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1からわかる!新型コロナ(3)一体、いつまで続くの?【2021年夏 改定版】

2021年07月30日
(聞き手:白賀エチエンヌ 堤啓太)

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一体いつまで不自由な生活が続くの?終わりは、いつやってくるの?そのときは、元どおりの生活ができるの?切実なギモンについて、医療や科学が専門の中村幸司解説委員に1から聞きました。(7月30日再改訂版)

なぜ“波”を繰り返す?

学生

感染拡大の波が繰り返されて、緊急事態宣言が何度も出される事態になっていますが、なぜこうなってしまうのですか?

必然といえば必然なんです。対策を緩めれば感染者は必ず増えます。

中村
解説委員

4回目の緊急事態宣言が決まった7月8日の新宿の様子

従来の新型コロナウイルスは、何も対策をしなければ1人が平均2.5人くらいにうつすと言われていました。

変異ウイルスのアルファ株やデルタ株は3人以上といわれています。

対策をして1人の人がうつすのが1人未満になると、感染者数は減少させることができます。

そうなんですね。

緊急事態宣言の影響で休業が続く飲食店(東京・渋谷 2021年6月13日)

緊急事態宣言などで対策を強めると、感染者数は下がるんだけど、対策を緩めたときに緩みすぎた結果だといえます。

飲食店などもずっと休業というわけにはいかず、経済も回していく必要があります。

高い感染の波が再び起きないようにしながら緩めるのですが、うまくいかず何度も高い波が来てしまっているということなんです。

オンラインで取材しました。

季節は関係あるの?

学生
白賀

新型コロナはインフルエンザのように季節と関係していないんですか?

インフルエンザの感染の波が冬にきて、夏に感染者数が少ない理由は諸説ありますが、実はよくわかっていないんです。

インフルエンザが冬に波が来る理由がはっきりしないので、新型コロナとインフルエンザの差が何なのかっていうのは、うまく説明できないというのが答えになります。

そうなんですね。

新型コロナウイルスの第2波は去年の8月ごろ。

第3波は年末から年始にかけてでした。

そして第4波は4月から5月にかけてで、夏も冬も春も感染の波がきています。

そういう意味では、季節との関係性はないとみることができます。

季節と新型コロナは連動しないと考えた方がいいということなんですね。

第2波は「夏休み」のころ、第3波は「冬休み」のころ、第4波は「春休みから大型連休」のころに感染が拡大しています。

休みで人の動きが多くなることと、感染者の増加に関係はあると考えられます。

過去の感染症は

感染が繰り返された感染症って過去にもあるんですか?

今から100年以上前の1918年から世界的に流行した「スペインかぜ」という感染症があります。当時の「新型インフルエンザ」だったんですね。

当時の世界人口の4分の1から3分の1にあたる5億人が感染し、死者は4000万人にのぼったとも推定されています。

「スペインかぜ」とみられる患者(アメリカ コロラド州・1918年)

1918年の春ごろから世界的な流行が起きていったんは収まったんだけど、その年の秋に第2波がありました。

その後、翌年の冬にも感染が拡大するなど、世界中で大流行を繰り返しました。

感染症の撲滅は本当に難しい

これまでに人類が撲滅できた感染症はあるのでしょうか?

1980年にWHOが根絶宣言をした天然痘ですね。

ワクチンができ、効果も長い期間続くものだったので世界中の人たちに接種が進められた結果、撲滅できました。

天然痘の予防接種(1974年)

天然痘・・・感染力が非常に強い感染症。急激な高熱、顔や手足などに発疹が出る。致死率は、およそ30%ともされる。ジェンナーにより初めてのワクチンが開発されたことでも知られる。WHOは1980年に世界根絶宣言を行った。

天然痘以外には撲滅できた感染症ってあるんですか?

SARSについては流行を終息させることができました。

※SARS…「重症急性呼吸器症候群」と呼ばれる。2002年に中国で報告され、翌年までの間に8000人以上が感染し、800人近くが死亡した。

2002年11月に中国で確認され、2003年7月にはWHOが流行の「終息」を宣言しました。今は感染者の報告はありません。

SARSは今回と同じコロナウイルスの一種ですが、症状が重いので、感染した人がすぐわかります。

このため、比較的封じ込めがしやすく、世界中に広がるのを防ぐことができました。

ただ、感染症の撲滅はほんと難しいんですよ。例えば「はしか(麻しん)」。

日本は2015年に、WHOの西太平洋地域事務局から「日本は、はしかを排除した国ですよ」って認定されたんです。

WHOの西太平洋地域事務局長(左)からはしか排除の認定通知書を受け取る塩崎厚生労働相(当時) 2015年8月

だけど、国内で「はしか」に感染する人が2016年以降報告されています。

日本の過去の予防接種制度などの影響で、30~40代くらいの世代は、はしかに免疫を持っていない人が比較的多いとされています。

こうした年代の人が海外から入ってきた「はしか」に感染したんです。

日本は排除国になったんだけど、世界中で排除したわけではないので、海外から入ってくるウイルスを防ぎきれなかったのです。

1国だけは感染症の対策は完結できないということなんですね…。

あと、エイズは症状が出るのを遅らせる薬ができましたが、ワクチン開発は長年の研究にもかかわらず、実現していません。

天然痘みたいに撲滅できた感染症はまれで、他はうまく付き合っていくような状態にあります。

私たち人類にとっては、克服できていない感染症が非常に多いんです。

これからもwithコロナ!?

新型コロナは今後どのような立ち位置になっていくのでしょうか。

天然痘みたいに撲滅はできないだろうとみられています。

これだけ地球の隅々までウイルスが広がっているので、ウイルスをなくすことはおそらくできないだろうと

「はしか」のように、ワクチン接種で何十年も続く免疫ができ、その後はほとんどかからないということになると、感染者が減ることも考えられます。

でも、おそらくそうはなってくれなさそうです。

なぜですか?

その原因の1つはウイルスが変異しているからです。

デルタ株(インドで確認)

ウイルスに感染して免疫を獲得したり、ワクチンを打ったりしたとしても、次の変異したウイルスにかからないとは限りません。

インフルエンザのように繰り返しかかる感染症になるかもしれないという専門家もいます。

長くつきあうことになりそうなのですか?

その可能性はあると考えておいた方がいいかと思います。

終わりはいつくるの?

ということは、新型コロナって「終息宣言」のようなものは出ないのでしょうか。

「シュウソク」って、実は「収束」と「終息」があるんです。

世界中から感染者が一人もいなくなる「終息」には多分ならなくて、「収束」を目指すということになると思います。

「収束」ってどういう状況のことを言うんですか?

様々な考え方があると思います。

私は「感染者数を一定の範囲内に抑えて、感染者に十分な医療を提供できる環境を継続できる状況」だと考えています。

そうするためには、どうしたらいいのでしょうか?

開発されたワクチンは効果が高いので、ワクチンを打った人が多くを占めるようになると、感染が拡大しなくなるという考え方もあります。

ただ、まだはっきりしないことが少なくないと思います。

はっきりしないことって何ですか?

ひとつがワクチンの効果です。

感染や発症、重症化を防ぐ効果は高いとされていますが、その効果がどれくらいの期間続くのかということ。

半年なのか、1年なのか、それ以上なのか。

あと、今後のものも含め、変異ウイルスにどれくらい効果があるのかです。

効果が長く続かなかったり、変異ウイルスへの効果が十分でなかったりしたら、どうしたらいいのでしょうか。

インフルエンザのワクチンのように毎年、定期的に接種することになるかもしれません。

ワクチン接種が先行している海外ではマスクを外した姿も見るようになりました。

アメリカ ニューヨーク(2021年6月)

ワクチン接種後はマスクを外していいんですか?

ワクチンを接種後、2週間ぐらいするとだいたい抗体ができるといわれています。

でも、100人中100人全員がワクチンが効くとは限りません。

あと、人口の何%の人がワクチンを接種したのかも、どこまで対策を緩められるかの判断に影響すると思います。

自分が打ったかどうかだけではなくて、いろいろ考える必要があるということですね。

マスクを外すということは、元の生活に戻ったという象徴的な意味合いを持つと思います。

国や専門家が「マスクを外していい」といつだったら言えるのか、そのタイミングは相当難しいと思います。

慎重にみていかないといけないということなんですね…。

ワクチンに加えて、治療薬ができれば、状況は大きく変わると思います。

インフルエンザが流行しても、新型コロナのように生活の自粛を色々言われない理由のひとつは、ワクチンだけでなく、治療薬があるからです。

感染しても治せる薬があるということが大きいと思います。

治療薬は、世界中で開発が進められています。

今はワクチンに注目が集まっていますが、治療薬の開発の行方も、収束あるいは日常に戻れるかどうかに大きく関わることになるかもしません。

治療薬の開発ってどこまで進んでいるの?「1からわかる!新型コロナ(2)変異ウイルス どう防ぐ?デルタ株にワクチンは効くの?」はこちらからご覧ください

 

 

編集:小浜一哲 カメラ:梶原龍 徳山夏音

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