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起業家・渡辺創太さん「未来の日本を担う企業を目指す」 逆境で学んだチームワークの秘訣

2023年05月19日

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社員は22か国に50人以上。急成長するWeb3.0のスタートアップ企業「ステイクテクノロジーズ」のトップを務める渡辺創太さん(28)。今や大企業と次々に提携を発表する注目企業ですが、過去には会社がつぶれかけたことも…。そんな経験から学びを得たチームワークの秘訣とは?

Web3.0でGAFAの次を

学生
佐藤

起業してから現在に至るまでの道のりは順調だったんですか?

起業して4年ほどたちますが、全然です。ずっと大変ですよ(笑)

渡辺さん

そうなんですか!

今でこそ、Web3.0が盛り上がっていますが、創業した2019年当時は「無風」でした。

銀行口座の残金が200万になって会社がつぶれかけたこともありますし、ハードシングスばっかりですよ。

1995年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。在学中に休学し、シリコンバレーのブロックチェーン企業での勤務を経験。帰国後、2019年にステイクテクノロジーズを創業。2022年、Forbes誌のテクノロジー部門アジアの30歳以下の30人に選出。NTTドコモや博報堂など数々の大企業が提携するなど注目を集めている。

学生
田嶋

ええ!

いまはどんな目標をもって会社を経営しているんですか?

僕たちの作っているプロダクトの時価総額を僕が20代のうちに数兆円規模にすることを目指したいと考えています。

※2023年4月時点での渡辺さんたちが開発した「アスターネットワーク」で使われる暗号資産「アスター」の時価総額は約750億円。「アスターネットワーク」は日本発のパブリック・ブロックチェーンで、多様なブロックチェーンをつなぐ役割を担うことで、Web3.0の基幹インフラとなることを目指している。

数兆円!どうして、そんなに大きな目標を掲げているんですか?

※インタビューは23年3月に行いました。

海外を飛び回っていると、やっぱり日本経済ってすごく弱くなっていると明らかに感じるんですよね。

今の世界の企業の時価総額のランキングを見ると、トップ30に日本の企業って1社も入ってないんですよ。中国や韓国、台湾の企業はあるのに、です。

これが、平成元年(1989年)は日本企業が7割くらいを占めていたんです。

そうだったんですか!?

当時を知る年齢層の人たちの多くは、いまだにこの時代を引きずっていて、まだまだ日本は強いと思っているように感じることがあります。

一方、若い人たちは、海外に目を向けた経験がなく日本の置かれた状況に気づかない人も多くて。

なるほど…。

なんでこうなったのかと思ったときに、ハードウェアからソフトウェアへと潮目が切り替わったタイミングの波に乗り遅れてしまったからなんだと思うんです。

グーグル、メタ、アマゾンといったようなグローバルなIT企業をつくることができなかったことが この“失われた30年”の反省だと考えています。

それで、ここから先を見た時に、次に伸びる領域に入れなかったら、失われた30年が50年になってしまう

いま、新しいトレンドを仕込んでおかないと、このまま負けっぱなしになってしまうかもしれないのでそこを何とかしたいんです。

僕は次の30年で未来の日本を担う会社、次のトヨタとかソニーを作らなくちゃいけないと思いますね。

失われた30年間を過ごした若者の1人として、この国に希望が持てることをやっていきたいと思っています。

Web3.0に国境なし

その目標の実現に向けて、どんなメンバーと一緒に働いているんですか?

今、社員は全部で22か国に50人以上います。

22か国!?

アジアに10~15人、ヨーロッパに25人くらい、アメリカに10人かな。

いまの会社のメンバーらと 前から3列目、右から2人目が渡辺さん

Web3.0の世界は国境がないんです。

資金調達をアメリカで行って必要な人材を世界中から集めて、日本でサービスを展開する、という形で。

国籍が異なる人たちも多い中で、どういう人を集めているんですか?

一番重要なのは主体的かどうか。つまり「指示待ち人間じゃないかどうか」ということです。

僕が一緒に働いている役員レベルのメンバーは、僕がやって欲しいと思っていることを事前にやってるんですよね。

優秀ですね。

優秀というか、それができること=主体的だと思っています。

自分の業務だけはなく、会社レベルで何をすればいいのか分かっている人かどうかという部分は大切ですね。

トップダウンじゃなくてということですか?

そう。与えられた仕事をやるだけじゃなくて、全体を見てここが必要だよねという判断ができているかを見ます。

例えば会計士の場合でも、会計しかやらない会計士はいらないと初めから言います。

プロダクトに何が起きているか、会社で何が起きているかを分かって会計をやるか、やらないかでは雲泥の差がある。

だから、会計士にも、通常の業務には関係ないマーケティングのミーティングに出てもらっています。

全体を見る力は社会人として必要だと思いますが、日本だと「自分の領域外だからやらない方がいいんじゃないか」って消極的になる人が多い気がします。

そうですね、そこは会社のカルチャーの作り方だと思っています。

僕らの場合は、それをやってほしいとずっと言い続けてきたので、みんなやってくれていますね。

カルチャーの大切さ

そのカルチャーは創業時からのものですか?

そうですね。ただ、けっこうきつい経験もあって。

起業した翌年の2020年の末に、僕以外の役員もみんな辞めて、社員もほぼいなくなったことがあったんです。

残った社員は僕を含めて3人みたいな・・・。

3人!なにがあったんですか?

平たく言うと、考え方の違いですよね。

僕は当時、アスターネットワークというブロックチェーンを作っていたんです。

でも、予算も限られるなかで、ほかのメンバーからは、やっていることに可能性を感じられなくなったとか、他社からの受託もやった方がいいとか、といった意見があがって、どんどん辞めていきました。

1つのことをやり続けてちゃんと結果を出すって難しいんですよね。

業務は世界中のメンバーとオンラインで

そこから今の50人まで、どうやって増やしたんですか?

気合です(笑)

残酷に聞こえるかもしれませんが、カルチャーや意見が合わない人とは早く離れた方が物事が進むんだということを、この経験を通じて学びました。

妥協して、ギスギスした雰囲気の中で働くよりも「考え方が違うね、じゃあバイバイした方がいいね」ってやった方が事業の推進力が高まるし、結果的にお互いにとってハッピーだったりします。

事業の推進力=人の数じゃないというのが、このときの大きな気づきでした。

そこからはチームでカルチャーを共有できるか、ということを大事にしています。

カルチャーが生み出したもの

そうしたチームだからこそ、達成できたことはありますか?

今、作っているプロダクト自体がそうですね。

ブロックチェーン業界の1~2年は、その他の業界の「10年分」に相当するとも言われるんです。

だから、スピード感が大事なんですが、会社はもう僕の指示がなくても動きます。

だから、僕は、今、日本のマーケットに注力もできて、いろんな企業との提携も進んでいく、という状況です。

すごい。

会社のカルチャーってすべての行動指針になるので、会社に浸透していれば浸透してるだけ、余計なコミュニケーションをとる必要がなくなって、スピード感が出ます。

評価は結果で

優秀な人が集まってくれるのはよいことだと思いますが、そんな人たちを評価するってすごく難しそうです。

それは実は楽。数字しか見ない、以上。ですね。

えっ?

何時から何時まで働いているとか関係ない。どれだけ物事を進めたのかしか見ないからねって感じです。

もちろん、その人のバックグラウンドや宗教・性別なんかは一切関係ありません。

採用する際は、どうやって優秀かどうかを見極めているんですか?

1~2か月一緒に働けば分かりますね。働いてもらって、やっぱりごめんなさい、っていうこともあります。

ただ、こうした実力主義をとっている代わりに給料は高く設定しますよ。

それだけ優秀な人が集まると、経営者としては楽ですか?

いやいや、逆に大変ですよ。

実力主義をうたっているからには、経営者である僕が一番、結果を出し続けないといけないんです。

僕が実力主義を掲げているのに結果を出していなかったら、「あいつさぼってるじゃん」みたいになって会社が上手くまわらなくなってしまうんです。

なるほど…。

トップを知ろう!

最後にこれを読んでいる学生たちに向けたメッセージをお願いします。

そうですね、まずは自分がやりたい業界ややりたい仕事のトップを知ることですかね。

例えで言うとお寿司屋さんになりたいんだったら、まずは一番おいしいと思うお寿司を食べてみようって話ですかね。

何でですか?

それによって自分の成長曲線が変わると思うからです。

もう少しわかりやすい例でいうと、全国大会への出場を目指すチームと全国大会での優勝を狙っているチームとでは、練習の精度が異なってくる、という話です。

自分の目指している業界の本当のトップの雰囲気を知っていることはすごく大事。

トップを知って、そこを目指しながら日々、働いたり勉強したりするのと、「なんとなく」で働くのとではその先の成長が相当違ってくるものだと思うんです。

その背中を一押しする一言があれば。

そうですね。僕、チャップリンが好きなんですよ。

彼の言葉で好きなのが、「人生はショートタームで見ると悲劇だが、ロングタームではコメディだ」という言葉。

人生ってスポットで見ると結構つらいこと、あるじゃないですか。

僕も大学受験で2回落ちたし、会社の役員が全員いなくなった時もあったし。でも、長期的に見た時に、それがコメディになるかどうかが大事だと思っていて。

いま振り返ると、大学受験の失敗だって、メンバーが離れていった経験だって、自分のプラスになっているからよかったと思えるわけです。

その時はつらかったけど、あとから振り返ればよい経験だったと。

いま起こった出来事の意味合いを付けるのは未来なんです。

未来を築けるかどうかって、自分の努力次第なので、いまがうまくいっていないからと言って悲観することはまったくないんです。

そう考えると、いろいろなことがうまくいくかも知れませんよ。

ありがとうございました!

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