「令和」を担う社員へ 企業トップのメッセージ

2019年04月02日

新元号「令和」が発表された4月1日、多くの企業で入社式が開かれました。「平成最後」の入社組であり、新たな時代「令和」を背負っていくことになる新入社員に、企業トップはどんなことばを投げかけたのでしょうか。

入社式で新元号のアナウンス

羽田空港で入社式を行ったのは、ANAグループ。式の最中に新しい元号が「令和」に決まったとアナウンスされ、会場の大型スクリーンに新元号の文字が映し出されると、新入社員からは拍手や歓声がわき起こりました。

ANAホールディングスの片野坂真哉社長は、新元号について、「『国際秩序』と『世界平和』を願うような新しい時代にふさわしい元号だと思う」と述べました。

トップのあいさつ、平成時代の“試練”映す

経営破綻した北海道拓殖銀行の看板取り外し

改めて平成の30年を経済の観点から振り返ると、「バブル崩壊と長引くデフレ」、「不良債権処理と金融危機」、「リーマンショック」…。

厳しい試練に立ち向うことを迫られた時代であることが分かります。人口は減少に転じ、GDPは中国に抜かれて世界3位に。ITの進展で暮らしが便利になる一方、企業の競争力という意味では、アジアの新興企業やアメリカのGAFAなどに主役の座を奪われた時代だとも言えます。

経営トップが入社式で投げかけたことばには、厳しい現状認識も多くあらわれました。

トヨタ自動車 豊田章男社長

「皆さんは(自動車業界の)100年に1度の大変革の時代、トヨタが新しい時代に適合し生き抜くことができるのか、それとも終えんをむかえるのかという瀬戸際の時代に入社をされました。この現実を受け止めてもらうことから会社生活をスタートしたほうがよいと思い、お話しすることにいたしました」

「超低金利の継続、人口減少や高齢化の進展、デジタル化や先端ITの急速な展開等により、生命保険会社を取り巻く環境は大きく変化し、収益と事業構造にも大きな影響を与えている」(日本生命・清水博社長)

「伝統的投資銀行ビジネスモデルの崩壊、デジタライゼーションの進展、そして少子高齢化による人口動態の変化というわれわれのビジネスを根底から変えるような大きな構造変化、いわゆるメガトレンドに直面している」(野村ホールディングス・永井浩二グループCEO)

一方、急激な時代の変化をチャンスととらえる発言も聞かれました。

「今まさに『技術革新の大波』が来ている。『クルマの電動化、ロボット活用の広がり、家電や商業・産業用の省電力化、物流革命、5Gデータ通信』の5つの大波は、いずれも大きな成長を遂げられる可能性のある分野だ」(日本電産・吉本浩之社長)

「挑戦」「チャレンジ」

では、次の時代の成長を担っていく新入社員に何を語ったのか。目立ったのは、「挑戦」「チャレンジ」といったことばです。起業家精神を引き合いに出すトップもいました。

東芝 車谷暢昭会長

「失敗をおそれずに何事にも挑戦してほしい。皆さんはファーストペンギンをご存じでしょうか。アメリカのベンチャー業界で称賛の意味を込めて使われることばで、集団で行動する群れの中から、リスクを恐れずエサを求めて最初に海に飛び込むペンギンのことです。成功体験よりも失敗から学ぶことのほうがたくさんあります。安心してファーストペンギンのごとく大海原に飛び込んでください」

「失敗をおそれてはいけません。シリコンバレーでは『果敢な挑戦の結果、失敗するなら早くすればよい』『前に向かって失敗するのは成功には必須条件だ』ということを表現して、“fail fast”“fail forward”と言うそうです。まさに、“fail fast”“fail forward”の精神で自分の目指すところに限界を設けず、さまざまなことに本気で挑戦してもらいたい」(東京海上ホールディングス・永野毅社長)

○○年後を考えて

変化の激しい時代だからこそ、将来を思い描きながら仕事に取り組むべきだということばも聞かれました。

ソフトバンク 孫正義会長

「20年、30年前、あんなに小さかったソフトバンクグループが、日本で時価総額2位になりました。何が大事かというと、常に10年先、20年先、できれば30年先のことを考えて、手を打つということです。どんなに真冬で厳しい時も、思いがあれば、一生懸命頑張り、耐えることができます」

「大転換期、大きな峠越えの時代に入社する、これをまずはしっかりと自覚していただきたい。『新人としてまずは目の前の仕事に全力を尽くせ』などということは言いません。Day Oneから、5年後、10年後を考えて仕事をしていただきたい」(伊藤忠商事・鈴木善久社長)

「めまぐるしい環境変化にきちんと対応し、信頼される企業であり続けるためには、組織として最大限の力を発揮することが重要で、そのためには社員一人一人が絶えず成長を続けることが求められます。1年後、3年後、あるいは10年後に自分がどのような“人財”になっていたいか、そのために今何をしなければならないかを自分自身で考えて実行してください」(日立製作所・東原敏昭社長)

本質的なコミュニケーションを

コミュニケーションツールが発達した今だからこそ、「本質的なコミュニケーション」の必要性を伝えたトップも。

「メールやSNSを通じたコミュニケーションの便利さは否定しません。しかし問題が発生した時、難しい交渉を任された時、必要なコミュニケーションは何なのでしょうか。国を越え、世代を越え、産業を越える本質的なコミュニケーションを実践する力は、重要な局面で非常に大きな成果を生む一方、中途半端な覚悟ではなかなか身につきません。このような力をできるだけリアルな世界で試行錯誤を重ねることで、自分自身のスタイルを磨き上げていくのがよいと思います」(三井物産・安永竜夫社長)

どう受け止める?新入社員

「これから元号も変わるので、日本の未来を切り開いていきたい」「常に努力と挑戦を続けて、新しい歴史を作っていきたい」
入社式での新入社員のことばです。

トップからのエールをどう受け止め、「令和」の時代の自分や企業をどこへ導いていくのか。日本経済の将来も、そこに託されることになります。

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