“ちょっと手を上げて” 横断歩道を安全に

ネットワーク報道部 目見田健 津局 伊藤憲哉

「横断歩道は歩行者優先」、 この基本的なルールが守られず事故が相次いでいます。 ルールの徹底、そしてちょっとした気遣いで事故を減らすことができます。

「あっ、危ない」

提供:JAF メディアワークス

信号機のない横断歩道、 自転車が渡っていると車が・・・。 あわや事故となる危険な状況をとらえた実際の映像です。

道路交通法では、横断歩道に 歩行者や自転車がいる場合、車は 一時停止しなければなりません。 しかし、これが守られず横断歩道での事故は 後を絶ちません。

交通事故によって亡くなった、歩行者の数は、この10年で全体では大幅に減りました。 それに比べて、横断歩道での死者は、あまり減っていないのです。

痛ましい事故も

則竹敬太さん

痛ましい事故も起きています。小学4年生だった則竹敬太さん。 信号機のない横断歩道を渡っていたところ、トラックにはねられ、亡くなりました。 運転手は一時停止せず、スマホも操作していたのです。

2016年 愛知・一宮市

父親 則竹崇智さん

( 則竹崇智さん)
「トラックに衝突されて、ひきづられていったんです。 気持ちの整理というものが一切できないまま、息子は旅立っていってしまったというのが現状なんです。 当然、停止、もしくは最徐行ということは当然ドライバーに求められる行動だと、それが守られなかったっていうことに本当に憤りを感じます」

「歩行者は気付いているだろう」の思い込み

歩行者にとって、安全なはずの横断歩道。 事故をなくすためには、どうすればいいのでしょうか。

「歩行者は、車に気付いているだろう」

チャイルドビジョン

そんなドライバーの思い込みを改めてもらおうという動きがあります。 JAF=日本自動車連盟がドライバーなどの講習で使っている、このチャイルドビジョン。 6歳児の視野を 再現しています。

実際に横断歩道で のぞいてみました。

子どもの視野

見える範囲は、大人の6割ほど。 横断歩道を渡ろうとするとき、車に気付きにくいのです。

JAF岡山支部 建部拓さん

歩行者が小さい子だったりしたら、見えていない。
こんなに見えていないんですよ。
相手が見えていないということを前提にしていただければスピードとか運転の仕方が変わると思います。

“ちょっと手を上げて”

「歩行者も横断する意志を伝えよう」

そんな思いで三重県で始まったのは、ちょっと手を上げて横断歩道を渡ろうという取り組みです。 横断歩道を渡るときは 少し手を上げて、ドライバーに顔を向ける。

これだけで劇的な効果がありました。

手を上げない場合に比べて、車の停止する割合が倍以上になったのです。

三重県警察本部 伊藤勝彦さん

歩行者の方が横断歩道を安全に渡れることによって交通事故防止につながると考えています。

ルールの徹底と気遣いを

横断歩道での事故で子供が犠牲になった則竹さん。 これまで学校などで、150回以上の講演を行い、悲惨な事故を繰り返さないようにと訴え続けています。

横断歩道での歩行者優先というものは、当たり前なんですけど、その当たり前ができていないから事故は起きているんだとを改めて感じます。
最終的に(事故を)0にするには1人1人の気配り思いやりが必要になってくると思いますけども、できるだけ0に近づけるというのが私の思いです。

横断歩道は歩行者優先ルールの徹底と、ちょっとした気遣いで、安全な横断を

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