中東の10年の紛争を可視化する

    これは公開データを元に、2007年以降、中東地域のどこで死者を伴う衝突が起きたのかを地図にプロットした動画です。

    動画は完全とは言えません。シリアのデータには位置情報が含まれていないことから、シリアの情報は反映されておらず、動画の最後に死者の積算のみを示しています。

    また、イスラエルとパレスチナもデータ上、合算で示さざるを得ませんでした。この紛争が「非対称の紛争」と呼ばれているのは周知の通りです。2014年の戦闘ではパレスチナ側の死者がおよそ2200人、イスラエル側の死者がおよそ70人でした。

    しかしこうしたことを差し引いても、動画からわかることは少なくありません。この10年、中東のニュースというと「アラブの春」やシリアの内戦、過激派組織IS=イスラミックステートなどがクローズアップされがちでした。しかし、その間もイラクではテロによる犠牲者が相次ぎ、イエメンでは未曾有の人道危機と言われる内戦が続き、リビアでは「アラブの春」以降の混乱が続いている-そしてそれは必ずしも大きなニュースとして報じられない-現実があるのです。(ネットワーク報道部 斉藤一成 国際部 佐伯敏)

    <出典>
    紛争データ、被害者数データ(Uppsala 大学 http://ucdp.uu.se/)
    <分析方法>
    Uppsala大学が公表している最新の世界の紛争データから、最新11年分のデータを抽出し、中東地域(1万570件)を分析対象とした。このうち、位置データに破損や不備の伺える27件については、分析対象から外した。紛争データの分析、および、前処理には、EXCEL、CARTOを利用。