教えて先輩! 佐久間宣行プロデューサー(3)

自分が傷つかないための「就活術」

2022年08月05日
(聞き手:阿部翔太郎 本間遥)

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戦略的に働き、自己実現にもつなげてきた佐久間宣行プロデューサー。実は就活でも戦略的だった!?プロデューサーならではの自分を見いだす、そして自分が傷つかないための就活術、聞きました。

人から言われるものが「キャラクター」

学生
本間

就活では自分のキャラとか個性を見出して、アピールすることを求められることが多くて・・・

就職活動ってそれ求められるよね。

佐久間
プロデューサー

自分ではなかなか見つけられないのですが、佐久間さんは人の魅力を見つけるのがお上手だと思って、何かコツってあるんですか。

自分に関してだったら、苦労しないで褒められることがひとつのキャラクターかなと思います。

自分のやりたいことにガチガチになってるんじゃなくて、「○○だよねー」って人から何気なく言われることのほうが自分のキャラとしてはいいような気がするな。

佐久間宣行さん

テレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティー。新卒でテレビ東京に入社し、「ゴッドタン」「ピラメキーノ」など手がける。会社員時代の経験をもとに書いたビジネス書「ずるい仕事術」は10万部超発行。

確かに、何人かから言われる性格ってあったりしますね。

それが周りから見えてるキャラクターで、生かしようがある。

就活って結局、何を楽しそうに話せるかなんだよね、肩に力が入って話してると全部うそに聞こえるから。

えっ、うそに聞こえるんですか!?

聞こえる。特に就職活動だとそうだと思う。

そのままじゃ誰にも響かないから、本当のテンションで楽しく話せることって何だろうって探すといいです。

緊張せずに楽しく話せることが見つかると、それが自分のキャラクターや自分の強みになりますよ。

とはいえ、就職活動って落ちるときは落ちる。

だから、僕は落ちて当然だと思って就職活動やってましたよ。

学生
阿部

そこで落ち込んだりはしなかったんですか。

そりゃへこむ時はへこむけどね、最終とかで落ちたら。

でも分かってもらえないのは当然だろうなと思って面接を受けてたから、じゃあ表現をもっと気をつけようとか。

あとは好きなこと話して、とにかく面接官を笑わせようと思ってしゃべってた。

そういうところに自分らしさって出るのかもしれないですね。

そうかもしれない。僕はとにかく最近のおもしろかった話を楽しそうに話すっていうふうに決めてからのほうが面接に通ったんですよ。

やってみます!

提案する自分は誰か

就活の段階ごとに伺いたくて、エントリーシートを通すためにはどういうことを気を付けたらいいですか。

エントリーシートみたいに大量にあるものって難しいよね。

例えば企画書だったら基本的に自分のおもしろさとか、よさって伝わらないと思って書いてる。

伝わらないから、ちゃんとロジックで固めて書く

伝わらないという前提ですね。

やりたいことに関してはポジティブだけど、現状認識に関してはネガティブなんです。

だいたい伝わらないから、とりあえず1行で説明できるようにしようとか。

話してても最初の30秒と最後の30秒とかしか聞いてないからそこに気を遣うとか。

なるほど!

基本的に人は他人の話をきいていないし、おもしろいは伝わらないし、自分のこと以外興味ないと思って仕事してる。

就職活動の時からそうだったかもしれません。

ちなみに、企画が通らない時はどう修正していくんですか。

ESとかでもそうだと思いますけど、企画が通らない時はいくつか原因があって。

単純にひとつは人とかぶってるもの出したら、自分より力量があるやつが通るに決まってる。

だから自分の競っている現場で自分がどういうキャラクターかまず把握しないといけない

自分に求められているものを正しく把握するっていうことですか。

例えば大喜利でバカリズムが答えたらうける回答を小島よしおが出しても受けないじゃん。

自分がどう思われているのかちゃんと把握しておかないと、最初にアウトプットを出す時にぼんやりしてしまう。

はい。

自分のキャラを「フリ」にしてちゃんとおもしろいと思ってもらえるものを出す

もしくは、自分がどう思われているのかを変えていく。

あー。

だからテレビ局時代、お笑いの企画はずっと通らないかもしれないけどずっと出し続けた。

そうすると、お笑い番組なんてない会社で本当にお笑いをやりたいんだな、ネタ番組とかライブにも行ってるんだと知ってもらえて1回チャンスあげようと。

それは企画書の問題じゃない、キャラクターの問題。

お笑いをやりたがっているというキャラクターを作ったんですね。

自分でやりたいことが、本当に自分のキャラクターで真実味を持って語れているのか

「これ、はやってるからどうですか?」っていう方式の提案って、だいたい100人が書いてると思ったほうがいい。

だれでも思いつけちゃう。

思いつけちゃう。

だからそこに自分のオリジナリティーがあって、自分の譲れないものを掛け合わせて行かないと。

それができるかどうかが、通す企画になるかどうかの勝負にもなると思う。

就職活動は、就職活動

あの、面接でちょっと変わったことを聞かれることがあって。

例えば、「あなたを食べ物に例えると何ですか?」みたいな質問をされることもあって、佐久間さんだったらどう答えますか。

うーん・・・自分のどのキャラクターを売りたいかだけ決めとけばいいと思うよ。

そうすると、何を質問されてもそれにひっかけられるから。

例えば「癖になるところ」って答えを決めちゃえば、一番癖がありそうな食べ物をポンと言って、「癖があるけど好きになっちゃうところです」って言っちゃえばいい。

なるほど、答えることは決めちゃうんですね。

正直、いちいちそんな大喜利みたいなものに付き合ってる必要はないよって思っちゃう。

就職活動ってこんな容赦ないことないじゃないですか。

容赦ないですね・・・

容赦ないことをされるから、僕は全然甘ったるい気持ちはなく就職活動しました

ここはメーカーで面接官は営業マンだから、こういうこと言ったら喜ぶだろうなと思ってしゃべってました。

目の前の面接官のハートを射抜こうと思ったんです。

戦略的ですね。

そうですね、例えばエンタメ業界なら最近のヒット作のど真ん中で100人が話すようなことを話しても誰も聞かないだろうと。

だからそれは避けて、ヒット作のことを話すんだったら、他の人が話さないことをしゃべらないと興味持ってもらえないだろうし。

就職活動を「就職活動」と割り切っていたんです。

本当の自分を分かってもらおうとかじゃなくて、一歩引いて。

だって、就職活動のたった5分で自分のことを分かってもらえるわけないですよね。

あんまり夢のないことを言ったけど、その代わり傷つかなかったですよ。

編集:加藤陽平 撮影:徳山夏音

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