしている友人を見るたびに社会のほうが間違っていると思った」などと、同じような意見が数多く寄せられた。ネット上に立ち上げたサイトには、賛同する署名が約1万8800通集まったという。

「男性にも理解広めたい」
署名提出後に開かれた記者会見では、活動に参加した人たちがそれぞれの体験や思いを語った。

現在、就職活動中だという大学4年の女子学生(22)は「ヒールの高さが3センチから5センチのパンプスを履くという風潮に疑問を感じています。ヒールのないフラットな靴を履くことが、就職活動や企業で不自然にならないようにしてほしいです」と呼びかけた。

今回の意見に賛同し署名提出にも同行した男性の靴職人の伊藤潤さん(34)は「婦人靴についての考えには、女性と男性の間に大きな差があり、男性が思っているほど婦人靴は快適ではない。実際に自分で作ったパンプスを、24時間履いて過ごしたところ、「靴ずれ」を起こしたり、足の爪が紫色になったりして痛みを感じた。企業の社長などは男性が多いと思うので、パンプスに対する理解を広めていきたい」と話した。

活動を始めたきっかけは

石川さんが、今回の活動を行うきっかけになったのは、去年4月に始めた葬儀場のアルバイトだった。

複数の葬儀場に派遣されたが、派遣会社の規定では「ヒールの高さが5センチから7センチ、ストラップ無しの黒いパンプスを履く」となっていたそうだ。参列者の案内や祭壇の準備などで、立ち仕事が続き、時間がないときは走り回ることも。

また、通夜や葬儀、告別式は1回3時間から4時間半ほどかかり、それが1日に2回入ることも多かったという。

アルバイトを続けた結果、両足の小指やその付近がひどく痛むようになり、右足の小指からは血が出たそうで、石川さんは、派遣会社の規定に合わせたパンプスを履きながら、立ち仕事が長時間続いた結果、足に負荷がかかり、痛みや出血につながったと考えている。

葬儀場の男性社員の革靴は、軽くて履きやすそうなのに驚き、「なぜ女性は、ヒールの高い靴を履かなければならないのか」と疑問に思ったという。

現状を変えたいという意見をSNSに投稿したところ、賛同する意見が多数寄せられ、そのうちに、セクハラ被害などの撲滅を訴える「#MeToo」に、「靴」と「苦痛」をかけあわせた「#KuToo」というハッシュタグが生まれ、さらに広がった。

署名は、特に就職活動中の大学生から多く寄せられ、来年春に卒業する大学生らを対象にした大手企業の採用面接が1日解禁されたのに合わせて、3日、提出した。

取材に対し石川さんは「すごく多くの女性が職場や就活でヒールやパンプスを履かされているという現状がある。この構造やマナーがおかしいのではないかということが、今回の署名で可視化されたと思うので、それを改善していけたらと思います」と話していた。