教えて先輩!楽天 河野奈保常務

楽天 河野奈保常務 一緒に働きたい人は・・・

2019年06月06日 (聞き手:田嶋あいか 佐々木快)

今回の先輩は楽天の河野奈保常務(42)。36歳の若さで執行役員となり、4年後に女性初の常務に就任しました。役員就任の際「最初は正直、結構ですと思った」という河野さん。どんな思いで仕事をしているのでしょうか。

学生
田嶋

はじめまして。よろしくお願いします。現在はどんなお仕事をされているのですか?

楽天グループのチーフ・マーケティングオフィサー、訳すとCMOという役職です。

河野さん

楽天として“どういうブランド構築をするか”という戦略を考えたり、楽天の「お買いものパンダ」のキャラクターなどを使ってマーケティング活動を行ったりしています。

幅広い仕事内容ですね。

楽天は70を超える事業があるんですよ。今年新たに参入する携帯電話の第4のキャリアとしての動きをはじめ、「楽天市場」というショッピングサイトや、フリマアプリの「ラクマ」とか。

いろんな事業の人たちとコラボして楽天グループ全体のブランド力を上げるというような仕事をしています。

情報は反応とセットで テレビは倍速でチェック

幅広い仕事を手がける河野さんのスケジュール

学生
佐々木

情報は自ら選択して能動的に取りに行くと書いてありますが、これは常に意識されているんですか?

そうですね。時間は限られている一方で、事業に貢献したい、会社に貢献したいので、自分の中で無駄がないように取捨選択しています。

情報入手の狙いを教えてください。

朝、ニュースサイトのアプリのプッシュ通知から始まって、その中で自分の興味がある分野や、世の中に大きなトピックスがあれば、能動的にその記事を読みにいきますね。

もっと情報が必要だと思ったら、いろいろなメディアで検索をして関連する記事を読んでいきます。

ニュースサイトはあくまで入口ということですか?

そうですね。入り口ですね。面白いニュースがあった時に、記事を読んだユーザーさんがどういう反応したかは私たちマーケティング側にとっては重要なんですね。

例えばニュースを読んだ人が書いたコメントの投稿や、ツイッターのハッシュタグ、インスタグラムを検索すると、一般の方が反応する様子がわかりますよね。

はい。

記事の事実を確認するだけではなくて、それに対してユーザーさんがどう動いてるかというのがマーケティングでは重要なので、そういうコメントをよく見ています。

気になる番組を倍速で見ているというのに驚いたのですが・・・。

ものによりますし、私は極端なのかもしれないですけど、時間を少しでも有効活用しながら情報をキャッチアップしたいんです。

ニュースが2倍だとさすがにわからないと思いますが、何となく流し見している情報番組であれば、見ないよりは1.5倍速でも1.3倍速でもキャッチアップしたほうが自分の知識が増えるので、時間を有効活用しています。

36歳で役員に 奮起したのは女性社員からの言葉

36歳という若さで役員になられて、しかも女性最年少。当時はどのような心境でしたか?

楽天に入った時に、ずっと先のキャリアを描いて仕事を始めたわけではなかったんです。自分がその瞬間に一番興味を持つところを選んで、目の前の仕事をがむしゃらにやってきただけなんです。

正直、役員の内示の時は、自分が頑張ってきたことを認めてもらった喜びはありましたが、みんなが求めている役員像を考えると、自分は足りていると思わなかったんで、不安と、「いやいや結構です」という気持ちでした。

そうだったんですね。

でも内示を受けて、「やろう」と自分の中で奮起したのは、周りの反応がきっかけだったんです。役員が社内で公表されたときに、社内の別々な部署の3人の女性の方から「ありがとうございます」って言われたんですよね。

私はそれがすごく印象的で、その人でなく私の人事なのに「ありがとうございました」って。

どうしてそう言われたのですか?

キャリアの事例がひとつできたことで、自分たちの未来というか、選択肢が広がったことに「ありがとうございます」っていう言葉をもらったと思うんです。

その時に、これからは、みんなの未来を作っていくような仕事の仕方や考え方を持たなきゃいけないなと自覚をもちました。

誰もやっていなかったから大変だ!じゃなくて、だからこそ、自分がせっかくチャンスをもらったのだから、やりきってみようかなと思ったのが一番大きいです。

取材中、ずっと笑顔で答えてくださいました!

役員になって仕事に対する考え方は変わりましたか?

前は「自分の環境はこうだからできる、できない」って、思考がそこで止まっていました。

でも役員になって、環境のせいではなくて、もっといい環境をつくるために自分たちで変えていかなきゃいけないんだと、視点も上がったし、視野も広がったなと思います。

学生時代は背伸びしないほうがいい

学生のうちに、これだけはやっておいてほしいということはありますか?

あのね、背伸びしないほうがいいと思います。

背伸びしないほうがいいんですか?

例えば内定者の学生から、「就職する4月までに、あと何を身につけたらいいですか、英語ですか、なにかの本を読んだ方がいいですか」と言われるんですけどね。

社会に出る前に身につけなきゃ…って思う人多いと思います。

でもね、正直、大学の数年で、しかもそのスキマ時間で一生懸命勉強しても、社会に出て経験を積む何年かには全然敵わないんですよ。

無理に背伸びして何かをするより、学生だからこそ感じられるものがあるので、今の自分の年齢の、今の感性を大事にした方がいいと思います。

遊んだり、アルバイトしたりでいいんですか?

いいのいいの!アルバイトの経験があると、社員になってアルバイトの方を雇う側になった時に、自分がアルバイトの立場だった時に何が足りないと思ったか、どうだったらモチベーション高くアルバイトをしたかっていうのもわかる。

やっていた人じゃないとわからないから、変に背伸びせず、ちゃんと地に足つけて、その年齢だからこそできることをやった方がいいと思います。

大学生活に戻れるとしたら何をしたいですか?

私はひたすら旅行にいきます(笑)
就職してからだと見え方って変わるのね。

例えば、素敵な観光地やラグジュアリーなホテルに行った時に、単純に楽しむだけじゃなくて、仕事の観点で「これってどこグループだろう」「こういうサービスやってるんだ」とかね。

そうなんですか。

それはそれでいいんだけど、何も考えず、知らないからこそ楽しめるものもあるので、純粋に楽しんでもらえるといいなと思います。

学生だから見えてくるものってあるんですね。

学生だとお金は限界があるかもしれないけど、だからこそ現地の人が行くような店に行ったりとか、あるでしょう?

現地の人と仲良くなって安くてお得な場所を聞いていくとか、その時々のステージに合わせて見えるものって違うと思うので、そういうことを大事にしてほしいですね。

一緒に働きたい相手を“口説く”のが面接官の仕事

どういう基準で楽天を選んだんですか?

私は、これから成長していく、大きな夢を掲げている会社の一員になりたいと思ったので、ベンチャー企業を探していたんです。

いまだと、楽天は、大手みたいな感じに思うかもしれないけど、私の時代はまさにベンチャー会社だったので選んだ感じです。

自分の強みはどうアピールしたんですか?

うーん、学生の時の強みなんてほぼないじゃないですか(笑)

皆さんはいろいろ知識があると思うんだけど。私の場合はあんまりなかったので、純粋にいろんなものに前向きにトライしていきたいという思いだけを伝えたような気がしますね。

なるほど。

自分が面接官をしてみて感じたのは、やってきた経験がすごくて、「お、いいね」っていう人ももちろんいますけど、何で採るかというと、意志が強いのが伝わるかどうかだと思っています。

「自分が見えている世界は狭いかもしれないけど、こういうふうに思っていて、こういうことをしたいと思ってます」っていう意識を、会話をしていて目線・目力というか、すごく感じる時がある。そういう時に一緒に働きたいなと思うんですね。

そうなんですね。

採用ってもっと事業を拡大するために仲間が欲しくて採用活動をしているのね。

だからどっちが上の立場・下の立場もなくて、「採用する」とか「しない」ではなく、相性を見極めるために“口説く”って言葉が正しいかなと思っています。

口説く、ですか?

一緒に働く仲間を見つけて「あっ、この人と働きたい」と思ったら、一生懸命、30分とかの面接で口説いていくのが本来あるべき面接官の仕事と思っているので、面接をしていて「いいな」って思った時にはすごくテンション上がります。

働く場所って、その人に合うかどうかのマッチングだと思うので、周りの情報に惑わされることなく、自分のフィーリングでしっかりと自分の居場所を探してほしいなと思います。

働く女性に選択肢がいっぱいあることを示したい

私は、女性がキャリアを積んでいく中で取捨選択を迫られることがとても多いと思っています。

男性はキャリアを積み上げていけるものだと思うんですけど、女性って、例えば、結婚した時に相手の仕事によっては、仕事を辞めなきゃいけない、場所を変えなきゃいけないっていう選択肢があったり、子どもを産むという時は、ある程度自分の生活を変えなきゃいけない。

はい。

何かのステージで選択を迫られるのは女性にはつきものかなと思うので、一律に平等ではないなと思うし、自分が一緒に働いた仲間がそういうステージで仕事ではなく違うシーンを選んでいくのをいっぱい見ているので、難しいなと思います。

そうなんですね。

どれが幸せとは限らなくて、仕事するのも幸せだし、家庭に入るのも幸せだし、子どもや自分の趣味に生きるのも、それぞれみんな幸せの形は違うので、私がしたいのは選択肢がいっぱいあるということを示していくこと。

選択肢がないと思うのと、あるけどどれを選ぶのかというのは大きな差だと思うので、選択肢を増やすところに貢献したいなと思っています。

仕事は人生そのもの

最後に、河野さんにとって仕事とは何ですか?

「ライフ」です。

一番時間を使っているのは仕事であり、仕事とプライベートっていう線引きを全くしていないので、私は人生そのものだと思っています。

旅行に行った時ですら「ここのホテルのプロモーション、いいな」と思ったりっていうように、全く何も切り離すことなく、自分が生きるために仕事が生きがいでもあり、すべてにおいて仕事を中心にしているので。

そうなんですね。

仕事が楽しくなければ人生楽しくないと思うの。趣味が楽しいから仕事を頑張れるのではなくて、私は今やってる仕事がすごく楽しいですね。

この仕事を通して人とつながれるし、皆さんと繋がっているのも仕事がなければ繋がらないし、仕事が社会と通じている大きなものなので、人生そのものだなって思います。

仕事に対する考え方や仕事内容についてお話を聞くことができ、同じ女性の立場として勉強になることがたくさんありました。
努力して女性初の常務に就任された河野さんは本当にかっこよかったです。笑顔もとても素敵でした!

幼いころから地元宮城でずっと楽天イーグルスを応援してきたので、社内に入った瞬間からワクワクが止まりませんでした!昔の記憶と今の学びが繋がるすごく有意義な経験となりました。

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