教えて先輩! NHK 桑子真帆アナウンサー(3)

憧れたけど「志望しなかった」アナウンサーという職業

2022年09月09日
(聞き手:小野口愛梨 佐藤巴南 本間遥)

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テレビ局はNHKしか受けず「アナウンサー志望」でもなかったという桑子さん。どんなところがアナウンサーへの道をひらくきっかけになったのでしょう。桑子さんの就活、ESの中身、面接の様子まで詳しく教えてもらいました。

「アナウンサー志望」ではなかった就活

学生
小野口

桑子さんはなぜアナウンサーになろうと思ったんですか。

アナウンサーという職業が先にあったわけじゃないです。

桑子
アナウンサー

小学4年生くらいの時にテレビでクローズアップ現代を見ていて、キャスターを担当されていた国谷裕子さんのことをすごくすてきだなって思って。

自分もこういう女性になりたいっていう憧れの気持ちが「ポッ」って。

NHK 桑子真帆 アナウンサー

2010年、NHKに入局。長野放送局、広島放送局を経て東京アナウンス室に勤務。「ブラタモリ」や「ニュースウオッチ9」などさまざまな番組を担当し、2022年4月から「クローズアップ現代」のキャスター。

そこで、スタジオでゲストを招いてお話を聞いたり進行したりするっていう職業があると知ったんですね。

学生
佐藤

どんなところにひかれたんですか?

姿勢、目線ですね。

相手と1対1で向き合って、毎日テーマは違うんだけど、心の底からそのテーマと向き合って相手から話を引き出そうとする姿勢が、小学生ながら魅力的に感じたんです。

しっかり向き合えば相手の魅力が見えてきて、それを引き出すことができるって。

そうなんですね。

それで「アナウンサーになりたい!」と言っていたんですけど、だんだん中学高校に進む中でそんなに簡単になれる職業じゃないって知るんですよね。

自分には無理だなって思ってそのまま大学生になって、就活の時期になってどういう職業につきたいかなって思った時もアナウンサーという職業への志望は高まっていなかったんです。

えっじゃあマスコミは受けてないんですか?

実はマスコミはNHKしか受けなかったんですけど、何でかっていうとNHKでアルバイトをしていたんですね。

NHKで働いてる人たちって大変そうだけど、一つの番組が終わった時の達成感がものすごくあるお仕事なんだなって近くで感じていたんです。

学生
本間

なるほど!

そこでNHKだけアナウンサーで受けてみようって思えたんですよ。

だからアナウンススクールにずっと通っていたとかはなくて、ご縁があって今に至るっていう感じなんです。

導かれるように

アナウンサー志望ということではなかったということですが、いろんな職業を見ていたんですか?

それがそうではなくって、業界でいうとほぼ化粧品と百貨店しか受けてなかったですね。

えー!そうなんですか。

誰かのために何かしたいというのが大前提で。

「秘書検定」も受けていたので、志望した業界のほかに事務職も受けてみようと思っていました。

ほかの企業は受かったんですか?

いや、受かったところは結局なくて、最終面接まで受けたのが1社でそこも落ちました。

その会社の最終面接で、ほかに選考が進んでいるのはNHKだけだと答えたら、「どっちも内定をもらったらどちらに行きますか」って聞かれて。

聞かれますよね・・・

正直に「NHKかもしれないです」って言っちゃったんだよね笑

えー笑

そういう就活だと、焦りはなかったんですか?

ないっていったらうそになるけど、なんとかなるって思っちゃう性格かもしれないですね。

面接とかでピピッと「なんだか合うな」って思う瞬間ってなかった?

あったかもしれません。

だから本当にご縁だよね。

その時の面接官と話が合うっていうのも大きいでしょうし、導かれてるかもしれないですよね。

導かれるようにアナウンサーになったのかもしれないんですね。

何かほかの企業の面接とNHKの面接って自分にとっては決定的に違ったなって思っていて、ほかの企業の時は用意したものを出すのに必死だったんです。

でも、NHKを私が受けた時はアナウンサーが面接官で本当に上手に引き出してくれて、なんだか「おしゃべり」をしたような感覚でした。

おしゃべり?

いわゆる面接っぽく「じゃあ今から自己PRどうぞ」とかじゃなくて、「へ~そうなんだ」、「大学でこういうことやってたんだ」みたいな感じで。

こちらもいい意味でリラックスできて、質問に対してその場で考えて、何とか伝えようとしていたんです。

つたないかもしれないけど、そういう伝えようとする姿勢は届いたのかな

相手を輝かせたいから

とはいえ、アナウンサーって憧れだけではなれない仕事だと思ってしまいます。

就活ではどんなことを伝えたんですか。

今回、ESを持ってきました。

桑子アナウンサーの実際のエントリーシート

わー貴重!

ぼろぼろなんだけど笑

みんなもESを書いていると思うけど、「どういうことしたいですか?」みたいな質問があるじゃないですか。

例えばこのESだと、「やってみたい仕事を具体的に述べてください」と聞かれました。

はい。

「その人の魅力を引き出して、それをちゃんとことばで伝えたい」みたいなことを書いたんだけど、この「魅力を引き出す」っていうのが、就活をするうえで自分の中ではすごく大切なテーマだったの。

私は「相手を輝かせたい」とか、「相手に喜んでほしい」と思っていたので、面接でもお伝えしましたね。

就活の軸というやつですか?

そうだね、軸って言われるものですね。

大事にしたいテーマを持っていると、そこから話題が広がると思います。

だからNHKのESの場合は、そのテーマに「自分の言葉で」「表情で伝える」っていうアナウンサーの要素を加えて書いたっていう感じですね。

就活で伝えるコツは・・・ない

そういうふうに自分の思いを伝えるのにコツとか工夫はありますか?

うーん、一生懸命理解したいとか、聞きたいとか、伝えたいと思ったらそういうのって自然に出てくると思うんですよね。

何か作ろうとするのは違うような気がしていて。

なるほど・・・難しい。

何ていうんだろう、どう見られてるかとか意識した時点で、多分もう違うんですよね。

例えば何かを話している時、「おなかすいたな」とかほかのことを考えた瞬間があったとしたら、たぶん目線がずれたりことばの力が弱くなったりして、相手に伝わっちゃうと思うんですよ。

逆に全神経を集中してそこに捧げればなんの心配もないっていうか、心を集中させるだけかなと思うんです。

自然と行動とかに出るようになるということですかね。

そうそう、ちゃんと集中していれば、面接官は「あの子前のめりですごい姿勢が悪かったけど何か一生懸命伝えようとしてたな」って感想を持つと思います。

それがアナウンサーという職業だと、本当は姿勢が悪いのはよくないんだけど、それは後から直せるので。

それより伝えたいっていう気持ち

それは作るものじゃなくて、出てくるものだと思います。

本日はありがとうございました!

編集:加藤陽平 撮影・編集:加藤隼也

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