コロナ感染拡大「チャイルドライン」などへの相談相次ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、子どもから悩み相談を受け付ける窓口には多くの相談が寄せられています。深刻な内容のものも増えていて、専門家は「子どものサインを見逃さずサポートすることが必要だ」と指摘しています。

全国の子どもから電話やチャットで相談を受け付けている「チャイルドライン」には、ことし2月から10月までに新型コロナに関する相談が1000件以上寄せられました。

内容別に見ると、
▽「気分が落ち込む」など不安を訴えたものが65%と最も多く、
次いで、
▽在宅勤務をする親との関係や虐待の被害など「家庭」に関するものが12%、
▽「学校で勉強についていけない」など「学校」などに関するものが12%となっています。

さらに、子どもが「死にたい」という気持ちを持っていると感じられた相談など深刻な内容のものが増えているということです。

子どもの心理に詳しい「国立精神・神経医療研究センター」の岡田俊医師は「これまでに子どもから寄せられている相談は氷山の一角だ。子どもたちはコロナで多かれ少なかれ心理的なダメージを受けていて、子どもが発する不安のサインを見逃さず、学校や地域、家庭でサポートしていく必要がある」と指摘しています。

「チャイルドライン」は毎日、午後4時から午後9時まで相談を受け付けていて、電話番号は次のとおりです。
0120-99-7777

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、不安を抱えたり不調を訴えたりする子どもたちの受け皿の1つとなっているのが、フリースクールです。

千葉市にあるフリースクールでは、一斉休校が明けた6月から「学校に通いたくない」といった体の不調を訴える相談が例年の最も多い時期の倍近くまで急増し、今も連日子どもやその保護者からの相談が相次いでいます。

現在、小学2年生から中学3年生までの17人が通っていますが、12人はこの半年間で新たに通い始めた子どもたちだということです。

このフリースクールでは、元教諭のスタッフが勉強を教えていて、子どもたちは通っている学校で授業に出席したと見なされます。

現在は定員がいっぱいで、空きが出るのを待っている子どももいるということです。

このフリースクールによりますと、不登校になった理由はこれまでは「いじめ」や「友人関係のトラブル」などが多かったということですが、新型コロナによる一斉休校が明けたあとは「なんとなく通えなくなった」などと理由が明確ではないケースが増えているということです。

フリースクールを運営するNPOの杉本景子代表は「新型コロナの影響による一斉休校や学校の再開など、子どもたちが心の準備ができない中で大きな変化があり、生活のペースを戻すのが難しかったと思います。生きる希望を失っているような深刻な悩みを持っている子どももいますが、大人がコロナ禍の生活に追われ、気づけていないケースもある」と話しています。

千葉県内に住む中学3年生の女子生徒はことし7月から学校に通えなくなり、現在はフリースクールに通っています。

女子生徒は、それ以前も授業の進め方が自分のペースと合わないなど学校への苦手意識はあったものの、これまでは休むことはなく、部活動にも参加していたということです。

しかし、一斉休校が明け、通常どおりの登校に戻った7月からは通うことができなくなり、休むようになりました。

その理由について、女子生徒は「それまでは勢いで通っていて、ギリギリでなんとかやってきましたが、休校でその勢いが止まってしまったのだと思います」と話しています。

一方、勉強などへの意欲はあり「フリースクールでは自分のペースで勉強ができて、とても気持ちが楽です。今は受験勉強を頑張って、高校に入ったら部活動も続けて、話していて楽しいと思える友達に出会いたいです」と話しています。

女子生徒の母親は「家ではふさぎ込んで何も手につかない状態で、学校に行きたくないと言い出しました。不登校になった大きな出来事は思い当たりませんが、長い休みになったことで張り詰めていた緊張の糸が切れてしまったのかもしれません」と話しています。



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