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1からわかる!景気【下】オリンピック後は?就活への影響は?

2020年02月13日 (聞き手:伊藤七海 勝島杏奈 西澤沙奈)

懸念されているオリンピック後の景気は? 本格化している就活への影響は? 1からわかる!景気【下】では、これからの日本の景気はどうなるのか、解説します。

景気と将来不安

学生
西澤

消費税が上がりましたが、アルバイトとか仕事の給料ってそんなに上がってない気も・・・。景気に影響しているんですか?

すごく関係するよね。

大西
デスク

経済部 大西英嘉デスク

給料が上がりにくくなっているのは間違いなくて、そういうことが長く続くと景気って腰折れしちゃう可能性もある。

初任給とかあまり増えてない。ちょっと調べてきました。

約40年前の大卒の初任給って10万円を切って9万円ぐらい。それが20年近くたって倍になった。

この間、日本はすごく成長が続いたから、景気循環の話で言えば、物がたくさん売れて給料が上がっていた。

学生
伊藤

確かに上がってますね。

でも2000年ごろから、ずっと20万円くらい。直近はちょっと上がってるけど、これは人手不足が大きいみたい。

相対的に言えば、なかなか上がっていかない。

最近の若い人はあまりお金を使わないとも言われるよね。例えば、周りで車を買う人なんていないでしょ。

学生
勝島

買わないです。

それよりも堅実な人のほうがいい。なんでそう思う?

本当にお金が潤沢にあるならいいけど・・・。

なくなった時がこわいよね。

なんでこわいと思う?

やっぱり、お金がなくなったら生活ができないですよね。

将来、50年後とかに年金が今のようにもらえると思いますか?

もらえないと思っています。

何となく、もらえないんじゃないかって。そういう不安を今の若い人は持ってるからお金を使わない。

要するに物が売れない原因のひとつって、そういう将来不安が大きいって言われている。

これからますますお年寄りが増えて働く世代が減れば、年金を負担する側がどんどん減る。

そうですよね。

政府は年金制度は「100年安心」と言っているけど、年金の支給額はものすごく増えて足りなくなっちゃうんじゃないかって思っちゃう。

だから漠然と不安があると思うんですよ。

その不安をどうやってなくしていくかって、景気を良くするためにもすごく大事な話。見直しは避けられない。

学生の皆さんにも直接関わってくることだから、政府がどういう政策をやろうとしてるのかはよく注意して、見ておいてほしい

景気が良い悪いとは、どう判断しているのか。過去の好景気や不景気の実態はどうだったのか。こちらもご覧ください。

1からわかる!景気【上】好景気、不景気、景気後退って何?

1からわかる!景気【中】バブル景気・リーマンショックって何?

 

オリンピックと景気

これからの景気の話題だと、2020年の東京オリンピック後の景気がどうなるか気になります。

前回の東京オリンピックのあとは、不景気になったっていう話も聞きました。

オリンピック景気

1964年の東京オリンピックに向けて1962年から高度経済成長期の最中の好景気。道路や競技施設などインフラの建設需要が景気を押し上げたが、オリンピック終了で需要が減少し、景気が悪化した。

今度のオリンピックが終わったからといって、例えばすぐに採用を絞る可能性は低いと思います。

けど、けっこう心配です。

1964年のオリンピックは、開催までにいろんな橋だの道路だのを整えないといけないとすごい工事をやって、終わったあとはその反動で落ち込んだ。

今回は東京都心では再開発が相次いでいるけど、前回ほどには工事をやってるわけじゃない。

オリンピックの効果自体があまりないってことですか?

一定の効果はあるはずだけど、そんなに感じていないんじゃないかな。

たしかに、実感してないです。

ちなみに、過去のほかの国のオリンピックの影響はどうだったか。

直近の7つの夏のオリンピック。1992年のバルセロナから、2016年のリオデジャネイロまで。

オリンピックの翌年にGDPがそれまでプラスだったんだけど、マイナスになったところはいくつあると思います?

GDP=国内総生産

国内で一定の期間に生産された、物やサービスの付加価値の合計。3か月ごとに発表され、景気の現状を見るためには、物価の変動を除いた「実質GDP」が参考にされる。日本の2019年7-9月の数値は年率でプラス0.2%で、小幅ながらプラス成長を維持した。

全然分からない。

えーっと、全部?

民間のシンクタンクの調べだと、バルセロナのあるスペインだけ。

ただし、オリンピックが終わったからというよりも、当時ヨーロッパの通貨危機があって、それでマイナス成長になったんだよ。

あと、マイナスではないけれども、その後GDPの伸びが落ちたところが7つのうち4つ。

それは何でですか?

例えば2008年に北京オリンピックがあった中国でいうと、翌年少し落ちてるんだけど、それはどちらかというとリーマンショックの影響。

 

2000年にシドニーオリンピックを開いたオーストラリアは、ITバブルが崩壊したタイミングだった。

実は、単純にオリンピックが終わったから、イコール景気が悪くなるっていうわけではない

そうなんですね。なんとなく、そんなイメージを持っていました。

「日本は東京五輪のあと、だめになるんじゃ?」ってあんまり悲観的になる必要はないと思います。

むしろオリンピック後の景気という意味で言うと、米中の貿易摩擦とかブレグジットの問題がどうなるかのほうが影響は大きいんじゃないかな。

世間の空気に流されるんじゃなくて、本当にそうなのかっていうのを根拠を持って自分の頭で考えるっていう事が大事かなと思います。

就活にはどう影響?

就活生としては、景気の影響を受けやすい企業と、そうじゃないところはどこなのか、気になります。

一般的に景気の影響受けやすいところって例えば、物が売れなくなると、物のやり取りが減るから、物流。海運業とかね。

あと、素材産業とか、化学メーカー。そういうところはわりと景気に敏感に反応するかな。

逆に景気に左右されにくい企業はあるんですか?

例えば、通勤や通学で利用者が多い鉄道とかかな。

景気が悪くなったって通学通勤しないわけにはいけない、乗り続けないといけない。そういうところは一般的にはあまり景気の変動が影響しないよね。

あとは、製薬業とかかな。

あー、なるほど!

でも、逆に景気に敏感に反応すると言われてる企業でも、いい業績が続いてる会社っていうのは逆にやっぱり何かある強さがあるかもしれないよね。

そういう見方もできるんですね。

一方で、今まで安定していると思われていた企業が、突然だめになるっていうケースもたくさんある

それこそ、航空業界最大手だったJALのケースとか。

日本航空(JAL)の経営破綻

日本を代表する航空会社だったが、赤字路線や高い人件費、投資の失敗から2兆3200億円の負債を抱え、2010年に会社更生法を申請。その後、大幅な路線の削減や、従業員を3分の1にあたる人員のリストラを実施した。

良いと言われた企業でも、改革を怠れば突如としてだめになってしまう恐ろしさは今の世の中にはある。

景気がどうなっているかは、判断材料としては参考程度にって思ったほうがいんですか?

景気がこうだから、企業が絶対こうなるっていう考え方は・・・

しないほうがいいと思いますよ。絶対はないよね。

だって、リーマンショックの時、ほとんどの経営者は「ここ10年以上緩やかな景気回復が続く」と見ていた

中国も成長してる、インドも成長してるし、景気拡大はしばらく続くってみんな言ってたのに、あっという間にその年の秋にだめになっちゃった。

何が起こるかわからないんですね。

景気は就活の時に影響はあるけど、働いてからは自分たちでどうにかするしかないっていうことですよね。

そうだね。それは新入社員だけ考えるより、まさに経営者が考えていくことだけど。

時代の移り変わりがすごく早いから、おじさんたちだけじゃなくて、皆さんみたいな若い人の感覚を吸い上げて生かして、形にしていくような企業はいいと思います。

若者にも仕事を任せてくれるような企業がいい?

「今までこうやってたんだから、これでいいんだ」という会社より、若い人に思い切って仕事を任せるような会社、リスクをとる企業が生き残るのかもしれない。

安定していると思われがちな大手企業ばかりじゃないんですね。企業選びの見方が変わってきました。

今まで安定してきたからこの先も安定が続くという保証はどこにもないよね。

これからどうなる?

景気について伺ってきたんですが、「今は景気が良い」って皆が思えるような時ってくるのでしょうか。

来るようにしたいよね。

政府とか日銀の役割でもあるんだけど、やっぱり物をたくさん売って稼ぐ力をつけないと、日本の景気は良くならないじゃないですか。

例えばバブルのころなら、ソニーのウォークマンが世界で爆発的に売れて、たくさんお金が日本に入ってきた。

ウォークマン1号機

今、音楽は何で聞いていますか?

スマホです。

どこ製のスマホ?

アップルです。

そうだよね。日本の商品で世界で売れまくってるものってある?

自動車くらいですか?

そのくらいだよね。身近にあまりないじゃないですか。

皆さんこれから就職して、どういう業界に入るかは分からないけれども、製造業でもサービス業でも、世界の人が買ってくれるような商品とかサービスを開発する

そういう事ができることが、日本の景気が良くなっていくかどうかと、すごく密接に関わっていると思うんです。

私たちが頑張って、ほかの国に負けないくらい魅力的な商品を生み出していければ、景気も上げる事ができて、実感できる日が来るかもしれない。

そうだね。皆さんの肩にかかってるって言うつもりはないんだけども、何もしないで景気だけ良くなるってことはないからね。

解説いただき、ありがとうございました!

編集:加藤陽平

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