伊達政宗初陣の地で旗揚げ

米、クラフトビール、タピオカ 新名物を生み出す仕掛け人に聞いた

2020年11月25日
(聞き手:伊藤七海 石川将也)

伊達政宗初陣の地、宮城県丸森町。過疎に苦しむこの町に、新たな名物が生まれています。ブランド米の「いざ初陣」に、地元の米を活かしたクラフトビールやタピオカドリンク・・・。その仕掛け人が齊籐良太さんです。台風19号、コロナと不運が続く中、齊籐さんが就活生に伝えたいこととは。

ミッションは東北を元気に

学生
伊藤

齊籐さんは今後、どういう風にキャリアを進めたいと考えているんですか。

僕のゴールというか目的はもう決まっているんです。この東北を舞台に元気のない地域を盛り上げるのが僕のライフミッションなので。

齊籐さん

しかも、これってプレイヤーがいないからさ。地方って本当に皆さんみたいな若いエネルギーがないわけですよ。

あー。

そこがすごく大変なんだよね。もう自分たちでやるしかないんだよ。プレイヤーがいないので、プレイヤーになりながら、しかも頭を使ってどうやって広げていくかっていうことを考えて。

丸森町産のお米を使ったクラフトビール

伊達政宗が初陣を飾ったとされる丸森町。齊籐さんは、地元のコシヒカリを厳選したブランド米「いざ初陣」を始め、クラフトビール、タピオカドリンクなど町の魅力を伝える商品を次々生み出してきました。

 

齊籐さんが台風19号、コロナとどう向き合ってきたかはこちらからご覧下さい。

すごく大変で、チャレンジングだけれども頑張っていくしかないかなって。命続く限りやりきるっていう感じかな。

学生
石川

命続く限りですか。

そうそう。地方創生は一生のテーマだからね。これ公務員の50歳くらいの課長に聞くと、「俺が入庁したときからずっといってるよ」っていう話ですよ。

言葉は変わるよ、地域活性化とかさ。でも、ずっと前から首都圏からの移住だっていってるわけですよ。東京の人口が圧倒的で、地方が減っているとずっといわれ続け、ずっと同じ課題に取り組んでいるのにできていない。

今はコロナでワーケーションも注目されていますが、1つのきっかけになりますかね。

若干はあると思いますよ。働く環境もリモートワークで完結する仕事もあるというのが見えてきているし、首都圏に住んでいる意味ないよねって思う人も増えているよね。

僕もこうやってオンラインを通じて皆さんのような若い人たちと話す機会もいっぱい増えてるわけだから、それに感化されて間違ってきちゃう人もいるわけじゃん。

取材はリモートで行いました。

間違ってですか(笑)。

間違ってというと言い過ぎか(笑)。でもまだまだ茨の道ですよね。

まだまだ収入の面でも、世界とつながっている率でも、東京の方が高いし。これから求められる産業、例えばDXとかAIとかの世界も東京の方がいっぱい集まっているしね。

もともとは飽き性だった

齊籐さんは学生の時はどういう就職活動をしていたんですか。

大根を干して作る丸森町の伝統料理「へそ大根」

僕、海外の大学に行っていたので、就活は1発勝負だったんですよ。ボストンででかいキャリアフォーラムがあって、3日間で1次面接から最終面接までやりきっちゃう会社があったりとか。

あとは冬休みとか夏休みに日本に帰ってきたときに、留学生を対象に窓を開けている企業を訪ねていくというやり方しかなかったんだよね。

アメリカに留学していた時の齊籐さん

当時はやっぱり海外に行ってたので、仕事するんだったら日本に何か貢献したいというすごい大きな目的があって

海外に行って、日本の電化製品とか家電とか日本のプロダクトってすごいと感じたんだよね。だから日本が誇れる職種を選ぼうと、自動車とメーカーに絞って。

その中でもコンピューターや学校教育に興味があって。それで富士通に入って、そういうセグメントに就職できたらいいなと漠然と思っていました。

そうなんですね。サラリーマン時代はどうでしたか。

僕ね、飽き性なんですよ。3、4年やってると、これ以上ここで自分が成長できるフィールドはないかなって思っちゃったというのがあって。

それで外資系に行ったら評価も絶対評価になってくるし、何か変わるかなと思ってマイクロソフトに移ったんだけど。

マイクロソフト時代 右端が齊籐さん

でもある分野ではすぐ飽きちゃうんだよ、僕の変な個人的な感覚だけど。

飽きちゃう?

こんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないけど、職人の世界ならまだしも、サラリーマンは3、4年でだいたいプロになれちゃうんだよね。8割方マスターできるんじゃないかなと思ってて。

ころころ仕事を変えてよそ様に迷惑掛けるのもよくないし、何より自分がいろんな知見をもって、そこで0から1を生み出したほうが絶対インパクトが出せるなと。

いちサラリーマンよりも自分で会社を作った方が、明らかにたくさんの人を巻き込むことができるし、そこには自信があったので起業することを決めました。

ターニングポイントを探ろう

キャリアを歩む上で、大切なのはどんなことだと思いますか。

やっぱり自分の軸をぶらさないことですね。

僕も震災直前まではちょっとブレ始めていたのかな。家族ができて安定した生活で、もう幸せだな。世界ナンバーワンの会社で、バリバリのキャリアで申し分ない感じじゃない。

はい。

でも震災があって、「利己」から「利他」の部分がぐーんと上がってきて。「俺ってもともと何をしたかったんだっけ」と振り返ったときに、地方のこと何にも考えてないって気づかされて。

なんで気づいたかっていうと、自分自身の軸に問いかけたんですよ。

「自分で日本をなんとかしたい、何か新しいイノベーションが生まれたら面白いって思っていたよね。日本が盛り上がって、自分がやりたい、生きがいを感じている社会を作りたかったよね」って。

津波で被災した酒蔵と連携した『酒蔵ツーリズム』
後列左端が齊籐さん

何をするにせよ自分の軸、自分が一生かけて取り組んでいける軸をしっかりと持つこと「自分の軸って何ですか」って聞かれたときに必ず答えられるようになるというのがポイントです。

齊籐さんはアメリカに行かれたことで、日本に貢献したいという軸が生まれたと思うんですけれど、自分の軸を見つけるのに、就活生はみんな悩んでるように思います。

自分のターニングポイントを探ってみるといいと思いますよ。自分のライフラインの真ん中の棒を引いてみると、0歳から20歳までの間に、上が100点、下が100点とか必ず波が出来るわけですよ、絶対に。

このときは「彼女に振られて最悪だった」とか、このときは「超勉強して、学びが最高潮だったわ」とか。自分で折れ線グラフみたいなものを書いて、一番低いときと高いときをみてみるんだよ。そして、深掘りしてみる。

そのとき自分が何を思ったのか、すごく考えた方がいいと思う。考えた裏側に自分の軸というのが隠れていると思う。

はい、ちょっと試してみます。

自分を見つめ直す

齊籐さんのマインドというか、原動力ってどういう所から来るんですか。

もう性格だからね。だってやるしかないじゃん。コロナで観光も飲食もダメです、もうお手上げです、会社清算してサラリーマンに戻りますって言うのは、はっきりいって簡単。

外資系のトップIT企業に就職しちゃうとかさ、今よりいい給料もらえるし、生活的にも全然楽だよね。でも、なんかこう意地みたいなものもあるのかな。

なるほど。

今の置かれている環境に屈しない。ここで屈して負けて自分の楽な方に進んでも、人生の軸みたいなものを失うのと一緒だからね。

自分はこうやってやってくって決めたんだから、それは最後まで貫く最後までやり通す。

失敗して自己破産してとかだったら、もう本当お手上げですってならざるをえないと思うけど、まだやればなんとかなるという域にいる。だったらやるしかないでしょうみたいな。

そこが一番自分にとって価値がある場所だって信じられるんだったらそれでいいので、まず自分の考え、軸っていうのをしっかり持つというのが大事なんじゃないかな。

丸森の食材を使った“復幸”応援ラーメンも開発

就活にも同じことがいえそうですね。

今の学生さんたちは、「なんで」って深掘りする能力が弱いのかなって思っています。なんでその会社に入りたいのかを自分ごと化して考えられている人って少ないんですよね。

なんでその会社に就職したいのかを、自分の人生のストーリーの通過点ということを意識した上で、人生の選択を取れるようになった方がいいんじゃないかなと思います。

それが自分の軸にもつながってくるし、自分の軸を探せている人は強いよね、どこにでもつなげていけるから。

たしかに。

就活のシーズンだから、来年社会人にならないといけないから、っていうだけで就活すると失敗するよ。だってそんなの外的要因じゃん。誰かが決めたことじゃん。大学卒業して就職しないといけないなんて。

自分のやりたいことって何か、「自分を見つめ直せ」っていうのが僕のメッセージ。

やっぱりそこが欠落してしまいますよね、就活していると。

タイミングとか外とかどうでもいいんだよ、本当に。結局は自分ですから。

仕事は「手段」

最後に齊籐さんにとって「仕事」とはなんですか?

「手段」です。

僕の軸というのはもう絶対に変わらない。「日本をなんとかしたい」とか少し「利他」みたいになっている領域ですよね。それを自分のライフワークとしてやりきりたいという思いがあって。

仕事、プライベート、家族という3つの自分が大切にしている軸があったとしたら、その3つのうちの手段の1つですよ。

ワーケーション中の齊籐さん

自分の軸、目的を達成するための1つの手段として仕事が存在していて、その手段を通して自己実現をしていく、そんな感じですかね。僕にとって仕事とは。

ありがとうございました。

編集:成田 大輔

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