目指せ!時事問題マスター

1からわかる!フェイスブック主導の「リブラ」とは?

2019年10月18日 (聞き手:井山大我 田嶋あいか)

「リブラ」って、聞いたことありますか?ザッカーバーグCEOが率いるフェイスブックが中心となり、ことし6月に発表した新たな暗号資産(仮想通貨)の構想で、世界で大きな議論を呼んでいます。どうして?リブラってなに?という疑問に2回シリーズで答えます。実際にアメリカでフェイスブックを取材した、飯田香織デスクに聞きました。

現地で見たフェイスブック

この「いいね!」のマーク、知ってますよね。これがフェイスブック本社の看板なんだけど、この裏側って見たことありますか?

飯田
デスク

いえ、ないです。

これ、裏側に回り込むと…。

学生
井山

違う企業の名前ですか?

そう。以前、サンマイクロシステムズっていうIT企業があって、その建物をフェイスブックがそのまま買い取ったんですね。

マーク・ザッカーバーグCEOは、社員に「常に新しいことを考えてモチベーションを上げてください。さもないと、あっという間に過去の企業になってしまうかもしれないぞ」と。

そういう気持ちで、看板をそのまま残したらしいんですね。おもしろいなって思いました。

かっこいいメッセージですね。

飯田香織デスク
経済部で電機メーカーやIT企業を取材した後、アメリカ・ワシントン支局に4年間駐在。帰国後、経済部で取材指揮にあたり、2017年から再びアメリカへ。ことし夏までロサンゼルス支局長を務める。

リブラは“デジタル通貨”

学生
田嶋

そのフェイスブックが、「リブラ」というものを始めるとニュースで聞くようになりました。いったい何なんですか?

NHKでは、暗号資産という言い方をしていますが、フェイスブック自身は、「これはデジタル通貨です」という言い方をしている。要は、お金なんですと。

フェイスブックの創業者 マーク・ザッカーバーグCEO

暗号資産や仮想通貨という言葉は、最近、よく聞くのですが、イメージがつきにくいです。

円とかドルは、物理的にお財布に入るものですが、暗号資産は、インターネットを使ってデジタルの世界でやり取りをするもの。有名なのは、ビットコインですよね。

ビットコインは、価格がすごく上下して、投機的に使われていることが多いですが、リブラはビットコインとは違うとフェイスブックは説明しています。

暗号資産(仮想通貨)

インターネット上でやりとりする電子的な価値の記録。「交換所」、「取引所」ともいわれる暗号資産の交換会社を介して円などと交換したり、スマートフォンのアプリで個人に送ることもできる。取り引き記録を分散して記録する「ブロックチェーン」という技術が使われ、“改ざんは不可能”とされる。

リブラは、1リブラっていう通貨の単位でやりとりします。フェイスブックは、円とかドルとかと同じように使うことを想定しています。

本当にざっくり言っちゃうと、電子マネーみたいな使い勝手だと思います。要はスマホにお金をためてやり取りする。

なんだか、仮想通貨というより、LINE PayとかPayPayみたいな、キャッシュレス決済みたいな感じですね。

そうそう。ザッカーバーグさんも春のイベントで、写真を送るみたいにボタン1つでお金を送れるようにしたいと言っていました。“ポチれ”ばお金が行くと

ただそれが、いわゆるキャッシュレス決済みたいに円などの既存の通貨で行くわけじゃなくて、「リブラ」という単位でやりとりします。

スマートフォンのアプリを通じて、利用者どうしが、手数料なしで直接リブラを送金 

今は、外国にお金を送る一番普通の手段は、銀行での国際送金。でも、手数料がすごく高いんですね。

どれくらい取られるんですか。

平均で7%。1万円送ろうとしたら700円かかるの。

けっこう大きいですね。

そう、大きいんですよ!

それがリブラだと、手数料が事実上、タダになるとフェイスブックは言っています。

だから、海外とのやり取りをする事が多い人、例えば外国で働く人が母国の家族に送金するとか、留学先で親から仕送りをもらう時なんかにリブラは便利なんだろうと思います。

なんで、リブラは手数料をタダにできるんですか。

それは逆に、なぜ銀行が7%も取っているかということだと思う。

マネーロンダリング対策とか、安全にお金を送るために、銀行は費用をかけてちゃんとインフラ整備しているということ。

その点、リブラはポチれば送金できちゃうから、費用がほとんどかからない。

便利かも。

期待が持たれていたはずのリブラ、いま本当に発行できるのか危ぶまれる事態に。1からわかる!リブラ【後編】もご覧ください。

リブラは、円とかの通貨と交換することになるんですよね?

そうです。まだ正式に発表にはなってないんだけれど、サンプルの動画が出ていて、その中でスマホ画面に「1リブラ1.0493ドル」って書いてあるんですね。

だから、ざっくり1リブラ100円みたいな感じでチャージできるイメージです。

ほかの仮想通貨の場合はどうなんですか。

ものによるんですが、ものすごく値段が上がったり下がったりしていて、しかも総量が限られてるから、すぐ欲しいと思っても簡単に手に入らない、あるいは高い。

一方、リブラは、多少為替レートで上がったり下がったりするかもしれませんけど、基本的には買った価値のまま戻るはずというわけです。

どういう仕組みなんですか。

リブラの場合は、交換した円など、みんなのお金を1か所に集めて準備預金として準備しておきます。だから返してくれと言われたら必ず返しますよと説明しているんですね。

その準備預金は、ドルと円とユーロとポンド、恐らくこの4つがメインになるはずです。

それらの通貨で、ちゃんと保管しときますよ、だからビットコインとは違って値段はそんなに動きませんよっていうのがフェイスブックの説明

けど、その準備預金ってフェイスブックが管理するんですか。

説明を簡単にするためにフェイスブックって言ってるけど、フェイスブックとは別に、スイスに「リブラ協会」っていう組織が作られました。

で、スイスの金融当局が「リブラ協会」を監督すると言っています。

あ、ちゃんと管理されるんですね。その「リブラ協会」って、どんなメンバーがいるんですか。

当初は、ビザやマスターカードなど、28社が賛同していたんだけど、その後、10月に離脱することになりました。

結局、スポティファイ、ウーバー、ボーダフォンといった企業のほかNPOなど、21社が創立メンバー。

サービス開始を目指すとしている2020年前半には、100社に増やすと、ことし6月の時点では言っていました。

リブラ協会に参加した企業

じゃあ、リブラ協会に参加している企業のサービスをリブラで支払えるようになるかもしれない?

なるかもしれない。ただ、もちろんリブラ協会に入ってなくても、自分でお店やってる人がリブラで決済することもできます。

協会に入るか入らないかで、何か違いはあるんですか?

協会に入るにはとてもお金がかかるんです。

創立メンバーは1000万ドル。

そのかわり、リブラと交換するために、世界中からお金が集まってくるでしょ。それを置いておくだけじゃもったいないから、資産運用する。

そこでもうけが出たらみんなで、いわば山分けにすると。

そういう仕組みだったんですね!

日本の企業は入ってるんですか?

申請している企業はありますが、創立段階の21社には入ってないです。

安全性は、大丈夫なんですか?

そこは一番の焦点です。改ざんが難しいと言われている技術を使っているから「安全です」とフェイスブックは言っています。

でも、みんな「それ、本当?」と思っているところがあるから、フェイスブックは、これからちゃんと説明しなきゃいけないと思います。

ちょっと気になったんですが、「リブラ」って、そもそもどういう意味なんですか。

天秤という意味があります。でも、もともとは重さを量るローマ時代の単位なの。まさに天秤で、1リブラ320グラムとか。

実はイギリス通貨のポンドの単位で、よく「L」みたいなちょんちょんがついたやつ見るでしょ。あれもリブラから来ているんですよ。

えっ、その「£」だったんですね。

そう。もともとリブラポンドって呼ばれていたらしくて、天秤でこれだけで1ポンドですよっていうときに、何リブラかで量ったらしいんです。

もしかしたらフェイスブックとしては、リブラをあらゆる通貨の基準にしたいというメッセージかもしれない?

そうだと思います。リブラってすごくよく出来た名前で、この評価は高いんですね。「そうきたか!」っていうのが、いろんな人の受け止めです。

基準にしてもらいたいっていうのと、長く使ってもらいたいというメッセージかな。ローマ時代から残っている名前なので。

名前はすごく面白いなと、私も思っています。

1からわかる!リブラ【後編】では、フェイスブックがリブラを始める意図や課題、それに既存の通貨を発行する各国が示している懸念の背景などについて詳しく解説します。

 

編集:加藤陽平

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